麻辣刀削麺

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刀削麺に惹かれて

ここ数年、仕事で次に数回は東京の京橋付近を訪れる。地下鉄銀座線の京橋駅が最寄りであるが、羽田空港からだと京急線から直通の都営浅草線宝町駅を使うことが多い。先頭車両に乗れば、降りたすぐ先にエレベーター専用改札があるので、キャリーバッグを持ち歩く私にはとても便利なのだ。

エレベーターで地上に出て左に曲がると、刀削麺の看板が見える。西安だ。都内に幾つかの店舗がある。刀削麺マニアとしては是非とも訪れたい店だ。なんせ、沖縄では食べることが叶わぬ料理。東京の魅力は国際的グルメである。世界中の料理が食べられるのである。和食ならば地方で食べた方が東京の何倍もコスパが良い。だが、外国料理はそうはいかないのだ。

ところが世の中は私を中心に回ってはくれない。回すだけの力もない。この店の前を通る時は、ほぼランチミーティング前であるから入店できない。食べたくても食べられない。

おお、まさにロミオとジュリエット。

これほどまでに恋い焦がれているのに、会うことすらままならぬ禁断の出逢い。人はタブーに惹かれる、いけないことと分かっていても、禁忌を破り心の闇に誰にも言えぬ秘密を抱えこむ快感に抗うことは難しいのだ。

まあまて、何事も仮説を立てることが重要だ。シミュレーションだ。私がランチ会議前に店に入るとしよう。もちろん刀削麺を食べるだろう。そして心も胃も満ち足りた状態で、ランチミーティングに臨むことなど、可能であろうか。否、波紋を使えないジョジョが石仮面に挑むようなものだ。私が桐山零に飛車角落ちで勝負に挑むようなものだ。

なぜ遅れてあなたと出会ったのかしら。

店の前を無表情で通り過ぎたのちに、未練がましくチラ見するのが私の限界なのである。

西安Xian 新橋店

そんな私にビッグチャンスが訪れた。東京出張の時は浜松町の社宅に泊まるのが通例だが、諸事情により利用できないことがある。そんな時は仕方なくホテルに泊まる。今までは浜松町近辺の宿を取ることが多かったのだが、考えてみれば新橋の方が便利な上に飲食店がはるかに多い。

午前便で沖縄から羽田に向かい、モノレールから山手線に乗り換えて新橋駅に着いた。ここからホテルまで西新橋二丁目の交差点を目指して歩く。そこで私が目にしたのは、西安新橋店だ。今はまだランチ前、この後にランチ会議も控えていない。

まさに千載一遇、好機到来、鎖の音エピソードである。いったん荷物をホテルに預けると、早足で店に向かった。ようやく想いが叶う、このもやもやした気持ちをスッキリさせるチャンスが訪れたのだ。

メニュー

ここだ。ドアを開けて店に入る。一番手前の席に案内される。ランチメニューはなかなか豊富だ。

ランチ限定にも惹かれる。

だが、私は変わらずマーラー刀削麺に半ライスである。注文すると、パクチーをのせるかどうか尋ねられたので「たくさん載せてください。」と答える。しばらくして、テーブルにプロテクターが置かれた。汁跳ね防止のエプロンだ。

麻辣刀削麺

ようやく出会えた刀削麺。見た目ですでに満足だ。まっかなスープに生える緑のパクチーとインゲン。肉みその香りが食欲をそそる。

コクのある優しいスープに潜む辛味と痺れ。太さと厚みが揃った麺は、舌触り滑らかでモッチモチ。肉味噌を噛み締めるとしっかりとした旨味が溢れてくる。日本人は麺を蕎麦のようにすするが、そうではない。レンゲに麺を置き、スープをすくってから、パクっと食べる。こうすると、スープだけが残ることがない。

麺を食べ切ったらご飯だ。スープに残る旨味溢れるひき肉が米飯によく合う。硬めに炊かれた艶々のコメがうまい。

辛さは食欲を刺激する。ごはんはあらゆる味わいを受け止める。中華も例外ではない。日本のコメは美味いのだ。

満足だ。これからランチにお世話になることもあるだろう。身近な刀削麺の店に新たな選択肢が増えて嬉しい。

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