富山駅前で魚を食べる
知人の激励会に出席するために富山に来た。19時開始だ。今は16時半。まだ、だいぶ時間があるのだが、すでに腹が減った。
困った。
富山の知人に、駅前で17時から営業している、地魚の食える美味い寿司屋を紹介してほしいと連絡すると、駅から5分ほど歩いたところにある「うお清」という店を予約したという。ありがたい。持つべきものは友人だ。
ホテルから店に向かう。わかりやすい場所ではないが、なんとか迷わずにたどり着いた。予約があることを伝えると、カウンター席に通された。店内にはすでに数組の客がいた。
メニュー
とりあえずビールを頼むと、やはり今日、富山に集まる友人たちのLINEグループに「富山なう」とトークを入れてから、何を食べようかとメニューを見た。
私の後からも客が入ってきたが、皆、断られていた。よほどの人気店なのか。刺し盛りを注文する。
ここでLINEが入った。
「私も同席できますか?」
月野さんだ。カウンターの大将に二人入れるかを尋ねる。そこの狭いテーブルでよければと、快諾してくれた。
じょんじょろ
再びメニューに目を通す。げんげ…じょんじょろか!久しぶりだ、こいつを食おう。天ぷらだ。
げんげは日本海に住む深海魚だ。新潟ではじょんじょろと呼ぶようだ。随分前にケンミンショーでこの魚を見た数日後、当時住んでいた北松戸の近くにオープンした角上魚類に行ってみたところ、こいつが売っていた。即買いし、自宅でさばいて煮付けと天ぷらに。上品な味でどちらも美味かったが、ぬめりが凄くて、調理には難儀した。
しばらくして月野さんがやってきた。大将が二階の席を用意しましたと気配りしてくれる。ありがたい。席を移し、乾杯したところですでに6時前だ。30分しか飲めないねと、二人で話した。そして出てきたげんげの天ぷら。正式和名はノロゲンゲ、漢字で書くと「幻魚(げんげ)」である。
塩をつけていただく、身はほろほろでホクホク。コラーゲンがたまらない。ああ、優しい味だ。上品だ。ハイボールに合うなあ。
ここで月野さんがおそるべき秘密を打ち明けた。
「僕、今晩帰るんですよ。」
え?たった今、富山に来たばかりなのに、今晩帰るの?
「明日の朝、9時から打ち合わせ入っちゃって、間に合わないんですよ。」
いや、始発で帰ればなんとかギリギリではないだろうか。
「朝早く起きるの不安ですし、だから、せめてノドグロは食べて帰りたいですよね。」
そうだ、ノドグロだ。日本海の宝だ。出雲でも食ったぞ。テニスの錦織の大好物だ。幸い、塩焼きがあるので注文する。
気がつけば6時半。ノドグロはまだ来ない。
「もう一杯で行きましょうか。」
月野さんと話が盛り上がる。気がつけば杯が乾いてる。ノドグロはまだ来ない。
「遅いですね、間に合いませんよ。キャンセルしましょうか。」
月野さんが言うので、店員に聞いてみると、まもなく焼きあがると言う。
「なら、仕方ないですね、もう一杯行きますか。」
のどぐろ塩焼き
さらに一杯。ようやくノドグロが出てきた。すでに7時だ。脂ののったこいつは文句なくうまかった。
急いで会計を済ませ、店を出た。会場に着いたのは七時半。二人で「ノドグロが出てこないから仕方ない。」と釈明すると、周りも「それは仕方がない。」と納得していた(笑)
激励会が終わり、二次会会場に移ると、乾杯が終わるや否や、私と月野さん他数名で、二月に私が行った綺麗どころの店に行き、大盛り上がり。月野さんは帰るのを断念して、ホテルをとった。
0時頃に解散。ホテルに向かって歩いていたところを、鈴木と吉良に見つかり、そのまま拉致されて二時間。カラオケがないと騒ぐ鈴木にもう一軒連れていかれて、記憶がない。ホテルに戻ったのはかなり遅かった。いや、朝早いとでも言うのか。スマホアプリの記録なので、さっぱりわからない。
翌日、目が覚めたら9時半。慌てて荷物をまとめてチェックアウト。この日は夕方まで、強烈な二日酔いに襲われたのは言うまでもない。
うお清(ヒトサラ)
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)