串カツを食べに行ったのに
嬉しそうな娘と晩飯について作戦会議をする。ホテルが新宿御苑だから、新宿三丁目で食事をしよう。ここに美味しい串カツ屋さんがあるそうだ。私の提案に、串カツを食べたことのない娘が同意する。
Googleマップを頼りに目的のビルを探し当て、エレベーターで7階に上がる。ドアが開くと、人が大勢並んでいた。店員に聞くと40分待ちとのことだ。
娘と顔を見合わせてから、再びエレベーターに乗り、別の店に行くことにする。あてはある。隣の伊勢丹ならデパートのレストラン街だから、大して混んでないだろう。そこにとんかつ和幸がある。串カツでないのは残念だが、もともとの娘のリクエストはトンカツだ。伊勢丹のビルに入り、エレベーターでレストラン街に行く。そして和幸はと言えば、さっきの店より人が多い。どういうことだ?聞けば45分待ちとのこと。
「お父さん、さっきの店の方が待ち時間、短かったね。」
まったくだ。不覚だ。あと、この近くにあるトンカツ店は本当にオヤジが一人で食べに来るような店しかない。
どうする?どうする?
つきじ宮川本廛(みやがわほんてん)
ふと、娘が隣の店を見て私に言った。
「お父さん、うなぎ食べたい。」
おお!そうか!幸い、うなぎの店はすぐに入れると言う。今晩はうなぎを食べよう。
「廛」という字は、音読みで「テン」、訓読みで「みせ」「やしき」と読むらしい。意味もそのままだ。
カウンター席しか空いてなかったが、特に問題はない。荷物カゴを持ってきてくれる。但し、携帯の充電はお断りだ。コンセントが無いのでと説明される。カウンター席ならコンセントくらいつけておけよ。外国人客も多いのに、スマホくらい充電できなくてどうするのだ?
メニュー
メニューはうな重の他にはこれだけ。酒の種類も少ない。
ひつまぶしを知らなかった娘には「宮川風ひつまぶし 明太子」をオーダーする。明太子、しらす、山芋梅肉添えを選べるところが宮川風らしい。私はうな重か盛夏御膳か決めあぐねていたので、とりあえず水ナスの漬物とミニサラダをオーダーした。
水ナスの漬物
最初に出てきたのは水ナスの漬物。これ、水ナス?私の知ってるものとだいぶ違う。食べてみると、確かに味は水ナスっぽいのだが。うーん。
ミニサラダ
揚げしらすがトッピングされている。酸味の効いたドレッシングがいい感じ。サラダは素材さえ傷んでなければ、まあまあ食えるものだ。炭火焼つくね卵黄添えは売り切れとのこと。残念。
ひつまぶし
娘のひつまぶしが登場する。
うなぎも美味そうだ。
娘に食べ方を教える。生まれて初めてのひつまぶしは「美味しい」とのことであった。
ここで生酒を注文。出てきた瓶をチェックすると、アルコールが添加されていると書かれてるので、好きでは無い辛口なのかと期待せずに飲んでみたら、これが意外にうまい。スッキリしてはいるが、辛口ではない。純米好きの私は辛口が苦手だ。こいつは驚いた。
そして盛夏御膳のお出ましだ。うな重の竹が3098円、酢の物付きのこいつが3,298円。メカブもオクラも好きな私としては、酒のアテにこの酢の物が欲しかった。スッキリした上品な味だ。この酒に合う。
うな重
外はカリッと、中はふんわりとかりふわなのはうなぎの基本。そして、ここのうなぎのタレは甘くない。うなぎはそれほど脂がのっていない。思うのだが、客の年齢層が高めの店のうなぎは、脂があまりのっていないものを使うように感じる。きっと脂がのっているとくどく感じるのだろう。その上に甘いタレだと、若い人にはともかく、年配の方にはキツイかもしれない。私はもっと脂がのったうなぎに、甘めのタレが好きだ。娘の食べっぷりから、ひつまぶしの方が美味いかもしれないと思ったのだった。
食べ終えてから店を出て、娘の泊まるホテルまで話をしながら歩く。新宿御苑駅の近くまで来て、八百屋があることに気づく。店頭の野菜を見てみると、細長い水ナスが売っていた。茨城産とある。これか?
さらに数十メートル先の左側、ホテルからほど近いところに美味そうなトンカツ店があることに気づく。
「こんなところに美味そうなトンカツ屋が。」
もう何も言うなと、娘の顔が言っていた。
つきじ宮川本廛
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)