さっぽろラーメン 桑名

北海道札幌市 札幌駅 さっぽろラーメン 桑名

冬の時計台

夕方に時計台を通ったとき、ライトアップされていることに気づいた。昔からなのか、今だけなのか分からないが、雪に映える白い時計台が美しい。昼間とは違う表情を見せてくれる。旧北海道庁は赤れんが、時計台は白い館。紅白で対をなしてるのだろうか。

小学校六年生のとき、十歳年上の大学生のいとこと、その友人四人の北海道旅行に便乗して、東京から札幌まで来た。ホンダシビックに5人。今から考えると無茶な旅だ。途中、盛岡と函館に泊まった。盛岡ではユースホステル、函館は母方の親戚の家だったと記憶している。四十年前のことだから、東北自動車道も青森まで開通していなかったと思う。

一緒に旅行したうちの一人、弘一さんはいとこの彼氏で、その後、二人は結婚した。今は新橋ビルの地下の蕎麦屋を夫婦で切り盛りしている。弘一さんとの付き合いも四十年になる。穏やかな性格で、人を茶化すのが上手い人だ。

札幌でいとこらと別れ、母方の叔母の家にお世話になった。二人の叔母の家に泊まった。一人は琴似、もう一人は真駒内。バスと地下鉄で札幌市内を回った。時計台、北大、希望の丘などなど。北大の学食で食べたラーメンを本場だと感動したが、小学生が一人で大学生に混じって食事をしている姿を想像すると、よくもできたものだと我ながら感心する。

岩見沢の親戚の家にも何日か行った。年齢が一つ下のいとこの女の子がいた。叔父にダムに連れて行ってもらったことを覚えている。

そして、生まれて初めて飛行機に乗り、羽田から自宅に帰った。ひとり旅は幼稚園の頃からしていた(らしい)ので、まったく問題なしだ。

札幌ラーメン 桑名

天ぷらを食べ終えた私は地上に出てラーメン店を探そうとした。どこに店があるのか。とりあえずネットで探す。すぐ近くに味噌ラーメンの店があるようだ。評価は2.8。なぜこんなにも低いのか。口コミも内容がバラバラだ。興味が湧いた私は、この店に行くことにした。

歩くこと2分、すぐに見つかった。店構えは悪くない。店に入る。カウンターには若い店員がいた。まだ時間が早いのか、客は一人しかいない。

メニューは味噌、塩、とんこつ、正油すべてがある。味噌ラーメンを注文する。

創業から二十八年、ついに東京の常盤台に店を出したと書いてある。美味しくない店がこんなにも長く、こんな一等地に店を構えていられるだろうか。考えていたら、フロアの店員が入ってきた。これも若い女性だ。ふと、カウンターの中を見ると、お母さんがいた。店員はお母さん以外は皆若い。

味噌ラーメン

カウンターの内側から出されたラーメンは、私が思い描いていたものとは違っていた。味噌ラーメンではあるが、いつも食べるものとスープの色がちがう。表面には脂が層になって浮いている。まあいい、食べようじゃないか。

まずはスープを飲む。うん、札幌味噌ラーメン独特のパンチがない。不味いわけではない。そう、まるで味噌汁みたいなスープなのだ。続いて麺を食べる。モチモチした中太縮れ麺。メンマも普通だ。これといって特徴がないのが特徴なのだろうか。

チャーシューは味も歯ごたえもしっかりしている。スープの表面にはかなりの脂が浮いているのにくどくない、脂の甘さも感じない。あっさりというか、さっぱりというか、不思議なラーメンだ。天ぷらを食べた後なので、苦戦するかと思いきや、スルスルっと食べられてしまった。

食べ終えて思う。これは賛否両論ある味だ。若い人や観光客向けの味ではない。典型的な札幌味噌ラーメンを求める人には不満が残るだろう。店内を見回すと、食べているのは、私と同世代か先輩ばかり、それも地元客のようだ。しょっちゅう食べたくなる味ではないが、フッと思い出すと食べたくなるような味なのだ。

店を出て、敢えて雪道を行く。地下道は楽だが、景色が楽しめない。赤れんがテラスの見事なライトアップが目に入った。奥に見えるのは旧北海道庁だ。

さて、ホテルに戻って仕事を終わらせよう。明日はようやく家に帰れる。

さっぽろラーメン 桑名

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