リイコーチキン
一日橋のマックスバリューのほど近く「さんにーきゅー」こと国道329号線沿いに店はある。昔から店はあったように思う。
「若鶏の丸焼き リイコーチキン」
「鳥の丸焼き リィコーチキン」
どちらが正しいのかよく分からないが、この辺りのおおらかさは沖縄あるあるなのだ。一見、上側の看板の方がモダンに見えるが、違うだろう。なぜなら電話番号が六桁である。現在は七桁なので、下の看板が新しいことが分かる。
ちなみに「リィコー」はスペイン語の”rico”、「美味」を意味するそうな。そういえばもう一軒、有名な丸焼きチキンの店が浦添の「ブエノチキン」である。「ブエノ」はスペイン語の”bueno”、「美味しい」を意味する。
ドアを開けて店に入ると、価格表示が目に入る。
「丸焼きチキン 一羽 1700円 半分 850円」
まさかの三通り目、どれが正しい商品名なのだろうか。カウンターにいる女性から予約の有無を質問される。もちろん予約済みだ。そう答えると、女性はおもむろにオーブンの下に保存されているチキンをボックスから取り出した。
バットに載せた丸焼きチキンをカウンターの内側に置くと、フォークとハサミで刻み出した。切り分けた肉を持ち帰り用のトレイにどんどん移していく。ものすごい手際の良さだ。一分ほどで解体が終了。
すべての肉が容器に移されると、アルミホイルで包み紙袋に入れる。現金と引き換えである。
丸焼きチキン
温かい紙袋からトレイを取り出して蓋を開ける。
をを!
ニンニクの香りがすごい。食欲をそそるチキンの香りと相まって、目から鼻から美味であることを感じ取れる。なかなか期待できそうだ。
皿に取り分けて食べてみる。口に入れると、香りはさほどきつくない。ローストされた肉は味が濃縮され、ハーブの香りが旨味を増幅し、ニンニクが鶏肉の潜在能力を引き出しているかのようだ。
肉は柔らかく箸で切れる。ナイフは不要。子供たちも大喜びだ。一歳児のゆうたまですら、がっついて食べている。
一羽は多いように感じたが、食べてみると物足りない。ぺろっと食べてしまった。大人二人で一匹だろう。部位ごとに味を楽しむことができるのも魅力的だ。
「お酒が飲みたくなる。」
妻がつぶやく。ビールにも泡盛にも合う。大量のハーブとニンニクをライスと炒めて食べても美味いらしい。ネットに記述があった。
今度は自宅で食べてみよう。そのときは丸焼きチキンに合うサイドメニューも用意したい。ディナーだけでなく、ランチにも合う。パスタにしても美味そうだ。パンに挟んでも…いやいやどんぶりもありではないか?
妄想は尽きない。
また一つ、沖縄の魅力に出会うことができた。晩御飯に行き詰まったら、買いに行くことにしよう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)