草地町 古早味肉燥飯

台湾 SOGO桃園 草地町 古早味肉燥飯

台湾 桃園市ランチ

仕事でカンボジアに向かっている。那覇から台湾で乗り換えカンボジアに向かう。カンボジアへのフライトは台湾を早朝に飛び立つために、沖縄からだと前日入りしなければ搭乗できない。

よって本日は台湾で一泊なのだ。

桃園空港は台北市から離れているので、今回は空港近くのホテルに宿泊することにした。

午前10時に那覇を離陸した飛行機は午前11時前には台湾に着いた。時差が1時間のためだ。距離的には那覇から福岡に行く感覚と似ている。

新型コロナウイルス肺炎とやらのせいで空港はキャンセル便だらけ。人がほとんどいない。

ホテルに荷物を預けると、宿泊客がいないせいか、部屋が用意できているとのこと。ラッキーだ。部屋で一休みしたらランチである。MRTで台北とは反対側の終点、環北駅に向かう。

現在は環北駅までだが、数年後には中壢まで延伸される予定となっている。

この駅から少し離れたところに遼東SOGO桃園があるのだ。地下飲食街なのだ。本日のランチはデパチカなのだ。

マクドナルド、ミスタードーナツ、ステーキ、丸亀製麺、らあめん花月嵐はいずれも却下である。日本で食える。

さて、何を食べようか。

韓国料理もパス。
中華料理はどれだ?

台湾桃園市 環北駅 遼東SOGO桃園 草地町

エレベーターホールの近くにある店が気になった。私の眼前には迫力ある大釜がふたつ。

一つは焼きビーフンだ。美味そうだが気分ではないのでパス。

もう一つはうどん…?な訳ないな。まあ、麺だ。厚揚げが浮いている。これもパスだ。

じゃあ、何を食べればいいのだろうか。
メニューをみる。

肉燥飯ってなんだ。魯肉飯とは違うのか。うーん、麺はいやだからこいつにしよう。おばちゃんに伝える。

「古早味肉燥飯」

私の発音が悪いのか、マスクをしているからか通じない。おばちゃんがメニューを取り出して私に見せた。二番を指さして「じぇいが(これ)」と言うと、理解してくれた。

続いてオバちゃんが私に尋ねた。

「だん?」

え?
たんってなに?

エミリアたん、ラムたんたん…ではないだろう。とっさに私の口から出た呪文は「やお」であった。こう言えばまあまあなんとかなる。会計はもちろんEASYカード。台湾のSUICAである。便利である。

お盆にスープが置かれ、魯肉飯のようなものが置かれ、手前の大きな鍋に入っていた厚揚げが小皿に置かれ、キャベツの漬物のようなものが出されてフィニッシュだ。カウンター席へと運ぶ。

肉羹湯

まずはスープからいただく。とろみの付いた肉野菜スープだ。葉巻型の肉団子のようなものが入っている。こいつが肉羹である。まずはスープで一口。

うーん。

薄味の優しい甘めの味付け…なんだ、これ?すごく甘いわけではない。ほんのり甘いだけなのに、塩気がないのでやたら甘ったるく感じる。

はっきり言って不味い。

いや、きっと腹が減っていら立ってるから味覚が美味いものに敏感になっているのやもしれぬ。もう一口。うーん、不味い、もう一杯。

なわけねーだろ!!!!!!!!!

こんな食いもん、台湾で食べたことがあるか?B級グルメなのか?ネットで調べると台湾ではよく食されているスープらしい。

マジか?
騙されてないだろうな?
ネットにはフェイクニュースがあふれている。

ん?テーブルの上の調味料に気づいた。唐辛子のペーストらしき調味料があるではないか。試しにスプーン一杯分をスープに投入。軽く混ぜて食べてみる。

うわ!
なにこれ?

