焼肉 徳寿
会議の後のランチタイム。ワサワサした環境ではなく、落ち着いた空間でゆったりと食事をしたい。「何を食べたいか」ではなく「どこで食べようか」である。白日の一大イベントを楽しむ場所を探す人人人に溢れた新橋駅界隈、行列のない、ゆったりした店はどこかにないだろうか。
道を歩く私の前に現れた、落ち着きのある店構え。店頭に並ぶ者もいない。
焼肉ランチの案内幕を見る。ここがいいのではなかろうか。すかさずドアを開け、店に入った。
店内は客の会話は聞こえるものの、喧騒とは縁遠い。これはいい。スタッフがカウンター席に案内してくれた。
客の年齢層は高めだ。
メニュー
さて、何を食べようか。まずはランチセットメニュー。
続いてはクッパにビビンバ、麺料理である。なかなか充実したメニューだ。
単品及び盛り合わせランチ。
焼肉ランチに特選ランチ。迷うな、どれにしよう。
決めた。和牛カルビ&ハラミランチなのだ。たっぷりと脂がのったジューシーで甘い和牛肉を楽しむのだ。
箸とスプーン
オーダーが済むと、ロースターの前に置かれたのは箸とスプーン、紙エプロンだ。いわゆるスチョ、韓国語でスプーンは「スッカラ」、ハシは「チョッカラ」、併せて「スチョ」なのである。
私が知る数少ない韓国語会話を伝授しようではないか。
「チョッカラ チュセヨ。」
とても大事な言葉だ、呪文だ、おまじないだ。
韓国のコンビニでカップ麺を買っても、日本のように箸は付いてこない。それではホテルで食べることができない。コーヒーのスプーンを二本使うとか、下手するとボールペンから芯を取り、二本を組み合わせて箸の代わりにすると言った、涙無しでは語れない状況に陥るのだ。
だが、この言葉をレジで唱えれば問題は解決する。
「チョッカラ チュセヨ!」
日本語に訳すと「箸ください!」である。店員が黙って割り箸を差し出してくれる。何も心配なく、心置きなくカップ麺を食べることができる。個人的にはソルロンタンをオススメするのだ。
カルビ&ハラミランチ
まずはサラダとキムチが運ばれてきた。いずれもうまそうだ。新緑のような明るい緑のサニーレタスの上にはカラフルな野菜が彩り豊かにトッピングされている。キムチは朱色のグラデーションが眩しい。いずれも焼肉には欠かせないアイテムだ。
続いて肉とスープ、ご飯が運ばれてきた。これでオールスター勢ぞろいである。
真っ白なネギとわかめの濃い緑が織り成すコントラストが美しいスープを飲む。厚めのワカメにシャキシャキのネギ、ダシの効いたスープ。ゴマの香りと後を引く胡椒の刺激が味わいを一段と深くする。
肉はハラミとカルビがそれぞれ4枚ずつである。一枚20グラムとして、160グラム。まあまあの食べ応えと見た。
まずはハラミを焼く。ロースターで軽く焼くのだ。焼き過ぎ厳禁なのだ。両面に軽く焦げが付くくらいに加熱したら皿にとる。余分な脂を脱ぎ捨て、その身にタレを纏わせる。
噛みしめた肉からは、ほどよい脂の甘みと肉の旨味、これをしっかりと受け止め、キリッとした味わいに変換するやや辛口のタレ。固めに炊かれたご飯との相性は最高だ。キムチも辛すぎず、かと言って後味には刺激がしっかりと、かつ、くどすぎずに残る。日本人の口に合わせたような味付けである。
ああ、至福だ。
カルビは脂たっぷりでジューシー。これをタレにつければ、脂の甘さとタレの辛さが融合し、肉のうまさと相まって甘辛い極上の味わいを醸し出す。純白のご飯が口の中で余すことなく全てを受け止め、ゆっくりとゆっくりと余韻を残しながら口の中から消えていく。
ああ、たまらん。
口の中をサッパリさせたい。生野菜の出番だ。チョレギサラダはシャキシャキ、素材の味わいを邪魔しない絶妙なバランスがいい。
トイレは温水洗浄便座ではなかった。建物に年季が入っている。
味もボリュームも満足だ。次回はぜひ、韓国料理を楽しんでみたい。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)