侍カレー

北海道札幌市 すすきの 侍カレー 侍.祭カレー

雪で乱れた飛行機で

本日は静岡経由で北海道に向かう。今週、二回目の北海道なのだ。

新千歳空港が降雪のために滑走路閉鎖となり、飛行機に欠航や遅延が相次いでいるとのことだ。静岡空港で1時間遅れで離陸した飛行機がさらに遅れて着陸し、札幌に着いたのは20時を回っていた。

本日のディナー

さて、本日は一人飯である。飲みはない。昨晩、飲みすぎたので、今夜はひとり、のんびりと飯を食いながら、酒は控えめにしたい。とにかく腹が減った。

さて、何を食べようか。胃腸の調子を整えるにはスパイスだ。カレーだ。ホテルの近くに店はないか。ネットで検索して気になる店を見つけた。ここに行ってみよう。ホテルを出て、歩くこと数分。雪の中、よく探さないと見逃してしまう入口を見つけた。スシバーのすぐ近くである。なんなら帰りは寿司をつまんで帰るのも可能だ。とりあえずドアを開ける。

階段を上ると二人ほど並んでいた。店員が尋ねる。

「お時間の方は大丈夫でしょうか。カレーのご提供までに一時間ほどかかります。」

なんでそんなにかかるのかな。私の前には二人しか並んでいない。外国人客だ。構いませんと答えてから気付いた。階段の上には待合室があり、十人以上が待っていたのだ。

どうしようか。キャンセルしようか。先ほどの店員はどこだ?目で探していると、大きな荷物を抱えた店員に、部屋の方で待つように促されて、ドアを閉められた。

万事休すか。乗りかかった船と言うのか。覚悟を決めて待つことにする。飛行機が遅れて、自宅を出てからすでに九時間近くが経過している。夕方から空腹に耐えている。プレミアムクラスの軽食では腹の足しにならなかった。

ひもじい。

こんな状況で一時間も待つ私は馬鹿でなかろうか、愚か者と言えないだろうか。スポーツ選手のように自分を追い込む趣味など持ち合わせていない。スマホの外部バッテリーも持っていない。一時間後といえば22時を過ぎる。食べ終えたら23時だ。先ほどからパラパラと食べ終えた客が店を出て行くが、待合室の人数は一向に減らない。

どうなっているのだ。

店員が待っている客を呼び出す。一組目、韓国人。三人組なのに店には一人しかいない。カウンターの中から全員が揃うまで飛ばすように指示が出る。英語の話せる店員が客にルールを説明する。次の二人組は名前を呼んでも反応がない。帰ったらしい。三組目、ひとり客。すべて外国人だ。

複雑なメニューに思考する

待合室の人数が半減した。韓国語が聞こえる。韓国人に人気の店なのだろうか。メニューを見ようと手に取ると韓国語であった。日本語のメニューを探し、手に取った。

さて、何を食べようか。考える時間はたっぷりある。

基本はチキンだな。スープはレギュラーにしよう。辛さは4、辛口だ。問題はチキンか角煮か。ローストチキンカレーは無いな。チキン1/2と豚角煮と野菜。チーズのトッピングはするべきか。

なるほど、トッピングはライスとスープのそれぞれに指定できるシステムなのか。ならばホールトマトは必須だ。チキンを頼んでトッピングで楽しむのもアリだな。ザンギも美味そうだ。

まて、店内にトッピングのメニューが掲示されている。ハンバーグがある。侍.まつりか?ホールトマトにハンバーグ、焦がしチーズはスープinで、チキン二分の一。決めた。これだ。足らなければ寿司バーで寿司をつまんで帰ればよい。

ようやくカウンター席に案内された。ゆったりと座れるように間隔があいているのが嬉しい。二階がカウンター席と待合室、三階がテーブル席とトイレだ。温水洗浄便座である。

ドリンクは無いものと思っていたら、隣の人がビールを飲んでいた。ハートランドだ。優しい味のビールだ。ならば飲んでしまおう。

一人の外国人客が店に入ってきて何やら抗議をしている。会計の値段が間違っているらしい。伝票を探し出すとやはり注文よりも多く計算していたようだ。人気店だとこのようなミスも起きるのだろう。オーダー管理をIT化しておけば問題ないと思うが。会計時に使用したクレジットカードがないと返金できないと説明すると、手元にカードが無いという。

???

カードを取りに行ってくると言い残して客は去った。

ジャズが流れる店内は客が多くてもわさわさしない。落ち着いた雰囲気を維持しているのがすごい。外国人客も静かに待っている。心地よい空間だ。

侍.祭カレー

10分以上待っただろうか。ようやく私のカレーが運ばれてきた。

カレーの皿には、存在感たっぷりのハンバーグにぐちゃぐちゃになったホールトマト、思ったよりも存在感の薄いチーズに何種類もの野菜。 水菜、キャベつ、人参、キクラゲ、じゃがいも、かぼちゃ、ごぼう、なす、ピーマン、ブロッコリー、レンコン、パプリカ、大豆。

きくらげ?

珍しいが、少量なのでそれほどインパクトはなさそうである。

食べてみよう。出汁の効いたコクのあるルー。これはスープではないな。ルーとスープの間(はざま)、カレー界とスープ界との層の中間点に位置していると言えよう。野菜は基本的に素揚げである。根菜はホクホク。トマトは甘い。

チキンは柔らかくて味が濃い。素材の魅力が十分に引き出されていて、淡白な鳥肉がルーにも負けない味わいを実現している。噛めば噛むほど肉から旨味がにじみ出てくる。反面、ハンバーグはクセがない。カレーとよくなじんで混ざり合って一体化し、肉のコクとカレーのコクがダブルで相まって、ご飯と旨さの協奏曲(コンチェルト)を奏でかのごとくである。

美味かった。

思うに、長時間並んで食べる店ではない。少し並ぶのはいいだろう。なにを食べるのか、ゆっくり考えることができる。しかし、一時間は長い。客の少ない時間帯にふらっと入って、ゆっくり食べる、そんなカジュアルさが魅力の店だ。

夜遅くに食べにくるのは控えよう。

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