岐阜県高山市 ラメデイ ~飛騨牛を食す~

高山ディナー

高山の街を散策するのは初めてだ。何を食べようか。飛騨といえば、飛騨牛と高山ラーメン。まずは牛だな。ではどこで食べるか。大丈夫。高山に住む川上君から情報は得ている。ふと、建物の外からも厨房が見える、シックな感じのレストランが気になった。

LE MIDI

MIDIって、店主が音楽でもやるのだろうか?川上君リストにはない店だ。またもや私の勘がささやく。

この店は当たりだ。

とりあえず店の写真を撮る。こうしておけば、あとで画像の位置情報から場所がわかる。便利な時代だ。

さらに街を歩く。真椎さんと待ち合わせ出るのだが、彼はまだホテルを出たばかりだ。お、キッチン飛騨。これはリストにあった店だ。コテコテの洋食屋さんだ。店内も混んでいないようだ。ここで決まりか?またしばらく歩く。15分ほどしてようやく真椎さんと合流。キッチン飛騨に向かう。

あれ?

表通りの看板が消えている。路地を曲がり細い道の先にキッチン飛騨は…ない。電気も消え、シャッターもしまっている?!

営業終了。

大丈夫だ。私の勘はよく当たるのだ。LE MIDIだ。私は店を案内する。入口を見て真椎さんが言った。

「俺は肉が食えればどこでもいいんだ。」

気に入ってくれたようだ。

フロア係にアラカルトで食事をすることを告げ、長考に入る。前菜とサラダ、そしてステーキ。ドリンクはビールからのグラスで白ワインの後にボトルで赤だ。さあ、見せてもらおうか、飛騨牛の性能とやらを。

山菜のピクルス

根曲がり竹とウドとワラビをピクルスにしたものだ。すべて飛騨産だと言う。北海道でも同じものが採れるが、こんなシャレオツな食べ方はしないと真椎さんが感心する。うまい。山菜をピクルスにするだけでも思いつかないのに、こんなにうまいのか?考えてみれば酢の物には使うのだからピクルスにしても美味しいのは当然か。今度、自分でも試してみよう。

ビールがなくなったので、おすすめの辛口白ワインをグラスでいただく。

ルッコラのサラダ

これも地元産だと言う。さすがに天然物ではないが、無農薬栽培。香りが強い。味もしっかり。本当は天然クレソンのサラダが食べたかったのだが、これも悪くない。

「野菜はいいね。」

真椎さんが呟く。

天然イノシシのリエット

味がしっかり。乾燥いちじくが味に広がりをあたえる。イノシシの味なのかは分からないが、旨い。このイチジクはこないだ食べた香港航空のエビとアボカドの前菜を思い出させる。乾燥フルーツの使い方の勉強になる。

ワインに合う。ここで白ワインも無くなったので赤ワインを追加。これまたオススメのフルボディをボトルでいただく。テイスティングは真椎さんに任せる。

ふと店の方に聞いてみた。

「テイスティングでワインがダメだったことはありますか?」

店の方が答える。

「ええ、まれにあります。私の場合は7年間で3本ですしょうか。」

やっぱりあるんだ。

「そのうち二本が外国の方でした。うち一本はダメかなぁって感じでしたが。」

さらに続く。

「日本人の方の一本は完全にダメでしたね。コルクの匂いが鼻につきましたから。」

ワインのコルク栓がダメになると空気が入ってワインが酸化し、お酢、つまりワインビネガーになってしまう。これが「ブショネ」と言われるものだ。

ほうれん草とジャガイモのポタージュ

スープ、豆のピューレと稚鮎のフリット添え。口当たりよく上品。ほうれん草の臭みはなく、ジャガイモの香りがいい。さらに、稚鮎の苦味が赤ワインに合う。

ステーキの前でだいぶ堪能してしまった。肉は食べきれるだろうか。

飛騨牛の5Aランク サーロイン

飛騨牛の5Aランク。サーロインとリブロースだ。どちらもミディアムレア。いい肉はミディアムレアに限るのだ。ウェルダンにするなら輸入肉にしたほうがいい。白と黒の粗挽きコショウにピンク色の肉が引き立つ。もう見た目にうまそうだ。

早速一枚を口に入れる。

柔らかい。

脂が甘い。

それでいてくどくない。

「上品な肉だね。」

真椎さんが呟く。肉を味わいながら赤ワインを一口。

くーーーーーーー!

幸せだ。

飛騨牛には人を幸せにする力がある。

飛騨牛の5Aランク リブロース

次にリブロースだ。サーロインより身がしっかりしている。だが、旨い。

再びワインを一口飲む。

まいうーーーーーー!

もう口の中がお祭りだ。まさにマリアージュ。肉とワインの結婚だ。主は言われた。パンは私の肉だ。ワインは私の血だ。いやいやいやいや、リアル肉とリアルにワインだ。腹はキツイが箸は進む。

最後の一切れを食べる。ステーキは冷めてしまったが、それでも美味い。

ごちそうさま

「前菜をあれだけ召し上がられたので、お肉を食べきるのは無理かなーと思っていたのですが、食べましたねぇ。」

フロアの女の子が話しながら皿を下げていく。食後のコーヒーとデザートを二人とも断り、会計を済ます。私も真椎さんもまだ食中だ。食後というのは、締めのことなのだ。酒を飲んでる最中に、コーヒーや甘いものも摂ったりはしない。

「いやまあ、しかしなんだ、満足だ。感動すらあったね。」

私と真椎さんは飛騨牛について語り合いながら、夜の街に消えたのだった。

LE MIDI 公式HP

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