つばめグリル
沖縄から午前便で羽田に着くと、断水が復旧とのアナウンスが流れていた。のちにニュースで羽田空港が断水していたことを知る。こんな都心の巨大空港で断水が起きるものかと驚きつつ、東京のオフィスに向かう。その前に食事だ。飯だ、ランチだ、お楽しみなのだ。
さて、何を食べようか。品川駅で考えた。駅構内はない。羽田から京急に乗ってきたので高輪口になるが、大きなスーツケースを持っているので、遠くには歩きたくない。品達などはもってのほかだ。そうだ、前から食べに行きたいと思っていたつばめグリルがいいのではないか。
チェーン店ではあるが老舗であり、昔から変わらない味を提供している。ファミレスとは違う高級感と安心感があふれる店だ。初めて食べたのは30年以上前だろうか。ルミネ新宿店だったと記憶している。その後、仕事で新横浜にかなりの頻度で通っていたので、そこでランチを食べる機会も多かった。トマトサラダが特徴の美味しいハンバーグを食べさせてくれたはずだ。もう何年も行っていない気がする。
スーツケースを引きずりながら店に入る。なんと店頭のリストに名前を書くのではなく、整理券の発券機になっていた。積極的にデジタルを取り入れ客の利便性を高めているのが素晴らしい。老舗にあぐらをかいていない証拠だ。
店内は落ち着いた内装。どことなく昭和を感じさせつつも古臭くない、かと言ってファミレスのような安っぽい感じがない。家族と来てもカップルできても対応できる雰囲気だ。
この店舗はオープンキチンである。フロアから見える位置で料理人がハンバーグを焼いていた。
メニュー
さて、なにを食べようか。お、つばめグリルのひき肉の秘密が暴露されているではないか。
能書きを読んでますますランチが待ち遠しくなる。ハンバーグを食べるのは決めている。問題はどのソースにするかなのだ。伝統のつばめ風、あっさり和風、ロールキャベツも捨てがたい。だが、久しぶりの訪問だ。ハンバーグにビーフシチューをかけた看板メニュー、つばめ風を食べようではないか。
水差しとグラスも昔と変わらない。ああ、懐かしい。
つばめ風ハンブルグステーキランチ
トマトサラダが単体では運ばれてきた。中国語で言えば開胃、サラダで胃腸をウォーミングアップさせ、メインディッシュに備えるのである。これまら昔と変わらない。
トマトサラダ
ベージュのドレッシングを纏った赤い果実をにナイフを入れる。スッと刃が降りていく。トマトを開くと、モノトーンのサラダがカラフルに変貌する。さらに切り分けて口に運ぶ。瑞々しく甘いトマトを自己主張控えめなドレッシングがさらに甘味を引き上げる。オニオンスライスの辛味は新鮮な刺激。トマトの甘味を再認識。個性の強いサラダと個性控えめのドレッシングのサンドイッチ構造がトマトの甘味を限界まで引き上げるのだろうか。
ハンブルグステーキ
続いては鉄板とライスが運ばれてきた。銀色のホイルを破る。ハンバーグとビーフシチューが現れる。まずはハンバーグにナイフを入れる。しっかりとした弾力がある。食べてみる。なんと肉肉しい。繋ぎを微塵も感じさせない、まごうことなきハンブルグステーキである。昨晩、自宅で私が娘たちに作った時短料理のなんちゃってロコモコ丼とは大違いだ。比較することすらおこがましい。
肉汁あふれるハンバーグからリッチな味わいが口の中に広がる。ソースはドミグラスではない。ビーフシチューである。コクと甘味旨味に少しの酸味。見事にハンバーグを引き立てる。臭みもない、ステーキとは明らかに異なる味。弾力があるのに硬くなく、食べると柔らかいのに身崩れしない。
見事だ。
付け合わせポテト
ポテトはホクホク。甘さがあるがしつこくない。ハンバーグとの相性もいい。皮ごと食べる。焦げた部分から立ち上る香りと白いポテトの組み合わせもいい。淡白で甘いだけのポテトを香りが味わいを広げて魅力を引き出している。
ソースがもったいない。ポテトにもつけて最後の一滴までいただくのだ。素晴らしい。
改めてハンバーグのうまさを認識させられた。つばめグリル、恐るべし。チェーン店やニワカの店には絶対に出せない味わいだ。
ビーフシチュー
ビーフシチューは対照的な柔らかさ。ああ、牛肉を食べている感じがする。同じ肉に同じソースをかけているのに、調理が変わるだけでこれほどまでに味わいも異なるものかと驚愕させられる。
ああ、久しぶりに食べた。満足した。やっぱり昔と変わらぬ安心の店だ。今度は時間を置かずに再訪することにしよう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)