静岡空港ランチ
静岡駅での買い物が案外早く済んでしまった。バスの時間までは30分以上あるのだが、バス停にはすでに数名が並んでいた。外国人だ。こんな早くにと思いながら私も並ぶ。電子書籍で「さそり」を読んで時間を潰す。昔の女囚ものの劇画である。何年か前にペーパーバック版で途中まで読んだことがあるのだが、無料だったのでこの機会に全巻読んでみたのだ。昭和の匂い、それも私が生まれる前の匂いがプンプンする。
気がつくと私の後ろに十人以上が並んでいた。日本人は私だけなようだ。定刻通りにバスがやってきた。Suicaが使えるのが嬉しい。途中のバス停二ヶ所でキャリーバッグを持った人たちが並んでいたが、バスには乗り込んで来なかった。島田駅行きを待っているようだ。その様子を運転手が無線でどこかに連絡していた。その後、高速道路で空港に向かった。
空港に到着後、荷物をカウンターに預ける。静岡空港の全日空便は札幌行きと那覇行きしかない。あとはFDAが多数飛んでいるのに驚く。札幌丘珠行きを始め、鹿児島、北九州、福岡、出雲へのフライトがある。海外へは中国に飛んでるようだ。
さて、何を食べようか。時間はたっぷりある。選択肢はフードコートもしくはレストラン。三階のレストランに向かう。展望台に大勢の人がいる。る飛行機の着陸を見ているようだ。さあ、メニューはどうだ。海鮮丼か…しかも酢飯と書いてある。寿司はいいよ。かと言って、海鮮が売りの店でとんかつを食べるのもなんだか微妙だし…仕方がない、この際、フードコートで済ますか。
静岡空港フードコート
フードコート、選択肢は4つである。ラーメン、浜松餃子、日本蕎麦、パスタ。
うーむ。ラーメンはなあ。かと言って餃子もなあ。最近、蕎麦率が高いのでこれも避けたい。とにかく野菜が食べたい。ならば普段は食べないパスタと行こうか。しかし、静岡でパスタ食ってもなあ。メニューを見る。洋食ならサラダもあるだろう。あるにはあるがコーンポテトサラダ…葉物がないやん!生野菜無くしてサラダを語るか???
仕切り直し。
そういえば、浜松餃子って食べたことがない。フードコートなのだから、一つの店に限定されることもない。そうk!決めた。浜松餃子10Pと静岡ラーメン。まさにフードコートだからなせる技。持ち込みOKなのだ。自由なのだ。
餃子は昭和28年創業だと、もやしスタイルはこの店が考案したと、うまさの秘密はつなぎにあると。しかも一子相伝であると!かの暗殺拳と同じ宿命を背負うのか。まさか、店主の胸には七つの傷があったりするのだろうか。ということは、本店でしか餃子の餡が作れないわけだから、餃子の生産はセントラルキッチン方式であろう。なんだかテンションが上がってきたぞ。
ラーメンは手火山って何?「てかざん」ではなく「てびやま」と読むのか。すべてを手作業で行った鰹節。うん、これの塩がうまそうだ。
ラーメンは券売機であるか。トップはやはり塩である。読みが当たった。ここは元祖ではなく、手火山かつお塩ラーメンをセレクトなのだ。正式には「手火山式焙乾製法」と呼ぶ。カツオぶしを作るとき、カツオの身を焙乾させるが、かごに入れた大量のカツオの身を乾燥室に入れて火を焚き、加工するのが一般的なのだが、手火山式ではこれを火の上で行い、人間がひとうひとつ手で培乾状態を確かめながら加工する、非常に手間がかかる方法のようだ。
浜松餃子と静岡ラーメン
数分してブザーが鳴った。まずは餃子を取りに行く。続いてラーメンのブザーが鳴る。かくしてすべてのアイテムがそろった。
タレとラー油はバックのものが付いてくる。辣油は二倍増しだ。たっぷりと餃子にタレをつけ、口に入れる。薄いがしっかりとした餃子の皮がプチっと破ける。薄いのにしっかりしている。中から飛び出した餃子の餡が口の中でボロボロと崩れていくかのようだ。
キャベツの甘みと肉のコクが混じり合い、甘めのタレが旨味をひきだしていく。これにシャキシャキとした付け合わせのもやしが確かに合う。薄い皮にたっぷりのキャベツ。サラダ感覚で食べる餃子である。これならば私でも二十個を食べることが可能だろう。
スープはカツオの効いたお吸い物のようである。これが手火山式の実力だろうか。あられが浮いているのは遊び心。食感も楽しい。いつまでも飲んでしまうような優しい味わいだ。
麺はコシのある少しもちっとした喉越しが良い。めんまは柔らかく薄味。チャーシューも柔らかい。しっかりと肉の味を堪能できる味付けがいい。
スープも飲みきって完食である。まさか空港のフードコートでこれだけの食事ができるとは。新千歳空港といい勝負ではないだろうか。
沖縄に帰ろう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)