うどん 一福 肉うどん

香川県高松市 瓦町駅 うどん一福(いっぷく)肉うどん

高松ランチ

時間は昼過ぎ。ランチタイムだ。さて、何を食べようか。ホテルに荷物を預けると、アーケード街に向かった。うどんは避けて海鮮にしてみようか。ネットで検索する。ホテルから徒歩数分のところに、ランチが良さげの店を見つけた。ホテルに荷物を預け、店に向かう。ここか。

ドアを開けて店に入る。店内は満席だとのことだ。

壁のメニューを見る。え?ここは和食の店なのに、麻婆豆腐が気に入らない。刺身が鯛とカンパチしかないのも気に入らない。なによりも数分は経つのに、店員が出てこないのも気に入らない。

ご縁がありませんでした。撤退だ。

そうだ、高松市民に聞けば早いではないか。さっそく電話してみる。がっつり食べたいというのに、香川県民はうどん店しか紹介しない。君たちはうどんしか知らないのか?まあいい、そこまで言うなら、うどんを食えばいいんだろ?!

うどん 一福

店の前を通りかかると、うどんを打っているお兄さんに声をかけられた。

ここか。

うどんかあ。まあ、食べてみるか。店に入る。注文システムは讃岐うどん店共通だ。まずは肉うどんをセレクト。うどんは小だ。大は二玉。

おでんは具が豆腐しかなかったのでパス。

揚げ物はなんとなくナス天をセレクト。トッピング、肉うどんに温泉玉子は必須でしょう。締めて690円。あとはすべてセルフ。

かけ汁もセルフ。水もセルフ。

薬味もセルフだが種類が豊富。おまけに東京の店みたいにネギを入れすぎるななどという、無粋な注意書きもない。ネギたっぷりだ。ワカメも入れる、レモンに生姜、天かすも少々。

広めの店内で空きテーブルを探し、着席。さあ実食だ。その前に鬼びっくり七味なるものをかける。

肉うどん

まずは出汁から。薄口で上品。うどんはコシが強い。と言っても噛むのに力がいるわけではない。程よい弾力である。ネギは大量にいれて正解。肉はなかなかボリューミーである。柔らかくて甘めの味付けがうどんにもつゆにも合う。

さて、このあたりで肉の上で玉子を崩し、さらなる甘みのマリアージュを追い求める。うむ、予想通りの展開だが、鬼びっくり七味のピリッとした辛さが味わいにアクセントをつけてくれる。

食べ進めるにつけ、物語は大団円に向かう。どんぶりと言う名のステージの上で踊りまくる食材は、だんだんとカオスとなり、それぞれの味が混じり合い、複雑で豊かな味わいを醸し出す。

ああ、ナス天を忘れていた。

つゆにつけて食べてみるが、微妙だ。ステージ外にいた君を受け入れる余地はここにはないとのことだ。いやまて、机の上には何がある。醤油だ。薄口醤油だ。こいつをかけてみよう。

なんてこった。

ただでさえとろけるように柔らかいナス天に、コクとキレが加ることで、場外乱舞のようにどんぶりステージとは違う味わいを奏でだした。なるほど、こうやって食べるのもありか。

楽しい時間はあっという間に過ぎ去るものだ。ついに幕切れが訪れた。すべての食材が力を出しきり、私の胃の中に収まって、ジ・エンドだ。カーテンコールはない。すでに彼らは私の胃の中に昇華、いや消化されているところだ。どんぶりも皿も空っぽだ。

思いのほか、がっつり食べた。満足だ。地元民は嘘をつかないのだな。素直に従って正解であった。

その夜、高松市民から悲報を聞かされた。金比羅うどんが閉店したとのことであった。

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