ランチ難民になりかける
11時過ぎに妻が帰ってきた。意外に早い。お昼はどうしようか。私は明日からまた3泊の出張だ。その後に2泊の出張だ。これは家族サービスするしかない。外に食べに行こうと提案すると、妻は喜んで応じた。とりあえず、妻の運転で家から出る。目的地は決めてないが、いつもと違う沖縄中部に行こうことにした。
糖尿合併妊娠中の妻は、ある程度、規則的に食事を済ませなければならない。食べられるものも限定される。血糖値を安定させるために、おやつも食べなければならない。沖縄北インターから10分の、焼肉食べ放題の店をネットで見つけ、向かうことにした。
目的地に着いた。食べ放題の焼肉屋は久しぶりだ。楽しみにして店に入ろうとしたそのとき、私たち夫婦に冷たい現実が突きつけられた。
「28年4月よりランチはお休みします。」
車に戻り、近くの飲食店を探す。もう一軒の焼肉店は定休日。近くのカレー店もフレンチの店も定休日。うーむ、こうなれば食堂か。よし、パンダ食堂に向かおう。
目的地に到着する。店は開いている感じがしない。潰れてしまった?仕方なく素通りし、次の目的地を探す。キングタコス、トルティーヤはダメだ。血糖値が恐ろしく上昇する。
かね食堂
キングタコスの隣に「かね食堂」なる店を見つける。ここしかない。たどり着くと、駐車場には多くの車が停まっていた。「営業中」と書いてある。よかった。我々はランチの危機から救われた。
店に入ると食券を買えと書かれていた。また決断力が試される時間だ。私は食券は嫌いだ。だるま食堂のように、みそ汁玉子フーチバー入りしか頼まないのなら何の問題もないが、初来店で食券はハードルが高すぎる。メニューが分からないのに、食券機の前で悩むと、後ろから舌打ちされそうで嫌なのだ。焦って必ずミスが起きる。
「どうする?」
妻に尋ねる。
「焼肉定食でいいよ。」
確かに無難だ。が、何か引っかかる。本当に焼肉定食でいいのか妻に確認するが、彼女の意思は変わらない。
沖縄そばでも食べようかと思ったが、目に入った「骨汁」の文字に私の心は決まった。
店内は典型的な沖縄の食堂だ。メニューは豊富で、観光客も多く訪れるようだ。トイレは温水洗浄便座だったが、電源コードがコンセントから抜かれている。挿しても動作せず。壊れたままだ。これもまた、沖縄だ。
沖縄の知られざるソウルフード「骨汁」
まずは私の骨汁が運ばれてきた。すごいボリュームだ。さっそく食す。冬瓜はとろっとろ。味は薄め。肉はまさに旨味が凝縮してるような味に軟骨のコリコリとした食感まで楽しむことができる。おろし生姜を入れると旨味がさらに引き立つ。薄口の汁も美味い。
間があいてから、妻の焼肉定食が運ばれてきた。厚めの豚肉を市販のタレで炒めたのだろうか。柔らかかったり、固かったり、筋があったり。これで700円は高い。ハズレだ。
この店の売りは骨汁なのか。気がつけば店内の客9名のうち6名が骨汁を食べている。骨率66.7%。この味なら納得だ。やはり、この店で焼肉定食を頼むのは愚の骨頂であった。もっと妻に強く言えばよかった。一日にたった三度の食事の一つが台無しだ。
不幸中の幸いなのは、私の骨汁が当たりだったことだ。今まで食った骨汁の中で一番美味いと、妻も同意するとともに、けいたまも喜んで食べるだろうと言うことだ。かね食堂。同じ過ちを二度はしない。次回は家族で来るから待っておれ。
I shall return!
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)