沖縄県那覇市 県庁前駅 おふくろ

食べ飲み放題二千円の店

沖縄の居酒屋では、食べ飲み放題が基本である。相場は三千円である。

むらやのように二千円で飲み放題の店も存在する。コスト削減のためにドリンクはセルフ。ビールも自分でジョッキに注ぐ。これはこれで楽しい。メニューは無し。ストップするまで料理が出てくる。ドリンクは持ち込みOK。炭酸割が基本の私はコンビニでウィルキンソンを買ってから行くことになる。

炭酸持ち込みOKの店は西町餃子館も同じだ。この店も食べ飲み放題が三千円、ただし4名からと条件付きだ。実はそんな是鄭条件があることを知らずに3名で訪れたのだが、サービスしてくれたこともある、人情あふれる店であった。

今回は3名での飲み会である。会場は琉球銀行本店裏手、琉球リースビルの真裏にある「おふくろ」である。

なかなかの人気店で予約も難しいとのことだったが、コロナウイルスで外出自粛のご時世である。それほど混んでいないのではなかろうかと思い、当日の夕方に電話したところ、あっさり予約が取れたのであった。

県庁前駅 家庭料理の店 おでん専門 おふくろ

店に向かうと、写真を撮っている観光客がいた。本日の予約客のようである。

店内は典型的な昔風の居酒屋の作りだ。全ての席には箸がセッティングされている。これがいっぱいになるのか。

カウンターの内側に大きなおでん鍋がある。具の種類はかなり多そうだ。カウンターの端に料理コーナーがある。セルフで持っていく。大皿料理ではないようだ。

二時間食べ飲み放題

飲み放題には細かいルールがある。ビールか麦職人、オリオンドラフト。いわゆる生ビールは小瓶で3本まで、チューハイは5杯まで。泡盛は無制限だが水割りのみで炭酸は無い。

やはりシュワシュワが飲みたい。まずは麦職人のジョッキで乾杯だ。

おでん

おでんを注文するには、テーブル上にある専用用紙に必要な個数を記入して提出する。

おでんの種類は豊富だ。中にはトマトなどもある。

トマトのおでん。

その昔は六本木のおしゃれなおでんの店に藤原紀香が食べに来たと話題になった。私も知人にその店で食事をしたことがある。なかなかに出汁が染みたトマトの旨味が衝撃的であった。トマトと和風だしがこれほどまでに相性が良いとは思いもしなかった。

それが今、この沖縄の地に、しかも食べ放題のおでんの店に存在することに時代を感じてしまうのは私だけだろうか。

もちろん通常のネタだけでは無い、牛すじやテビチ、沖縄独特の肉おでんも目の前に展開されている。特にテビチが秀逸だ。

脂っこさは全くない。とろとろのコラーゲンと肉のコラボレーションが出汁と融合しまくっている。しかもこの店では豚足がテビチとチマグーとに分けられている。「ひづめ」を意味するチマグーはつま先の部分を指す。

テビチとチマグー、どちらが好きか美味いかと論争になることもある。こしあん派と粒あん派の対立とほぼ等価であると表現できる。私にとってはどうでも良いことだ。何せどちらも好きである。

料理

おでんが来るまでは、セルフで料理を取りに行く。大皿料理とは少々趣が異なる。しかも、このセルフコーナーがとても狭い。

店全体が無理矢理ギリギリきっちりぎゅーぎゅーに机と椅子を詰め込んだ、いや客が必要とする最低限のスペースにこだわった、効率性を追求したようなレイアウトだ。なのでカウンターの前の客の導線と、食事をとって席に戻る人が行き交うとすれ違うことも困難だ。

その上、皿が取りにくい。料理コーナーの奥に置いてあるのだ。わざと取りにくくしてるのではないだろうかと疑いたくなる。

料理は種類が豊富だ。沖縄では定番の刺身から、ナーベラーやフーチバー、チキナー等を使った創作料理。特にナーベラー(ヘチマ)明太子がうまいと同席者が語った。私は塩分控えめの観点から明太子を久しく口にしていない。

カキフライや唐揚げなどもある。ニガナのブルーチーズ和えなどと、お袋の味に似つかわしくない前衛的な一品まで存在する。沖縄の春に手に入る安価な素材をうまく利用した料理が並んでいると考えればいいだろう。

おでんが美味い。薄口で上品な味付けだ。同席者も沖縄でこんな上品なおでんが食べれるとはなかなかだと唸っていた。ドリンクはすでにチューハイへと突入していた。

さて再びセルフの料理を取りに行くとする。やはり取りにくい。客席の幅が狭いので店内客と肩がぶつかるような距離だ。

客層

我々の向かい側に座る年配の男性が声をかけてきた。茨城県のひたちなか市から沖縄に遊びに来たと言う。常に2泊3日の旅程で訪れる店は決まっていると言う。典型的な保守的な有閑ムッシュである。

彼の定番とは一つは安里の店、そしてこのおふくろなとのことだ。安里の店を私は寡聞にして知らない。調べてみよう。

「旅行に来たら地元の人と会話するのが好きなんです。」

家族で来ているようだが、地元民との会話に興味があるのは年配の男性だけであった。

しかし私が龍ヶ崎市に住んでいたことがあることや、ひたちなかの知人宅を訪れたことがあるとカミングアウトしたとき、家族らは微妙に反応した。つくばの話題にも、やはり身近なのか同様に反応を示していた。なかなかシャイな茨城県人である。

店内を見回すとやはりコロナウィルスのせいかそれほど混んではいない。しかも地元客はほとんどいない。通常であれば午後6時半頃から仕事を終えた地元客もたくさん訪れるはずなのであるが、この日はどう見ても観光客もしくは内地の客しかいなかった。

うまい料理に箸が進む。ついにチューハイの5杯を飲みほした。店員はネパール人のようだ。どうせチューハイの杯数なんてカウントしていないだろうとたかをくくって、しれっと6杯目を注文した。

「お客様、もう5杯飲んでます。」

片言の日本語で注意された。しっかりとカウントしてるではないか。抜け目がない。仕方がないので泡盛の水割りを飲む。甘い。炭酸割りに慣れた口に水割りは甘く感じられて仕方がない。

ごちそうさま

そして時間が過ぎた。2時間終了。まだ午後7時半である。帰りには早すぎる時間だ。せっかくなので、松山のスナックへと向かったのであった。

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