新橋駅 とんかつ むさしの 極上ロースとんかつ定食

新橋駅 とんかつ むさしの 極上ロースとんかつ定食

新橋五丁目ランチ

出張で新橋の東急ステイに宿泊した。このホテルは室内にドラム式洗濯乾燥機と電子レンジがあるのが特徴だ。できれば帰宅前に来ていた衣服類をすべて洗濯できれば、帰ってからの手間がかからない。わずかではあるが、電気代と水道代も節約できる。カバンが使用済みの衣類であふれることもない。持ち歩く着替えも少なくて済むのだ。

それに毎回毎回外食するのも疲れてきた。ホテルで静かに、コンビニ弁当は嫌だがデパ地下かテイクアウト専門店で買った旨そうな総菜を味わいながら飲む缶ビールもなかなか乙なものである。

さて、本日も会議の前にランチなのだ。現在時刻は午後1時前。ランチタイムも終わりに差し掛かる時間帯だ。人混みが嫌いな私は満席の店を好まぬ。あまり人がいない店内でゆったりと食事を採りたいのだ。

さて、何を食べようか。新橋五丁目は新橋駅から少し離れている。バス停があるくらいだ。だが、この辺りは住宅街とオフィス街が入り混じっていて、SL広場周辺とはだいぶ趣が異なる。落ち着いた雰囲気なのだ。

こないだはおでんを食べたが、そういえば気になるとんかつ屋さんがあったのを思い出した。店に向かってみる。

ここだ。

とんかつ むさしの

落ち着いたたたずまいの店構えは、まさに私の好みだ。若者には分らぬだろう。いぶし銀というやつだ。店頭に掲げられたランチメニューを見る。

そうか、今日は土曜日であったな。休日出勤だ。今年度もやがて終わる。年度末に向けて作業を行うが、自宅ではなかなか落ち着かないので、妻と相談して東京で仕事をすることにしたのだ。

不本意ながら延長した出張で限定ランチメニューにありつけるとは、私は運がいい。きっと本日の作業もうまくいくだろう。

さて、どれを食べようか…うむ。限定メニューの中のさらなる限定品。せっかくなので極上ロースかつを食べることにしよう。連日の出張に休日出勤だ。自分にご褒美を挙げても罰は当たらないだろう。

ドアを開けて店に入る。店内には客が数名。ランチタイムが終わる時間の上に土曜日だ。こんなものか。テーブルに座り注文を済ませる。

店主は息子でホールは母親だろうか。

メニュー

ふと客と店主の会話が耳に入ってきた。その客はトンカツがうまいと絶賛していたが、なんとこの店はポークソテーも絶品らしい。店主曰く、平日のランチでは無理だが、土曜日ランチであればできる時もあるとのことだ。ポークソテーは焼いた肉の肉汁でソースを作るので手間がかかると話していた。

素晴らしい情報をゲットだ。裏メニューだな。

店主が分厚い豚肉を客席まで披露しに来た。この霜降りを今から揚げますとのことだ。ああ、写真を撮りたかった。空腹にあえぐ客に素材を見せつけて食欲をあおるなど、この店主はドSなのだろうか?

英語版のメニューもある。眺めていたら不意にドアが開いた。入ってきた客は英語を話していた。外国人の家族連れだ。スタッフが対応する。少し話し込んで店を出て行ってしまった。

ああ、高山で見た光景だ。

日本人は店に入る前に熟考するが、外国人は手当たり次第に店に入る。店内で話を聞いて、メニューを見てから

極上ロースとんかつ定食

とんかつが運ばれてきた。なかなかの見応えである。厚みがなかなかのものだ。さっきの肉がこれに変わったのだな。

ホール担当のお母さんが言った。
「お塩でお召し上がりください。」

これはよほどいい肉でなければ言えない台詞だ。いい肉でも薄くてはダメだ。四つ足動物の肉の味をたっぷりと堪能するには、厚切りでなければならないのである。必要条件なのである。

ピンク色の粒が入ったミルが塩だ。モンゴルのローズソルトか、はたまたアンデスのルビーソルトだろうか。答えはヒマラヤの岩塩、ピンクソルトであった。

ミルを回転させて挽いてみる。

小麦粉よりも細かいパウダーが皿に落ちた。黒地にキラキラと輝いてとても美しい。

だが、塩をかけるときは注意が必要だ。衣にかけてしまっては塩味が油に包み込まれてしまう。塩分と辛味成分は油と相性が悪い。要注意だ。

さて極上ロースかつのお味はと…肉は柔らかでジューシー…とも違う。脂はくどくなく、衣はサクサクだ。揚げた油もしつこくない。肉の味が濃厚で舌触り滑らか。

火の通りが絶妙だ。

脂がのった霜降りの肉を、完全に火が通る一歩手前で引き上げている。

まさに焼肉である。

キャベツは食べ放題ではない。ドレッシングもない。それでいい。間違ってかけた岩塩とキャベツの相性がおそろしく良い。

塩が生キャベツの甘さをとことん引き出している。すごい威力だ。

ごちそうさま

気が付けば店内から客が消えた。「よし」と店主が言った。店じまいのようだ。時刻は13時30分、そうか、ランチタイム終了の時刻だ。

美味かった。2650円でも高いとは思わない。仙台の1400円はぼったくりだ。厚切りとはこういう肉を指すのだよ。この店の垢でも煎じて飲みたまえ。

食い物の恨みは恐ろしいのだ。

次回も土曜日に訪れて、ぜひとも絶品ポークソテーを食べてみたい。
そのときはビールも飲もうかな。

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