ながどう家 ちゃんぽん

沖縄県豊見城市 ながどう家 ちゃんぽんとソーキそば

沖縄のちゃんぽん

「ちゃんぽん」と聞いて思い浮かべるのは、長崎ちゃんぽんだろう。酒飲みだと、いろんな酒を混ぜて飲むのことを「ちゃんぽん」と呼んだりするが、ここでは食べ物の話限定とする。先日、仕事で行った鹿児島県出水市にも「出水ちゃんぽん」なるものがあった。福岡の水炊きやもつ鍋も締めはちゃんぽん麺を使ったりする。いずれにしても「ちゃんぽん」というのは、全国的に麺料理のことである。

しかし、沖縄でちゃんぽんを頼むとまったく異なる料理が出てくる。そもそも麺料理ですらない。ご飯ものなのだが、丼でもない。「肉野菜炒め玉子とじライス」とでも言おうか。肉を使っていないこともある。

沖縄では戦後、米軍が食料として缶詰の肉、いわゆる「ポークランチョンミート」を配給した。沖縄の食文化はもともと豚肉料理がメインだ。「声と毛以外はすべて食べる。」といわれる通り、血も「血イリチー(炒め)」にして食べる。中国で豚や鳥類の血を「血豆腐」にして食べるのと似たようなものだ。

ああ、血豆腐食べたい。

話が若干逸れたが、かのような理由で沖縄では豚肉の代わりにポークランチョンミートを料理に使うことが定着した。沖縄で「ポーク」と呼ぶのは、缶詰であって精肉ではないのだ。ポーク玉子味噌汁にまでポークは広く使われている。ゴーヤーチャンプルーも、豚肉を使う店もあるのだが、ポークを使う店が多数派だ。もちろん、ちゃんぽんにもポークを使う店が多い。

古民家の食堂

自宅からさほど遠くないところに、古民家を使った食堂がある。「ながどう屋」だ。店名の由来は、住所が豊見城市長堂だからと思われる。南風原町には「古民家食堂」という、古民家を移築して飲食店にした、気合の入った店もあるのだが、ながどう屋の家屋は築60年ほどで、古民家と言うよりは、単に古い家といった感じだ。反面、窓はサッシでエアコンも完備されてるので、古民家のように暑い思いはしなくて済む。トイレもまあまあ綺麗だ。

沖縄では自宅を改造したような飲食店は珍しくない。今時の家はきちんと玄関があるのだが、沖縄の家にはもともと玄関がない。ぱっと見た目、とこから中に入るのか迷うこともある。だいたいにシーサーが置かれてるのでわかるのだが。

店内はお座敷になっている。13時半に訪れたからだろうか、客は一組だけ。奥の席に通される。けいたまは部屋が広いので大はしゃぎ。大人には大きめの琉球ガラスのコップを、けいたまには小さなコップにしてくれた。喉が渇いていたのか、けいたまは冷たい水をゴクゴク飲んで美味しそうだ。

この店に来るのは2度目だ。前回は沖縄そばと味噌汁定食を食べたと記憶しているので、今回はソーキソバ定食とちゃんぽん定食を注文した。麺は細麺と中太ちぢれ麺を選ぶことができるので、細麺をセレクト。デザートもティラミスとゼリーのいずれかを選べるのだが、もちろんティラミスなのだ。

食事が出てくるまで、けいたまはじっとしていない。先客の家族が帰ろうとして、子供たちが使っていたあぐら座椅子を置き場に戻していた。それを見たけいたまは、早速自分もあぐら生座椅子を一生懸命テーブルまで運んできては積んで、その上に乗ろうとする。本人的には仕事をしているつもりなのだろう。その姿がまた可愛い。親バカ日記だから、これでいいのだ。

ソーキそばとちゃんぽん

まずはソーキそば定食が出てきた。ソーキそばにポテトサラダ、モーウィ(赤毛瓜)の甘酢漬け、ジューシーが付いている。茶碗蒸しまで付いているかと思ったら、紅ショウガの容器だった。味はあっさり。麺はそれほどコシはないが、沖縄そば独特の旨味がする。スープとマッチして美味い。ソーキも柔らかく、けいたまでも食べれるくらいだ。ポテサラが意外に美味い。この独特の酸味はエゴーのマヨネーズだろうか。

続いてちゃんぽん定食。ちゃんぽんにモーウィの酢漬け、ミニ沖縄そばにたくあんだ。卵はトロットロの半熟だ。これは期待できる。もう、何年も美味いちゃんぽんを食べてない。深夜の食堂だと、玉子が完全にゆだっていて、美味しくないのだ。

この店のちゃんぽんの特徴は、ポークではなくソーキの肉が使われている。こいつもトロットロだ。だが、脂が落ちてしまっているので、いささか物足りない。野菜の火の通りも申し分ない。ボリュームもある。だが、あと一息、何か足りない。妻は「美味しいよ。」と食べている。けいたまもそばと一緒に食べている。美味しいんだけど、本当にあと一歩。

お腹がいっぱいになったけいたまが飽きてしまったのか、店の中を駆け回り始めた。まずい。食事の残りと会計を妻に任せ、私はけいたまを回収すると店の外に出た。

敷地の中の小さな池にトンボが卵を産み付けていた。沖縄も秋の気配がしてきた。あと三ヶ月ほどで今年も終わりだ。

早いなぁ。

ながどう屋(ちゅらグルメ)

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