精誠牛肉麺館 麻辣牛肉麺

台湾 台中市 精誠牛肉麺館 麻辣半筋半肉麺

精誠牛肉麺館

午後の便で那覇に帰る。フライトまで時間があるので、台中で昼食を摂ることにした。

さて、なにを食べようか。

ホテルの近くを歩いてみた。商店が並ぶ看板を眺めていたら、遠くに見えた「牛肉麺 豬脚麺」の看板に惹かれた。行ってみよう。

この店の向かいにあるラーメン店も気になったが、こちらの方が店がきれいだ。美味ければ多少汚い店でも構わないが、それでも店がきれいに越した事は無い。おいしくて綺麗、これが一番なのだ。

表でメニューを眺めていると、ドアを開けて店から出てきたおじさんが、手招きして中に入れと声をかけてきた。だが何を食べるか決めなければ入店はできない。辛いものが食べたい。台湾に来てから麻辣系をまったく食べていない。禁断症状が出そうである。そして牛肉だ。毎日、チキンと豚肉ばかりだった。ビーフが食べたい。つまり、今、私が欲する料理は辛い牛肉と言うことになる。

店内

店に入ると、黒い服を着た若い兄ちゃんが、一番手前の席に座れと言う。壁には来客が残した多数の落書き。ほとんどが台湾だが、一部に日本人の名前もあった。広島から来たと書いてある。

こちらの壁は国際色豊かだ。ヘブライ文字が書いてある。エルサルバドルに米国、メキシコ、ベトナムに判読不明の文字。

注文は紙に書いて渡すシステムだ。台湾では一般的だ。麻辣半筋半肉麺だ。なにか箸休めが食べたい。凉拌豆腐、これだ。冷奴だ。筋とは日本語の「スジ」である。つまり、肉とスジの煮込みを半々に載せた麻辣麺なのである。

テーブルの上には数々の調味料、醤油に香油、黒酢。落書きがうざい。

黒い容器の蓋を取ると高菜の漬物が収められていた。

店内は少しずつ混み出してきた。私が店に入った時は誰もいなかったのだ。地元でも人気の店なのだろう。これは当たりか?

凉拌豆腐(冷ややっこ)

冷奴は日本のものと変わらない。ただ、醤油ではなく、少し甘めの醤油だれがかかっていた。味に違和感はない。

麻辣半筋半肉麺

大きなどんぶりに入った麺が運ばれてきた。見た目はさほど赤くない。普段食べている麻辣とは違うようだ。まずは一口、スープを飲んでみる。それほど辛くない。だが、しっかりとしたコクがある。深みがある。このスープは良い。ただ辛いだけではない。しびれもない。滋養深い味わいながら、しっかりと麻辣が効いている。

麺は沖縄そばに似ているように感じる。コシがしっかりとあり、喉越しが良く、食感もツルツルだ。

スプーンに麺をのせてスープをすくう。そして口に入れる。中国式の麺の食べ方である。麺をすすって食べるのが常識の日本人には発想できない作法である。こうして静かに食べなければ麻辣スープが跳ねる。油を含んだ赤いスープは、衣服に付くと簡単には落ちてくれない。日本のようにプロテクターを貸してけくれるわけでもない。まさに専守防衛、戦わずにして食べるしかないのである。

ボリューム感満載の牛すじは恐ろしく柔らかく煮こまれている。ラフテーよりも柔らかい。箸で容易に切れる。筋の硬い部分さえもトロトロに変化している。口に入れれば、噛むごとに濃厚な旨味を放出しながら崩壊していく、口の中に消えてゆく、まさに刹那。スープと麺との相性もいい。あえ、これだよ。辛味、牛肉、スープ麺。今、私が食べたい要素が全て揃い、願望が叶ったのだ。我が野望、今まさにここに至れり!!

牛肉も負けてはいない。何日もコトコトと煮込んだビーフシチューのような柔らかさ、箸で簡単に千切れる。しかもこのボリュームである。日本では望むべくも無いサイズである。牛特有の臭みもなく、ただただビーフのいいところだけを残したかのようだ。

ああ、こいつをつまみにビールを飲んでも旨いだろうな。もちろん軽い味わいが真骨頂の台湾ビールだ。妄想が頭をよぎる。気が付けば、完食していた。満足だ。台湾に来て麺を食べずに帰るなんて、沖縄に来て海を見ないで帰るようなものだ。

さて、ホテルに戻ってチェックアウトするか。新幹線で桃園空港に向かおう。

(Visited 8 times, 1 visits today)