沁園春 小籠包

台中市 台中駅 上海料理 沁園春 ランチ 醉雞と小籠包

上海料理 沁園春

台湾には数十回も訪れているが、そのほとんどが台北であった。一度だけ旅行で訪れたときは、花蓮、台南、高雄を訪れた。それも20年以上前のことだ。あとは仕事。観光もしたことがない。よって、台中を訪れるのは初めてである。台北からバスで移動し、日本統治時代の歴史的建築物である台中市役所を見学したら、ランチタイムである。日本から100名を超える団体での視察旅行なので、当然、予約なしには食事が不可能だ。本日の会場は台中を代表する料理店、沁園春とのことである。

入口には英語で上海料理と記載がある。なるほど。小籠包は上海料理を代表する一品だ。台北では鼎泰豊が有名だ。世界中に展開していて、日本にも数店舗がある。店舗の一階では調理師が小籠包などを作っているところを見ることができる。一種のオープンキッチンだろうか。野菜肉まんも美味そうだ。

壁面にこの店の沿革が掲げられている。1949年開店ということは、今年でちょうど70年。老舗である。

ランチコース

団体客は二階と三階に通された。100名を超えているためか、ほぼ貸切状態である。幹事からは自由に円卓テーブルに座るように指示される。すでに小籠包用のたれがセッティングされている。

紹興醉雞

前菜は酔っ払い鶏。日本語にするとなんだかなあ。「よだれ鶏(口水鶏)」と言い、もう少しましな訳が付けられないものかといつも思う。あまりにも直球過ぎる直訳。しかも「酔蟹」は上海ガニを生きたまま紹興酒につけてアルコール中毒死させたものだが、「醉雞」は生きた鳥を酒の壺に突っ込むわけではない。鶏モモ肉を紹興酒に浸したのちに蒸して、それを冷ましながらタレにつけて味をつけたものだ。中華料理の定番だ。

食べてみる。うーん、こんものかなあ。悪くはないが、昨日の屋台で食べたほうが美味しかったかな。

エビチャーハン

この店を代表する一品らしい。確かに鼎泰豊でもチャーハンが美味かった。エビがプリプリだ。大豆、いわゆる枝豆が入っているのが新鮮と言うか日本では出会えない組み合わせだ。もしやグリーンピースの代わりなのだろうか。胡椒の香りがナマっぽい。野生的でスパイシーである。ここが南国であることを再認識させてくれる。

麻婆豆腐

上海料理でなぜに麻婆豆腐なのかと思いつつも、辛いものが好きだから食べる。甘辛いが、辛さが後を引く。ニンニクがこれほどまでに効いているのを食べるのは初めてだ。通常は隠し味に徹しているはずなのだが、ここまでフィーチャーされると別の料理のような気もしてくる。

酢豚

これまたなぜに上海料理で酢豚なのだろうか。こいつは北京料理なのだ。日本の中華料理店のコースに似ている。我々が日本人だからであろうか。肉は柔らかいがしっかりとした食感を残している。酸味は控えめだ、野菜がゴロゴロと大量に入っている。パイナップルは含まれていない。

青菜炒め

空心菜のニンニク炒め。中華で野菜を食べるときに定番料理法である。あっさりとした味わいにニンニクの力強い香り、空心菜の香りと食感。シンプルな一品なのだ。

小籠包と蟹肉小籠包

火傷しないために、熱いうちはレンゲに載せ、箸で皮を破ってスープを外に出し、少々冷めてから一気に食べる。時間が経って冷めてきたら、そのまま口に入れる。口の中で圧力をかけて小籠包を潰すと、皮が破れてジュンっと肉汁があふれ出てくる。ああ、旨味の洪水。しかもマイルドでまろやか。卵でも入っているのだろうか。タレがコクを倍増させ、生姜の香りが味わいを広げる。皮は薄く食感も味わいも邪魔しない。完全に黒子に徹している。日本の小籠包は、皮が厚くて存在感がありすぎるのだ。小籠包の肝は薄くて破れない皮にあるのだ。蟹肉小籠包はトップに赤い印が付いている。カニの香りが後を引く。

酸辣湯

サンラータン、こいつも四川料理である。酸味は控えめで胡椒が効いてる、野菜はシャキシャキ、鴨の血はブルプル、豆腐はふんわり。絹のようにひろがる玉子、しっかりとした食感の豚肉細切り。スープの中でそれぞれのキャストが思い思いに自分の仕事をしっかりとしているからこそ実現される味わいなのだろう。

蝦仁蒸餃

ここでまさかの海老蒸し餃子。完全に油断していた。何もつけずに食べてみる。口の中にスープが溢れる。十分にコクがある。小籠包のような、マイルドな自然な甘みの餃子だ。中からはプリプリのエビが現れる。エビを使った料理はこの店の自慢のようだ。この破れそうで破れない見事な皮が素晴らしい。

結構なボリュームであった。ランチコースだから上海料理以外も含まれていたのだろうが、少人数で訪れて、アラカルトで食べた方が絶対にいいと思う。メニューすらなかったので、どんな料理があるのかは店頭で見るしかなかった。

ただ、スタッフが少なすぎる。ビールも料理もなかなか出てこない。遅くてイライラした客も少なくなかった。あれだけ待たされた上に、いくら店員を呼んでもメニューを取りに来なければ、ストレスがたまるのは当然である。この人数でスタッフ二人は無謀だ。事前に予約しているのだから、料理だけでなくサービスもしかりとしてほしいと思った。老舗でこの程度なのかと、味にも接客にも少々がっかりして店を後にしたのだった。

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