一転して激ウマ化した。これは驚いた。もう一杯、ペーストを加える。うん、これくらいがちょうどいい。甘くてダレた味わいが辛味によって奥行きが出た。コクも加わった。具とスープの差がはっきりとした。

ぼやけた味ではなくなったのだ。

野菜はよく似こまれていて柔らかい。肉団子は肉羹、魚のすり身と豚肉のミンチを混ぜたものだ。食感は皮無しソーセージにも似ている。練り物に肉を加えた感じだ。

なんと日本の伝統菓子である羊羹は、肉羹から派生したものらしい。室町時代に羊肉の肉羹である羊肉羹が日本に伝わった折に、肉の代わりに小豆を用いたのが羊羹である。

だから羊の漢字を使うのか。

肉燥飯

古早味とは台湾語で「昔ながら」「懐かしい」を意味するそうである。昔ながらの肉燥飯。見た目は魯肉飯のようだが、別物なのだろうか。おまけに玉子までついている。

ああ「だん」の正体はこれか。

「蛋」とは中国語で玉子の意味だ。ウルトラマンは咸蛋超人だし(咸蛋は鴨の卵の塩漬け)、台北ドームは台北大巨蛋(台北巨大玉子)である。

つまり、先ほどの会話はこうである。

「玉子は?」
「要る!」

それで肉燥の上にゆで卵が鎮座しているのである。これを中国語で「加蛋」と呼ぶ。日本語の「加糖」みたいなものだ。

まずは一口食べてみる。

うん?魯肉飯とは異なる味わい。八角香る肉の脂がマッタリとしたコクのある醤油ベースの味付けではない。

さっぱりしている。

なんだか身近な味わいだ。つい最近、食べたような味付けだ。

ん…日本の混ぜご飯…あ、わかった。ジューシーだ。上原そばで食べたやんけ!薄味で脂っぽくない上品な味わいは、まさに沖縄料理を彷彿とさせるのである。

玉子をスプーンで削るように割りながらご飯に混ぜて肉と一緒に食べる。白身でも黄身でも相性はばっちりだ。日本人なら温泉たまごか半熟玉子で食べたいところだ。

だが、生卵か完熟か、デジタルな中華料理に「半熟」などと言う中間なあいまいな調理法は許されないから仕方がないのだが、やはり玉子の魅力は半熟にあると思うのだ。

あとで調べたところ、魯肉飯は台湾では「滷肉飯」と表記することが多い。そして滷肉飯は台湾北部の料理であり、肉燥飯は台湾南部の料理である。両者の違いは、滷肉飯が五花肉(豚バラ肉)を使い、八角と醤油ベースでコクのあるマッタリとした味付けなのに対し、肉燥飯は梅花肉(豚肩ロース肉)を使った、あっさりとした味付けなのである。ただ、最近では厳密に両者を分けないことも多いようだ。

燙青菜

意味は「湯通しした野菜」である。ゆで野菜のことである。キャベツの漬物ではなかったのである。くたくたに加熱されたキャベツは芯まで柔らかい。かなりの熱量で一気に茹で上げたに違いない。

お酢でもかけて食べようとしたのだが、これはただの茹で野菜ではない。ほんのりと薄く味が付いている。まるでスープでゆでたような味わいだ。

ほんのりと豚肉の香り。油は浮いていない。これは美味い。付け合わせに最高だぎゃあ。箸が進む進む。

シンプルイズベストとは、まさにこのこと。日本食みたいな、油不使用の胃にやさしい味付け。肉燥飯によく合うぞよ。

油豆腐

見た目通り厚揚げである。大釜でゆでられていたものを小皿に取り、タレをかけただけだ。意外にさっぱりとした薄味で、これまた燙青菜を添えればごはんにもスープにも合うのだった。

ごちそうさま

しめて143元。日本で550円くらいだ。百貨店の地下であることを考えれば、かなりリーズナブルである。

また来る機会があれば…私はきっとまた同じものを食べるだろう。

台湾は食の宝庫だ。歴史的な経緯から大陸の美味いものがすべて集まっている。その技法を駆使して新しい料理も生まれる地なのだ。

さて、夜は何を食べようかな。

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