鳥レバー刺身

徳島駅 焼き鳥 鳥ぼん 刺身と串焼き・親子丼

徳島の人気焼き鳥店 鳥ぼん

羽田から徳島に着き、夕方の会議を終えた。夕食に誘われたので、ホテルに戻って一息ついてから指定された店へと向かう。宿泊は定宿の白水園。繁華街に位置するので、夜の店まで歩いて行ける。店を予約してくれた取引先の山上さんからは、分かりにくい店なので、と言われていた。繁華街から少し外れた、住宅と店舗が混在している細い路地を歩いていると、白い提灯が見えた。外は黒塗りで分かりにくいと山上さんが話していたのを思い出す。

ここだ。

メニュー

落ち着いたシックな店構えだ。店の外にはメニューが貼り出してあった。阿波尾鶏のしゃぶしゃぶに鹿児島親鶏のもも焼き。いずれも美味そうだ。

串も充実してる上に、魅力的なメニューがいくつもならんでいる。これは期待できそうだ。山上さんと食事をするのは初めてなのだが、なかなか食べ物にうるさい人なのだろうか。大歓迎である。

徳島の言葉で言えば、犬舌の人と食事はしたくない。食えればいいなんて考え方は、食事文化の冒涜である。人それぞれなので相手を非難するようなことはしないが、やはり感覚の合わない人との食事は、時には不快な思いをするものだ。

暖簾をくぐると細長い通路だ。その先にドアが見える。開けて店内に入る。まだ通路が続く。このダンジョンの先に果たして店はあるのだろうか。まるで沖縄のドラえもんのような間取りに少々不安と期待が混じる。

大きな花瓶に生けられた花の先には店内が広がっていた。テーブル席に案内される。山上さんはまだ来ていなかった。壁には薬味とおすすめメニューが並んでいる。ちいたけ焼きが気になる。チキンカレーも美味そうだ。それよりも、銀杏があるではないか!食べたいぞよ。ジャズの流れる店内、シックで伝統的な店構え。オーソドックスなメニュー。これは楽しみだ。

ほどなくして山上さんが到着。とりあえず生を二つ注文すると、本日のメニューは彼に任せることにした。お通しはポテトサラダである。

刺身と串焼き

この店の店主が大阪の焼き鳥店で働いていたのだが、事情があって徳島に戻ることになり、本店の許可を得て徳島に店を出したとのことだ。大阪の店はすでになくなったようだが、徳島にオープンして十五年以上になるとのこと。山上さんはオープンしたての頃からこの店に通っていたそうだ。

まずは鳥刺身盛り合わせ。これはすごい。レバー、砂肝、はつ、ささみにハツ元。管(かん)や赤紐(あかひも)などと呼ばれる、心臓につながる大動脈のことだ。いずれも臭みなくて新鮮。砂肝は生姜でいただく。シャクシャクの食感が楽しい。ハツは弾力がある。ごま油と塩でいただく血肝はふわふわなのだ。ハツ元は珍味。このレベルの鳥刺しはなかなか食べられない。沖縄ではほぼ絶望的であろう。

続いて串である。トップバッターは血肝、レバーである。ふわふわでいて、なおかつ舌に絡みつ、高級チョコのような滑らかなねっとり感、口の中に広がるレバーの旨味。たまらん。これはたまらん。

鶏皮も少し焼き過ぎだが、カリカリでうまい。エリンギもいい。つくねポン酢は鳥の旨味を感じつつネギとポン酢でもみじおろし。これはありだ。串がどんどんくる。何を食べてもうまい。ウズラの代わりに卵巣を使ったメニューもある。

「珍味ですよ」

山上さんが言う。こないだ加古川で食べた卵巣の話をすると、それは最近大阪で話題になっている食材だという。それほどの珍味であったか。

親子丼

いよいよ締めに入るか。しかし、腹がいっぱいだ。もう食べられない。

「あまり食べないんですね。」

山上さんが大食漢なのである。なんと親子丼を食べるという。それは食べてみたい。だが無理っぽい。山上さんが一口、取り分けてくれるというので、素直に甘えることにした。

親子丼が運ばれてきた。見た目にやばい。玉子がトロトロだ。シルクのように滑らかな半熟玉子に包まれた、ジューシーな鶏もも肉。素晴らしい火加減、絶妙な職人技。私のような素人ではとても太刀打ちできない親子丼がここにある。一口いただく。ああ、口の中に至福が広がる。玉子、鶏肉、タレにご飯。味わいだけではない、食感までもが芸術だ。これらすべてが一つに混じりあい、親子丼の味を至高にまで高め合っていく。

すごい。

鳥モツに温玉のせ

最期はぐつぐつに煮えた鳥モツに温玉のせ。見た目のインパクトもすごいが、味も素晴らしい。やわらかいもつに辛めのたれ、玉子の甘み。計算されつくした味わいだ。これもご飯にのせて食べたくなるが、無理な話だ。

いやあ、味も量も大満足である。

次回もまた食べに来たいと強く思いながら、店を後にした。実はチキンカレーも食べてみたかったのだ。

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