ざんぎ

北海道札幌市 狸小路駅 活鮮とうりん

狸小路の居酒屋

沖縄から札幌に来た。温度差が激しいが、防寒対策はバッチリだ。夕食の場を求めて狸小路を散策する。

さて、何を食べようか。

一丁目から七丁目までを二往復するが、これといった店が見つからない。面倒臭くなってきた頃、私の目に飛び込んできたのは「20時以降の入店は飲み放題1580円」の文字である。

今は午後9時半である。

さらにさらに厚岸産の生牡蠣が50円。これは超サービスであるな。店の面構えも好みである。だが、説明できない抵抗を感じて、この店の前を何度か通り過ぎたのも事実だ。

ええい、面倒だ。ここにしてみるか。

活鮮とうりん

階段を登ると暖簾がかかっていた。この先に入口がある。店に入るとカウンター席に通された。

まずは生ビールをオーダーする。お通しはクリームチーズの茶碗蒸し。滑らか、上品、チーズの香りがいい、銀杏と栗、秋の味覚。これは美味いね、他の料理が楽しみだ。

さて、何を食べようか。

メニュー

シメサバ

脂が乗っている。浅く閉めてある。甘くなく酸味控えめ、青魚の旨味を引き出している。山葵は生おろしだろうか。最近は業務用でとても生っぽいものがあるようだ。そうか、生の山葵おろしにはしっかりとした粘りがあるのだが、こいつはボソボソしている。生ではないか。たまに山葵を買って自宅で擦り下ろすからこそ分かるのだ。自分でやらなければ分からないことが世の中には多々あるものだ。

コバエがやたらと多い。一匹潰した。まだ数匹、カウンター席の辺りをブンブンと飛んでいる。うっとうしい。店内に流れるBGMほムードジャスだ。

ビールを飲み終えて角ハイをオーダーするも、出てきたのは生ビール。間違えたようなので、これでいいよと声をかけると、これはサービスしますので、時間をおいてハイボールを出しますとのこと。なかなか気が利いている。好感が持てる。表に書いてあった50円の生牡蠣を注文する。

あぶりししゃも

これで七百円?カラカラに干されたししゃも。しかも、これっていわゆるキャペリンではないだろうか。北海道では今がししゃもの旬。鵡川では連日、水揚げされているのである。秋の味覚を楽しみにオーダーしたら、これだ。

ここは札幌だ。東京ではないのに。気を取り直して食べてみる。干物の身は硬いが、噛むほどに味わい広がる。大根おろし?鬼おろしがよく合う。だが、納得がいかぬ。

漬物盛り合わせ

ザーサイが斬新だ。ピンクは玉ねぎ。たくわんは変わった味だ。野沢菜はしょっぱすぎる。浅漬けを期待した私には残念な結果である。ザーサイ以外、私には美味しく感じられなかった。ほぼ箸をつけずに残してしまった。

生牡蠣が出てこない。こんなに時間がかかるものだろうか。時間差で持ってきてくれるはずのハイボールも来ない。双方ともを改めてオーダーする。え?ハイボール、伝票に書いちゃうの?さっきオーダーした分なのに。まあ、いいや。680円のビールのほうが450円の角ハイよりも高い。

ザンギ

見た目にもうまそうな上になかなかのボリューム。口に入れると熱々である。気をつけながら味わう。醤油ベースの味付け。ボリューミーかつ美味い。安心して食べられる。ハイボールにすごく合う。

50円生牡蠣

ようやく出てきた生牡蠣50円。レモンを絞って食べる。口の中に牡蠣の旨味が…ん?

え?

マジか?

安心して食べられる味では無い。甘味が危うい。牡蠣特有の豊潤な香りがしない。鮮度が落ちているのか。新鮮な生牡蠣は見た目も味も澄んでいるのだが、これには淀みがある。まるで穢れが貯まったソウルジェムのようだ。ちょっとこれは…生で出したらあかんやつでないかい?

締めは餃子

なんだ、これ?見た目が悪い。きちんと包んでないのか、焼き方が悪いのか。添付のタレにつけて食べる。

うーん。

ニラは入っているがニンニクは使ってないのか、味付けが私に合わないのか、肉の味がストレートに出過ぎて、旨味が感じられない。臭みが立ってしまっている。もう少し脂を上手く使うべきであろう。残念。

お会計

これで6140円。嘘でしょ?自分で計算してみた。

生ビール 680円
角ハイ 1350円(三杯)
しめ鯖  750円
ししゃも 700円
漬物   580円
生牡蠣  100円
ザンギ  750円
餃子   650円
計   5560円

酒がやたらと高いので、一人でも飲み放題にするべきだったが、結果論である。スタッフもわざわざ売上が下がるアイデアを客に授けるわけがない。

いや、気の利いた店なら飲み放題を勧めてくれる。

その上、サービス及び料理の満足度と値段がまったく釣り合っていない。料理の当たり外れが激しすぎる。サービスも悪い。飲んでいない角ハイを伝票につけられたのもあるだろう。もしや四杯分もつけられているのか。差額は580円。メニューを見ると該当するのは漬物盛り合わせ。まさか二つ分を計上されたのだろうか。

これではリピーターは望めないが、場所がいいので客はどんどん入る。一見オンリーと割り切るのも一つの戦略だ。

納得がいかない
飯も旨くない
ホント面白くない
今日はついてない

こんな日もあるか。数日前から今朝まで、数年ぶりの全身じんましんで苦しんだ。食べた生牡蠣で再発しないように祈るだけである。

やばい雰囲気を感じ取っていたのに、面倒臭がってこの店を選んだ自身を悔いながら店を出て振り返ると、吐き捨てるように呟いた。

「二度と来ないよ。」

(Visited 51 times, 1 visits today)