ブドウエビ刺身

札幌市 郷土料理 おが ぶどうえびときんきのしゃぶしゃぶ

札幌すすきの 郷土料理 おが

先月に続いて、資産家の鈴木と飲むことになった。前回は寿司屋だったが、今回はなんだろう。指定された場所に向かう。ここか。案内板で確認する。六階も気になるが、目的地は八階だ。

入口には、今や世界遺産となったナマハゲが門番をしている。名前の通り、男鹿(おが)半島のある秋田の店だろうか。ちなみにナマハゲも秋田県男鹿半島に伝わる伝統的な民俗行事である。あまりのインパクトに秋田県の代名詞となっているが、実は秋田県のうち、ほんの一部の文化なのである。

ブドウエビ

さて、この店、なにを食べても美味いとのことだ。メニューにブドウエビがあるではないか。久しく食べていない、というより生まれて1~2度しか食べたことがない。これは食べるしかないだろう。

見事なブドウエビだ。この頭をスタッフが目の前で剥いてくれる。

ブドウエビすごい。甘い。甘エビの比ではない。おまけにコクがある。味が濃い。もちろん味噌も申し分ない。これは幻の海老と言われるだけはある。

剥いた殻は唐揚げにしてくれる。レモンを絞って食べると、食感は当然のこと、身の甘さを味わうことができる。すごい。

鰊の刺身

ニシンが美味い。脂がのって、臭みもなく、青魚特有のうまみが口に広がる。

シシャモの刺身

ししゃもの刺身。初めての経験だ。干物を焼いたものしか食べたことがない。まもなく旬も終わるとのことだが、これも北海道、特に地震が起きた東胆振地方、鵡川町の特産品だ。身が甘くて美味い。

八角(ハッカク)の刺身

これも北海道の秋を代表する味覚だ。魚の断面が八角形なので八角と呼ぶらしい。正式な名称はトクビレである。脂がのって、甘くて美味い。ポン酢でもわさび醤油でもいけるのだ。

馬刺し

北海道は日本有数の馬肉の産地でもある。これまた北海道特産の行者ニンニク醤油におろし生姜でいただく。たてがみもいいが、馬レバーがシャクシャクとした食感でたまらない。

生雲丹刺身

美味いウニに醤油は不要だ。ほんの少しのワサビをつけるだけでいい。緑とオレンジの見た目も美しいうえに、わさびがウニの甘さをぐんと引き出す。臭みなどみじんもない。

きんきのしゃぶしゃぶ

これまた北海道の冬の味、キンキである。この見た目にも脂ののった身をしゃぶしゃぶでいただく。

身を箸でつまみ上げ、鍋に投入する。火を通す時間で食感がまるで違う。短時間だとプリプリになる。少々長めに鍋に入れると身が柔らかくなる。まるで熟成の過程を見てるかのような気がしてくる。煮付けで食べる魚でもあるので、少し長めに加熱したほうが美味いのは道理かもしれない。

キンキのアラを焼いて臭みをとったものを鍋に入れる。ものすごくダシが出る。

スープが甘い。恐ろしく甘い。それも自然な魚の脂の甘みだ。野菜にしっかりとしみ込んで、極上の鍋を味わうことができる。まさに至福。

稲庭うどん in きんきのしゃぶしゃぶ

さらに、この鍋のスープを濾して、稲庭うどんでいただく。もちろん、出汁はものすごく効いているうえに、キンキの脂で甘みもある。これにつるつるしこしこののど越し滑らかな稲庭うどんを合わせれば、なんの具もいらない、究極のシンプルかけうどんだというのに、七味を加えることでさらに味わいが増す。

キンキ、どれだけのポテンシャルを持っているのだろうか。いや、この素材が持つ潜在力を余すことなく引き出し、最後まで喰らわせる、この鍋こそがまさに脅威。

ああ、北海道の極上の幸を味わうことができた。本当に美味いのだが、この店はちょっとお高い。自分の金で食べるのはちょっと難しいかもしれぬ。

ゴチになりやした。

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