ラーメン

三重県四日市市 近鉄四日市駅 炭焼き立ち飲み屋 ヤマコー

ラーメン屋でラーメンを食べなかったおっさんが立ち飲み屋でラーメンを食べるのはどうですか?

本日のスケジュールは下記のとおりである。

長かった一日がようやく終わろうとしている。現在時刻は午後11時半。まさにクロスオーバーイレブン。あと30分もすればジェットストリームである。黒い三連星ではないことを忠告しておく。津嘉山正種の方である。福山雅治主演のドラマ「集団左遷」にも出演していた俳優である。

ちなみに「つかやままさね」と読むが、沖縄県南風原町津嘉山は「おきなわけんはえばるちょうつかざん」と読む。この地にある「津嘉山タクシー」は「つかざんたくしー」と読むのに対し、同じ町内にある津嘉山自動車学校は「つかやまじどうしゃがっこう」と読むのだ。沖縄では「教習所」とは呼ばず「自練」「自校」と呼ぶのである。さらに言えば豊見城は…以下、割愛。

近鉄四日市駅 炭焼き立ち飲みヤマコー

連れてこられた店は、炭焼き立ち飲みヤマコー。なかなか風情のある店構え。中も昭和情緒ただよう、酔っ払いのおっさんたちに若者も交じるような雰囲気である。最近流行りのセンベロの匂いがしないでもない。

店の手前に立ち飲みカウンターがあり、その中に厨房がある。奥には立ち飲み用のテーブル席が用意されている。メニューはすべて壁に貼られている。品ぞろえはかなり豊富だ。

奥にあるテーブル席の壁面にもメニューの木札が貼り付けられている。立ち飲みだけあって、価格はリーズナブルだ。とりあえずのファストメニューから煮物、がっつり系のどんぶりメニューまで網羅されている。

どて煮を堪能

お通し代わりなのか誰かが頼んだのか、どて煮が出てきた。牛のスジ肉を八丁味噌とみりんで長時間に込んだ、名古屋名物の料理である。ここ四日市は名古屋圏に位置するので、食文化も共通するものがあるのだろうが、実際にはこのあたりが発祥でありながら、目端の効くものが名古屋に持ち込み、名古屋名物となったものが少なくない。ひつまぶししかり、天むすしかり、熟女キャバクラもすべて三重がオリジナルである。どて煮は東海地方が発祥のようである。

甘辛い味付けには、みずみずしくシャキシャキとした長ネギの香りとピリリと辛い一味が欠かせない。カウンターの内側の厨房に、レンガで囲まれたどて煮の鍋が鎮座する。見た目から食欲をそそられる。

店員がどて煮を鍋から雪平鍋に移し替え、ゆで玉子を投入して調理する。ああ、白身にしみ込んだ甘辛いたれと、玉子の核である黄身の甘みが溶け合い、融合し奏でだすコンチェルトのハーモニーが頭に浮かぶ。これは美味いに間違いないのだが…待て。先ほど餃子とトンテキを食ったばかりだ。それに忘れてならないのは、この店に来た理由だ。本日最後のミッションだ。目的を見失い、手段におぼれた諜報員に未来はない。

ほどなくしてまったりと雪平鍋のなかでどて煮に浸かっていた玉子が私の眼前に置かれた。美味そうだ。しかし、これを食べるとラーメンは無理っぽくないか?誰だ、こんなに注文してるのは。ううう…とりあえずハイボールを飲んで、酔った頭で考える。

牛たん焼き

そこにまさかの刺客。なにこれ?焼肉?牛たん?ほぼ全員がまちがいなく泥酔している。理性が緩んでいる。食べたいものを片っ端からオーダーしているのだろうか。さすがに牛タンは名古屋でも三重でもないだろう。ここで食べる必然性が分からない。酔っているから食べちゃうけどな。玉子よりはライトだ。

ついにラーメン、ようやくラーメン

そして運ばれてきた、二時間越しで待ちわびたラーメン。いや、チャーシュー麺だろうか。これは美味そうだ。ラーメン専門店よりも炭焼き立ち飲みの方が美味かったら、ラーメン屋の顔が立たないと言ったもんだが、そんなの関係ねえ。旨いもん勝ちじゃ。弱肉強食だ。それが自由経済だ。美味いは正義、不味いは悪。それが真実だ。

酔っ払い仕様のラーメンなのか。やけに旨い。細かい味は記憶にない。スープは香り良く、麺はのど越し良かった気がする。腹がいっぱいなのに、なぜだろう、スープを飲んでしまう、麺を食べてしまう。待っただけの甲斐があったというものだ。

チャーシューが柔らかくて美味かったと、未来の自分に託した画像がこれなのだろう。立ち飲みなのでメモが取れない。いや、泥酔状態でメモを取るのがどうでもよくなっていたが、写真だけは撮っていた。文字でメモができないので、こまめに画像を撮影したのだろうか。いずれにしろ、ラーメンは美味かった。チャーシューも柔らかくて口の中でとろけたのだろうか。確かめる術(すべ)は、再来訪しかないだろう。

そして生還

食べ終わってこれで帰れると思ったら、周りが再び飲みだして、ついていけないと思ったことは覚えている。ラーメンは食べ尽くしたが、玉子は食べきれなかった。そこへ鶏皮フライ。飲む気まんまんだなぁ。

飲み始めてすでに七時間が経過しているのだ。限界だ。これではらちが明かないので、いくばくかの金を置いて、そそくさとホテルへ逃げ帰った。

翌朝、デジカメが壊れていた。レンズが収納できなくなっていた。起動してもシステムエラーが表示される。最後に撮ったのはチャーシューの画像であった。カメラに何が起きたのだろうか。結局、修理に出してレンズユニットごと交換となった。

ああ、四日市。また逢う日まで。

(Visited 58 times, 1 visits today)