久留米と言えば、やっぱりラーメン
「久留米の食べ物と言ったらなに?」
久留米の知人に聞いた。
「ラーメンと、あとは締めはゴボ天うどんですかね〜」
彼はいいやつなのだが、天然で話が噛み合わない時がある。
「締めに限定しなくていいよ。」
「そしたら焼き鳥屋が多いと言われますね〜」
なんか違う。
久留米に来るのは何度目だろう。確かに久留米といえば久留米ラーメン。若い頃に大砲ラーメンが食べたくて来たことがある。まだ「ドロンジョにおまかせ」の4号機が現役の頃だ。同じ福岡県内でありながら、博多とも北九州とも違う、コラーゲンが麺に絡むような独特のトンコツが特徴だ。
「俺、久留米の人間だけど、トンコツ苦手なんですよ〜。やっぱり味噌か醤油ですねー。」
どうでもいい情報、ありがとう。
久留米に来ると毎回違うラーメン屋で食べてる気がする。最初は大砲ラーメン本店で食べた。ラーメンはもちろんうまいが、漬物も好きだ。特に冬は「山汐菜」の浅漬けが好きだった。調べてみると、江戸時代に筑後川の氾濫で山から流されてきた種子が、川の中洲にたどり着いて自生したものだとか。久留米特産の野菜を使うとは、なかなかやる。
久留米市内の交差点で見た「九州から韓国までトンネルを掘ろう。」という趣旨の看板が印象的だった。本気かいな。
それからだいぶ時間が経ち、昨年も久留米でラーメンを食べた。女主人が切り盛りする、器からなにまですべてヒョウ柄の店。ただ、レンゲだけはヒョウ柄にできなかったと残念がっていた。
この日も何人かで呑んだ後、当たり前のように食べに向かう。ラーメン屋が軒を並べる通路を歩く。ヒョウ柄のラーメン店は本日休業とのこと。別の渋い店に行くという。先ほど呑んだクラブの女性のひとりが店を案内してくれた。
久留米屋
赤ちょうちんが渋い。暖簾をくぐって、カウンターのみの店内に入る。席に着くと目の前におでんがあった。メニューはいたってシンプル。
「チャーシューメンはありますか?」
「黙ってラーメン頼め。」
チャーシューメンはないとのこと。
ラーメンが出てくるまでおでんをつまむことにする。ここもおでんはセルフで自己申告だ。味の染みた厚揚げと大根を鍋から取り出し、箸で割る。口に入れる。コクのあるダシがじわーっと口に広がる。厚揚げもクタクタに煮込まれている。んまい。
大将がひとりで切り盛りしてるので、ラーメンは順番に出て来る。おでんを食べ終わった頃に、私の番が回ってきた。
スープをすする。マッタリとしていて、それでいてしつこくない、という使い古されたフレーズが脳裏に浮かんだ。麺をすする。ストレート細麺がトンコツにマッチする。チャーシューもボリュームがあり、食べ応えも満足だ。半分ほど食べてから、紅生姜を投入。さっぱり感が加わり、一粒で二度美味しい。
満足して店を出る。久留米はやっぱりラーメンだ。いろんな店があって、それぞれにおいしい。すでに自分の中では「久留米ラーメン=大砲ラーメン」ではない。まだまだ知らない店の味が久留米の夜には味わえるはずだから、また何回でも来てみたいと思ったのだった。
やっぱり、久留米ってラーメン以外に「これ」っていうものはないのかな。今度は別の人に聞いてみよう。
久留米屋
住所:福岡県久留米市日吉町15-6
電話:0942-36-1049
営業時間:20:00~翌3:00
定休日:日曜・月曜・祝日
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)