沖縄に帰る
長い出張からようやく沖縄に帰ることができた。クリスマスイブの今日は、飛行機も朝から混雑していた。朝9時過ぎに羽田を離陸した飛行機は、眼下に三浦半島や富士山を眺めつつ、一路沖縄へと向かった。
プレミアムクラスの朝食が配膳された。スープを一口飲んで諦めた。高血圧で減塩主義の私にはしょっぱすぎる。以前はこんなものを何のためらいもなく飲んでいたのか。結局、フルーツだけを食べて朝食を終えた。
問題は飛行機を降りた後だ。空港まで迎えに来た妻とのランチだ。どこで、何を食べればいいのか。沖縄につくまで考える時間はたっぷりある、と言えるほどヒマではない。仕事もせねばならない。今は機内でもインターネットに接続できる。
20年前、飛行機でネットにつながるなど、夢のまた夢と思っていた。
10年前、飛行機の中だけは、ネットにつながらない安らぎの空間だと思っていた。
そして現在、実際に使ってみると、やはりつなげてしまうのが人間の悲しい性だと思い知らされた。仕事のついでにランチを検索する。
さて、何を食べようか。
久々の沖縄そばなどどうだろうか。だが、ありきたりのものではなく、何気にゆしどうふが食べたい。そうだ、ゆし豆腐そばだ!ネットで検索すると、家からさほど遠くない場所にある、一軒の店を見つけた。あー、豊見城インターの近くじゃないか。
わらいそば
目的地に向かって車を走らせる。ネットの情報によれば、ゴルフ練習場の建物の中にあるようだ。入口にはゴルフをしなくても食事ができますと看板が出ていた。平日の昼間だと言うのに駐車場は満車に近い。ゴルフが盛んな沖縄らしい。
クラブハウスの一角に大きく沖縄そばと書かれた赤い看板。昼間だけ営業のようだ。
クラブハウスに入ると、受付の左側に店があった。
ドアを開けるとテーブルとカウンターが並んだ店内が眼前に広がった。f
注文は食券を買う。あきらかにゆし豆腐そばと沖縄そばのツートップ押しである。
券売機の上部にメニューが分かりやすく記載されている。おお、なんということだ!この店の麺は、私と妻が愛してやまない照喜名製麺所製ではないか!シェアで言えばサン食品がダントツだが、知る人ぞ知る照喜名はすごく美味いのだ。ここの社長と一度だけ飲み屋で話をしたこともある。そして宇那志豆腐。これまた沖縄島豆腐界のニューウェーブだ。自宅のあたりではサンエー津嘉山シティでしか入手できない。しかも、よく売切れている。知人が経営している串カツ屋でも使っていた逸品なのだ。
これはテンションが上がるというもの。事前協議により沖縄そば定食とゆし豆腐そば定食を購入することで妻と合意していたのだが、ここで暗雲が漂った。なんと定食にはジューシーと白ごはんの二種類があると判明したのだ。
想定外だ。
緊急事態ということで、ゆし豆腐は白ごはん、沖縄そばはジューシーの組み合わせとした。食券をスタッフに渡し、窓際のカウンター席に妻と並んで座った。
卓上の調味料は一般的だ。店内に掲示された片山さつき氏のサイン。ゴルフ関係団体の支援を受けてるからなのか。昔と違い、政治家は企業から太い献金をもらえないから、大変だなあ。
色紙と並んで、この店の不文律が貼り出されていた。
ゆし豆腐と沖縄そば
先に運ばれていたのはゆし豆腐。これが宇那志のゆし豆腐か。私のお気に入りの豆腐なのだ。加えて市販の麺では最も好きな照喜名そば。最強の組み合わせじゃないか。
醤油味のチキンはそれほど味付けは濃くない。白ごはんとキャベツとの相性がばっちりだ。ドレッシングは邪魔なくらいだ。肉質も柔らかい。しっとりとした食感である。沖縄では珍しい。一般的には定食の付け合わせをポーク玉子で済ます店が多い。
縮れた平麺は、赤いキツネのウドンを高級にしたような食感と味わいである。カップ麺を電子レンジで戻すとモチモチになるが、あれをさらに進化させたような麺である。さすが照喜名そば。
これにゆし豆腐の香りとコク、沖縄そば出汁が合わさって、滋養深い、優しい味わいを実現している。おろししょうがを溶かし、コーレーグースを加えると、一段と味わいが広がり奥行きが深くなる。柔らかな豆腐と照喜名そばとの対照的な食感も、素晴らしい組み合わせだ。
これはクセになる。
対して沖縄そばのスープはカツオの香りが力強い。魚介系の趣だ。ゆで玉子、いや、味玉が入っているのもかなり珍しい。見た目にはラーメンにも見えなくはない。
見た目は分厚い三枚肉も口に入れれば柔らかい。ゆし豆腐そばにはアクセント程度のこの量がちょうどいいくらいだ。
LINEで店と友達になると、お土産用の生麺を一つもらえるとのこと。妻も友達になれば二人前がタダになるが、さすがにそれは良心が咎めたので、一つだけ購入した。
また食べに来よう。
※5月1日に移転しました
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)