雨の鹿児島市
本日はホテルに缶詰で仕事である。自宅に戻ればいいのだが、飛行機が満席だった。福岡空港経由で帰る方法もあるが、時間がかかる。東京に戻ればさらに時間が無駄になる。よって鹿児島に延泊して、ホテルで仕事をすることにした。プランニングと資料づくりが主な業務なので、ネットさえつながればどこでも仕事ができるのだ。昔はプログラミングをしていたから、やはりどこでも仕事ができた。20世紀の頃からノマド化していたのだ。中国にはネットもない時代であった。
昼は久し振りに蘭州拉麺を食べることができたのだが、夜はどうしよう。あいにく外は土砂降りなので、ホテルの近くで済ませたい。ついでに近所のブックオフで本を探す。Amazonでも手に入らないコミックがあるかもしれないと考えたのだ。おお、あったぞ、アスペル彼女の三巻!Amazonでは中古で2000円で売られているのが360円。やった。こういう転売をするのが「せどり」という商売なのだろう。あとは「軍靴のバルツァー」だ。
天文館 中村屋
大雨の中を歩いたせいでズボンの裾がずぶ濡れだ。早く建物の中に入りたい。夕食は定食でチャット済ませて、早く購入した本を読みたい。で、とっとと寝たい。
ホテルの近くの店は四件。定食屋、洋食屋、居酒屋、はなまるうどん。うーん、定食屋がいいかな。ここだ。
店外に掲げられたメニューを見ると、夜でも定食が食べられるようだ。これは助かる。
店に入る。誰も出てこない。店は意外にもファミレス調…いや、昔の喫茶店だ。昭和の趣だ。店内のBGMもムード音楽だ。奥のカウンターに年配の女性が仕事をしている。客は女性の営業マンから説明を聞いてるような男性との一組だけだ。完全に喫茶店だ。
メニュー
奥のカウンターに行き、一人であることを告げる。さて、何を食べようか。夜の定食ものセットメニューを見る。
うん、この「中村屋おすすめ定食」が良さそうだ。
それと鹿児島だからさつま揚げ。もちろん生ビール。ここで残念なニュースが飛び込んできた。さつま揚げは切れてるとのことだ。もうすぐ天ぷらも揚がるから、すぐに食事が出ますよと、おかみさんが言った。
おすすめ定食
数分後、宣託の通り、女将さんが天ぷらとご飯を持ってきてくれた。天つゆの香りがいい。揚げたての天ぷらはサクサク、これは蕎麦屋の系統だな。衣がしっかりしているが、邪魔ではない、カリカリで美味い。衣(ころも)食いにはたまらない。
追ってすぐに、まさかの蕎麦がきた。想定外だ。普通は締めだろう。私が腹を空かしていると勘違いしたのか。手打ち麺なので伸びやすいという。手打ちだと?食べてみる。特徴を下記にまとめる。
- 麺が短い
- 喉越し良くコシもある
- 蕎麦つゆは甘め
- わさびとの対比がいい
冷たくしまった蕎麦が気持ちいい。ネギの香りに大根のさっぱりとした味わい。天ぷらも一緒に食べてみる。
至福だ…
最後に刺身が出てきた。うまそうだ、タイにマグロにイカ。刺身のつまの大根は手切りだ。機械切りではない。これは嬉しい。醤油が甘いのが残念だが、郷に入れば郷に従えである。
ここでハイボールを注文。かなり濃いめ。やばい。グラスが喫茶店だ。いや、アサヒ熟撰とグラスに書いてある。昭和レトロな店だ。温水洗浄便座は期待していなかったが、やはり和式。入口には男性と女性の表記も別もないので、男女共用なのだが、男性用の便座がなまらデカイ。
コスパが良すぎて不安になる私は心配性かもしれない
タイは甘くて美味い。マグロもいい。見た目にもキラキラなので味は予想できたが、ボリュームもある。イカ刺しも食感が良く甘みがある。いずれも臭みなど微塵もない。
天ぷらはつきあげにピーマン、ナス、かぼちゃにエビだ。
漬物は甘酢っぽいのを予想したが、塩味だ。甘くない。醤油も麺つゆも天つゆもすべてが甘い中で塩が効いている、私にとっては味の救世主だ。
ご飯がうまい。硬めで粒が立っている。刺身にも天ぷらにも合う。
色々とチゲハグな店だ。昭和喫茶に和定食の角ハイボール。客のことは放置モードだ。しかし、味は悪くない。私のように一人静かにじっくりと食べたい客にはおあつらえ向きの店だ。これで1450円はコスパ良すぎである。いい意味で定食屋である。今日の私には正解だった。
満足じゃ。腹一杯だ。蕎麦も食えた。
帰り際、蕎麦が短いんですねと尋ねると、そうですか?と返された。鹿児島の蕎麦は短いのが特徴らしい。飲んで食って2400円。原価計算はできているのだろうか、不安になる価格である。コスパが良すぎる。
外に出ると雨はほとんど上がっていた。ズボンの裾も乾いていた。ホテルに戻って、アスペル彼女の三巻を読もう。帰りにコンビニで酒を買ったら、くじ引きで酒が当たってしまった。
こんな日もあるよな。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)