トルコライス

大阪府 新大阪駅 グリル洋食 サシャ トルコライス

伊丹空港から加古川へ

土地勘がないところだと、位置関係は分かっていても、距離感が分からなかったりする。私は埼玉と千葉に住んだことがあるから、東京と大宮や千葉の距離感は理解している。だが、東京と川崎や横浜になると、いまいちピンとこない。京都と大阪の距離感は分かるのだが、神戸や明石、姫路となる、同様にピンとこないのだ。

伊丹空港から加古川に行こうとするも、三宮行きのバスは出たばかりで、次のバスまでは一時間以上ある。すぐに出るバスは、大阪、新大阪、西宮の三箇所だ。うーん、加古川が姫路の近くなのは知っている。ならば、新幹線で行った方が早いのではないだろうか。ならば、私が行くべきは新大阪だ。

関西在住の方なら、この私の判断が、いかに素人なのかお分かりであろう。羽田から大宮に行くのに、新横浜行きのバスに乗るようなものである。無駄に遠回りである。しかも、だ。西明石に泊まる新幹線は一時間に一本しかない。加古川までは、新幹線でなく、新快速に乗らなければならないのだ。

だが、乗ってしまったものは仕方がない。急いでるわけでもないが、今は14時前。新大阪からの西明石に停まる14時発の新幹線には間に合わない。新快速で加古川に向かうと、現地に着くのは15時半だ。そこまで待って、加古川のソウルフードである「かつめし」を食べるのも微妙だ。

腹が減った。

新快速なら一時間に何本か走っている。ここは新大阪でメシを食うことにしよう。ネットで見る限り、駅構内に店が数多くあるようだ。カレーか、551の中華か、それとも。食い倒れの街だから、美味いものが食えるだろう。

グリル洋食 サシャ

新大阪でリムジンバスを降りると「味の小路」なる看板が目に入った。一階にも飲食店街があるのか。新大阪には何度も来ているのに、気付かなかった。まるで何かに導かれるかのように、私は小路に入った。

さて、なにを食べようか。

ラーメン、ないなぁ。粉もんも今日は気分ではない。蕎麦は昨日も食べた。カレーも美味そうだが、うーん。うどんすきかぁ。

どれもピンとこない。ん?懐かしい美味しい洋食だと?トルコライス?

ふらふらっと引き寄せられるように店に近づく。これ、いいんじゃないか?私は躊躇なく店に入った。引き戸が重い。中はカウンター7席のみの小さな店だ。14時過ぎだというのに店はほぼ満席。カレーを食べている客が多い。

メニュー

壁のメニューを睨みつけて悩む。

頭の中で様々な葛藤と戦いながら私が出した答えは、人気メニューのトルコライス。明日は「かつめし」だというのに、我慢ならなかったのだ。

お冷やと一緒にコンソメスープを渡される。一口飲む。薄口で、すっと胃にしみる。オニオンの香りがいい。機内サービスのスープのように、後味が引くこともない。美味い。

先の客がトルコライス大盛りを頼んでいた。カウンターに出されたそれを見て、他の客が驚く。

「それ、なんや。めっちゃええなあ!」

しばし時間を置いて、私のトルコライスも運ばれてきた。

トルコライス

ナポリタンは麺がもっちもち。トマトソースでピーマン、玉ねぎ、ソーセージをがっつり炒めた脂ギッシュな一品だ。昭和を感じる味だ。

カツは見た目が小さめでガッカリしたのだが、食べてびっくり。熱々でジューシーな上に、肉が柔らかい。しかも、ビフカツだ。関東はトンカツが当たり前なので、食べるまで分からなかった。美味い。

サラダはみずみずしく、酸味控えめのドレッシングと相性がいい。コッテリしたナポリタンにバターライス、ビフカツを食べた後の口直しはまるで砂漠のオアシスのようだ。美味い。

バターライスに入っているコーンとグリーンピースは、ミックスベジタブルではないようだ。あれより小さいし、人参が見当たらない。ただ、少しベタっとしてるのが残念だ。それともバターライスとはこんなものなのだろうか。

客とシェフが世間話をしている。客が言う。

「一階にもこんな店、あんねんなあ。」
「そうなんです。もっと一階も宣伝してくれると嬉しいのですが。」

別の客がシェフに声をかける。

「こんな美味しい店が一階にあるなんて知らなかったわ。私、神戸だけど、また来るわ。」

その女性は双子の高校生を連れてきていた。トルコライス大盛は高校生が食べていたのだ。育ち盛りだもんな。納得。

思いがけない店との出会いが旅行の楽しみに一つだ。今回も素敵な店に出会うことができた。新大阪にきたら、今度はAセットかカレーを食べてみたいものだ。

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