ホテルのレストラン
札幌駅から特急で約1時間。北海道砂川市。人口一万八千人の小都市である。駅前にはホテルが一軒と旅館が数件。唯一のホテルが砂川パークホテル。もう何泊したことだろうか。古いホテルだが、客室でLANは使えるし温水洗浄便座だ。最近の宿泊施設に比べれば機能性は劣るが、部屋が広い。駅から徒歩1分と立地もよい。
たまに宿泊するので朝食は何度か食べたことがある。いや、ランチと夕食も食べたことがある。和洋中とそろっているが、何を食べてもまあまあ美味しい。ハズレがないのがこの店のいいところなのだ。50分後の特急列車を待つ間に食事をするにも適しているのだ。
ランチメニュー
さて、何を食べようか。平日ならば日替わりもあるのだが、今日は土曜日。通常メニューのみである。ポークチャップは数年前に食べっきりだ。地元の青年会議所が考案したメニューだと聞いた。
洋食メニュー。ハンバーグとステーキは分かるが、玉子とじは洋食なのだろうか。カツ煮定食と酷似しているのは気のせいだろうか。確かにとんかつはオーストリア料理のカットレットが原型だが、あれはパン粉バター焼きなので、日本のとんかつは別物なのである。だから蕎麦屋で出てくるようなメニューなのである。和食ではないかとツッコみたくなるが、五十歳になって大人げない真似はするものではない。
中華メニューは定番と言えば定番だが、私はパスだ。チンジャオロースは自分でも作れる。エビチリは好きではない。美味しいエビチリを食べたことは本当に数回しかない。いつのことだったか、どこで食べたのか忘れたが、イセエビのエビチリはマジで美味かった。
和食メニュー。美味しいのは分かっているが、うーん、違うかなあ。
上原ポークのサラダカツ丼、これだ。上原ポークはふるさと納税でもゲット可能な、砂川産の美味しい豚肉だとのことである。12000円の納税で1kgがもらえるのだ。悪くない。ネットで「ふるさと納税 上原ポーク」を検索すれば、すぐにゲットできる。
土曜日の昼下がり、客は私一人だけ。静かな店内にロビーの喧騒が若干伝わってくる程度だ。低音量で流れるBGMのピアノが耳に心地よい。電車の時間まで45分、優雅に過ごすとしようではないか。
上原ポークのサラダカツ丼
13分後、ついにサラダカツ丼が運ばれてきた。うん、ビジュアルからもヘルシー感が見て取れる。とんかつ専門店のキャベツお代わり自由も素敵なのだが、こういうワンプレートに近い食事も悪くないぞよ。シシリアンライスのとんかつ版とでも思えばよいよい。
まずは味噌汁。うーん、業務用の味だ。気を取り直して本体だ。みずみずしい野菜にごまドレッシング。あまりゴマゴマしていないのがいい。トッピングされたフライドガーリックとフライドオニオンがいいアクセントだ。カリカリの食感が心地よい。
とんかつは思ったよりも肉厚だ。ソースでビシャビシャにならないように硬めに揚げられた衣の中からは、しっかりとした肉の旨味と脂の甘味。合わせて野菜とご飯をスプーンですくい、口に入れる。肉の脂を受け止めるのは野菜のお仕事、肉の旨みを受け止めるのは米飯の担当業務だ。ときおりふわっと口の中に広がる海苔の香りが和食であることを意識させる。そう、とんかつは洋食ではないのだよ。
確かにこの料理に合うのは胡麻ドレッシングだ。私自身はあまりゴマドレが好きではない。食べるとすればゆず醤油ドレッシングの方が好みだ。だがしかし、豚肉と胡麻は相性がいい。
惜しむらくはとんかつが揚げ過ぎだ。ジューシーさが損なわれている。肉がパサパサになっている。いや、もしかすると冷凍肉なのだろうか。呑み終わった味噌汁のお碗の底には、溶けきれなかった味噌が溜まって濃くなっていた。やはり業務用であったか。残念。
でも、まあまあ美味かった。さて、これから帯広だ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)