コク旨かす蕎麦

北海道札幌市 すすきの かすそば 風土

久しぶりにきつい二日酔い

昨晩はススキノに繰り出して、年甲斐もなくイッキ大会に参加してしまった。8人で2時間。ウイスキーのボトルが3本は空いただろうか。グラスの七割ほどのウイスキーにわずかな炭酸を加えて「ハイボール」と称される。ゲームの負けが連チャンし、何杯飲んだか分からない。楽しい時間だったが、その代償は大きくついた。

翌朝はなぜかスッキリと起きることができた。朝食もしっかりと食べたが、まだフラフラする。二日酔いではない。まだ酔っていたのだ。ホテルを出て、札幌駅で特急を待つ。ホームで出会った知人に「酒臭い」と言われる。だろうなぁ。この辺りから酔いが覚め始め、二日酔いへと変わっていく。電車へと乗り込み、席に着くとすぐに眠りについた。砂川までは一時間だ。

昼から始まった会議はランチョンだったので、机には弁当が置かれていた。北海ちらし寿司。口に入れる。気持ち悪い。ダメだ。半分も食べずにフタをした。なぜか眠くはならなかったので、会議での発言には問題なかったが、体調はどんどん悪くなる。この後の本会議を耐えられるのか不安が襲う。

まあ、なんだかんだで、5時間半の会議は乗り切った。

会議が終われば懇親会だ。グラスにビールが注がれる。乾杯の挨拶が終わる。しかし、ビールが飲めない。体が受け付けない。ウーロン茶をひたすら飲む。気持ち悪くなる。水に切り替える。美味い。水が美味い。まさに甘露だ。

酔い覚めの 水を飲みたし 酒を呑み

江戸時代にこんな川柳があったはずだ。

やはり何か食べたい

懇親会も二次会も、ほぼほぼ酒を飲まずに過ごし、特急オホーツク号で砂川を後にする。特に腹も減ってなかったのでそのままホテルに戻ったのだが、部屋について一息つくと、やはり腹が減ってきた。何か食べたい。コンビニで買うことも考えたが、ここは北海道。しかもススキノ。店ならいくらでもある。せっかくだから食べに行こうと、千円札3枚と小銭入れだけを持ってホテルを出た。

やはりラーメンか。味噌ラーメンは、ちょっとくどいな。鳥ポタ系も、ススキノの店はイマイチ好きではない。スープカレーの店はこの時間ないだろう。これだけの店がありながら、今の私が求める食が見当たらない。なぜだ?寿司もいらない、ジンギスカンもいらない、海鮮なんかどうでもいい。蕎麦も違う。うどん屋は見当たらない。こんな時に限って、だるまやに誰も並んでないよ!ススキノをさまようこと20分。飲み屋ビルの裏路地を入ったところに、気になる看板を見つける。

かすそば 風土

かすそば?「かすうどん」なら知っている。豚の脂かすを入れたうどんだ。昔、北松戸で食べたぞ。でもここは札幌だ。ラーメンを使った新しい味に違いない。そんなことを思い浮かべながら、しばし店の前に立っていた。店の外には食べ終わった客だろうか、7名ほどの団体が、こちらに背を向けてたむろしていた。その脇を通って店に入ろうとした時、お互いに目があって驚いた。先ほどまで私と同じく砂川にいた者たちだ。

「一緒に飲みましょう!」

彼らに誘われる。店内から店員が出てきて、裏口を案内される。実は二階に団体用のお座敷があり、そこは店の裏からしか入れないのだ。彼らは席の用意ができるのを待っていたのだった。まあ、ハイボール数杯と麺くらいなら金も足りるだろうと、一緒に食べることにした。

8人席に通される。メニューを見る。コク旨カスそば、辛旨カスそば、とりもつそばがメインのようだ。

壁にも色々と貼られている。

とりあえず全員の酒とおでん、餃子をオーダーする。私はコク旨カスそばを選んだ。聞くと玉子は入っていないということで、ネギと卵のトッピングを追加した。

おでんはすぐに出てきた。だしの染みた薄味の大根はほろほろと崩れる。うまい。他の具には箸をつけなかった。

やはり酒が入らない。体が欲していない。

続いて餃子。見事に羽付きだ。塩か辛味噌で食べるという。餃子は普通の味だ。これなら酢醤油とラー油で食べたかったなぁ。

コク旨かすそば

そしていよいよ、カスそばが運ばれてきた!

が、え?

えー?!

出てきたのは想像していたものとだいぶ違う。麺がラーメンではない。蕎麦だ。つゆをすすってみる。ああ、優しい味だ。ゆずが少しきいた関西風うどんだしだ。味噌ラーメンよりこっちのほうが今の私には合っている。だったらこのラーメン風のネギトッピングはないんじゃないか?普通に薬味にしたほうがいいのではないか?しかも玉子は生卵だ、月見だ!そばに煮卵は入れないよなぁ。

とにかくそばをすする。

うーん、ちょっと伸びてないかな。これなら冷たいほうにすればよかったが、そうするとこの優しいつゆには巡り合えなかった。やはり体が欲するものを食べたほうがいいのだ。

このプルプルしたものが牛カスなのだろうか?かすうどんの「かす」とはだいぶ違うな。不思議な食感だ。解説を見つけた。

食べきれない。やはりまだまだ調子が悪い。1日に飲める量を超えると翌日に持ち越されるようだ。もう歳だからアホな飲み方をしてる場合ではないのだ。そしてカスそばは、奇をてらってるのか、新しい味を求めてるのか、よく分からないのだ。

なんだか鬱になってきた。

「次、行きましょうよ!女の子が待ってますよ!」

勘弁してくれ。明日は釧路まで飛んだ後に根室まで車を運転しないといけないんだ。それに金も持ってない。

「金なら大丈夫です。最後まで面倒見ます。」

なまじ金を持ってるやつらと付き合うと「金がない。」では逃げられない。酒が入らないのだから、マジで勘弁してくれ。若者だけで楽しんできてくれ。

「わかりました。お疲れ様です。」

ドーッと疲れてホテルに帰ったのに、なぜか寝付けなくて困った。

すすきの かすそば風土(ぐるなび)

(Visited 33 times, 1 visits today)