苫小牧新鮮魚市場
苫小牧駅前のホテルを予約したのだが、日曜日の夜ということで、付近に食事をできる店が皆無だ。駅前にはドン・キホーテしかない。その隣の洋食店が良さそうだったが、午後九時になるというのに、行列ができている。並ぶのは嫌だ。仕方なく、タクシーで繁華街に向かう。実は今日は私の誕生日。誰も祝ってくれないが、今さら祝う歳でもないが、ひそかに自分にお祝いをあげてもいいだろう。
繁華街を歩いて最初に見つけたのはこの店。とりまよザンギ定食にちょいのみ。魅力的だ。ネットでもこの店を見かけた気がする。
しかし、私は海鮮を食べたい。
メニュー
近くに見つけたのは苫小牧新鮮魚市場。ここしかないか。意を決して中に入る。壁に貼られたメニューが目に入る。
カウンター席に通された。さて、なにを食べようか。
ご飯ものはないのか。これか。魚市場の新鮮ゴッツ丼。
値段はかなりお高めだが、壁にも貼ってある。人気かつ自信の一品なのだろうか。一抹の不安もあったが、これと漬物盛り合わせを注文した。店員が注文を確認するという。本日は出せないメニューも多々あるとのことなのだ。幸いゴッツ丼は作れるという。日曜日の夜は本当に店が開いていない。きっと早い時間に混んで、材料がなくなったのだろう。
漬物盛り合わせ
お通しの茎わかめと漬物をかじりながらちびちび飲む。朝から何も食べていない。普通に飲んだら一気に酔いがまわる。あまり美味しくないのだが、空腹ゆえにぽりぽり食べてしまう。
まずは漬物盛り合わせ。
え?
確かにこれは漬物だが、ぬか漬けや浅漬けだけというのはないのだろうか。大きな箱の居酒屋で漬物を頼む方が間違いなのか。しかしサラダはラーサラとかシラスサラダのようなものしかなかった。仕方ないだろう。それとも酒の肴か?トマトスライスすらないんだぞ。
ゴッツ丼 登場
え?
なんかメニューと激しく違うんでないかい?
丼(どん)とは、丼にご飯をよそい、上部を平面に慣らしたところにネタを置くものではないだろうか。カレーライスとカレー丼は別物であるし、チャーハンを丼に入れるものもいないだろう。
しかし、これはなんだ。和風レアシーフードライスとでも呼べばいいのだろうか。アボカドが添えられていたら、白いソースかかかっていてもおかしくない風情だ。
まあいい、腹が減ってるんだ。食べてみよう。甘エビ甘い。新鮮。サーモンうまい。ふわっとしている。いくらと食べるとさらに美味い。平目もいいね。カンパチも悪くない。つぶ貝はコリコリして甘い。磯の香りがする。ホタテに見えたネタはタイラギだろうか。好きなんだよなあ。ご飯が少し水っぽい。酢飯なのか違うのか、判断に困る味なのだ。温かいご飯なのはいいのだが、ガリのせいで酢飯っぽくなったのか。イクラはイマイチかな。生筋子から自分で作ったものの方がはるかに美味い。
でもなあ、これで2600円。福寿衣の海鮮丼は1600円で、味噌汁まで付いていたし、豪華さも華やかさもあった。対してコイツはなんだ。ネタ一つ一つはいいのだが、総合力で負けている。コスパも悪すぎる。
結局のところ、居酒屋は飲むところであり、メシを食うところではないのだ。店の評価を誤った私の負けなのだ。
ごちそうさまと後悔
ザンギ定食にすればよかった。最初のインスピレーションが大事なのだ。現状把握を怠り、自分の欲求に従った結果がこれだ。冷静に考えれば分かり切っていたことだ。
愚かなり。
何か敗北感に打ちひしがれて、セイコーマートで買い物を済ませた51歳の誕生日の夜だった。
おそらく、この夜を私は一生忘れないだろう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)