楽でん おでん

東京都港区 新橋駅 楽でん おでん御膳

新橋五丁目ランチ

本日は14時より貸会議室で仕事である。渋谷発新橋行のバスに乗り、新橋5丁目で下車した。ここから会議室までは徒歩3分なのだが、そのまえに重要なミッションをこなさなければならない。

ランチである。昼飯である。午餐である。お昼ご飯。フランス語でdéjeuner(デジュネ)、クメール語ではអាហារថ្ងៃត្រង់である。ちなみにスペインでは一日5食なので、日本でのランチに相当する単語が地方によっても異なり複雑であったりする。ふくよかな人が多いわけだ。

そういえばこのあたりで食事をした経験が無い。店など有るのだろうか。バス停のゆで太郎しか見当たらないことに一抹の不安をおぼえながら路地に入った。

あれ?思ったよりも店があるな。ラーメン店、焼き鳥店、スープカレーは札幌で食べるからパスだな。うーん。どの店にしようか。

一軒の落ち着いたたたずまいの店を見つけた。店構えからにじみ出る、落ち着いた和の雰囲気に心惹かれた。店頭のメニューを一読してみる。おでんか刺身、この二択。なんと潔い、そして極端なセレクトなのだろうか。

ランチメニュー

よし、本日のランチはここで食べることにしよう

出汁(おでん)の店 楽でん

店内は客で半分ほどの席が埋まっていた。おひとり様はカウンター席に通される。思った通り、いぶし銀の職人が清潔な白い制服に身を包み、粛々と調理をする。ドラマに出てきそうな光景である。

店内

店内で様子をうかがっていると、多くの客はおでんではなく魚を注文していた。だが、私はぶれない。急な心変わりはロクな目に遭わない。おでん御膳なのだ。

おそらく長年引き継がれてきた出汁が入った鍋で調理された具材を職人が器によそう。もう旨そうな空気しか感じられない。

おでん鍋

これほどまで和にこだわった空間に流れる音楽は意外にも80年代ポップス、洋楽だ。意外な組み合わせなのに悪くない。あれ?億千万、億千万って…郷ひろみ?ジャパニーズポップスときたか。

おでん御膳

そうして私の眼前に運ばれてきたおでん御膳には、味噌汁とごはんの他、小鉢が2つに漬物が付属していた。味噌汁からもいい香りが漂ってくる。一口飲んでみある。

ああああ、しょっぱい…

仕方がないか。高血圧減塩派の超薄口である私の味覚がスタンダードからずれまくっているのだ。悪いのは私だ。店にはなんら責任が無い。

おでん御膳

マグロ山かけ

小さく刻まれたマグロぶつ切りに真っ白な山芋のコンビネーション。もちろん醤油は不要だ。マグロの風味と山芋の香りが織りなすハーモニー。ツンとくる緑のワサビは、見た目にも味わい的にもいいアクセントだ。このトリオに黒い醤油はいろんな意味で不要なのだ。

マグロ山かけ

里芋煮つけ

里芋のしっかりとした食感を残しつつもねっとりした独特な舌触りは健在だ。素材の味を活かした上品な味付け。少々冷たいのが残念だ。ほんわり温かければ、さらに旨味が効いて美味なること請け合いなのである。旨味とは人肌の温度で舌が最も感知するのである。

里芋煮つけ

おでん

まずは、はんぺんからだ。すっと箸が入る。一片を口に運ぶ。純白のはんぺんは煮汁が染み込んではいない。上品な味付けであるが、私には少し塩っぱい。はんぺん自体の味付けなのだろう。だが、悪くない。ご飯とよく合う。

竹輪もゴボ天もほどよく出汁が染み込みつつも、素材本来の味わいを邪魔しない、汚さない。ほどよくバランスのとれた調理である。コンビニで売っているものとはまったくの別物だ。わざとらしい旨味も出汁の雑味もなく、食べた後に残る後を引くものもない。

対してしらたきはしっかりとだしの旨味を吸い取って自身にまとっている。噛みしめるたびに白滝の食感が歯に伝わる。だしの旨味が放出される。まさに素材ごとにだしの含み方が異なるように調理しているのだろう。

これらにからしの刺激が加われば、単調になりがちな淡白で上品な味わいの幅が広がる。ご飯にとても合う。きっとビールやハイボールとも相性が良いだろう。

半分に割られたゆで玉子も同様だ。おでんの玉子と言えば、煮汁の色に染められた、まさにガングロが代名詞である。だが、この玉子は何色にも染まっていない。純白な白身、イエローの黄身が目に飛び込んでくるのだ。ゆで玉子をおでんに入れただけのような見た目なのだが、食べてみればわかる、ほんのりと白身からはだしの旨味が感じられる。その身にしっかりと出汁を吸い取っていたのだ。白身と黄身の味わいをしっかりと残しつつ、だしの旨味だけを包含し調和を保つ。このようなおでんは初めてだ。

気がつけばご飯が足りない。おでんとはご飯が進むような料理ではないと思っていた。だからこそ最初は店に入るのを躊躇したのだ。海鮮丼とどちらにするのか思い悩んだのだ。

ごちそうさま

だが、私の固定観念は見事に打ち砕かれた。塩気がきついわけでもない、濃厚な味付けがされているわけでもない。上品な自己主張控えめの出汁と、おでんネタの素材本来の持ち味をしっかりと活かしたバランスの取れた調理。この三つがあたかもゲッターロボのように合体してご飯をやっつける構図である。

いや、ダイラガーであるか。
いやいや、三身合体と言えば原作のかけらもないゴッドマーズであろう。

いやいやいやいや…どうでもええわ!!

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