ザクザクスパイシーカレー

新橋駅 カレーCAMP ザクザクスパイシールーポーク

新橋ランチ

朝8時のフライトで羽田に行く。浜松町の社宅に荷物を置くと、ランチを食べに新橋駅へ向かった。今週はお盆だ。浜松町駅周辺の飲食店は、ほぼ休業していて食事ができる状況にない。浜松町の数倍もの飲食店がうごめく新橋であれば、なにかしら食べられると思ったのだ。

駅を降りてニュー新橋ビルの地下飲食店街に向かう。ああ、一軒も開いていない。続いて二階へ。初めて向かうフロアだ。探検隊の気分だ。こちらも開いているのは一店舗のみ。うーん。仕方がなく一階へ。やはりほとんどの店が閉まっている。未体験の岡むら屋で肉めしでも食おうかと思ったそのとき、私の目に飛び込んできたのは野菜を食べるカレーだ。

あれ?これって品川駅にある店ではないだろうか。鉄板の上にのるカレー。野菜をフィーチャーしたメニュー、緑に白地の店のロゴ。だが、なにか違う雰囲気がある。店が広い。品川駅構内はEXPRESSとなっていたが、こちらにはない。興味が湧くではないか。よし、ランチはカレーにしよう。

カレーCAMP 新橋本店

店内に入ると、テーブル席があった。水筒に飯盒、頭上にはランプ。アウトドアを意識した内装なのだろうか。私には炭鉱かトンネル工事の現場に見えてしまう。テントを張ってキャンプなど、生まれてこの方経験したことがない。エアコンも水道も電気もない不便なところにわざわざ滞在し、虫や小動物がいる野外で布切れ一枚の粗末な設備の中で眠るなど、 正気の沙汰ではない。

テントなど、ナイフ一本で切り裂くことが可能だ。就寝中の無防備な住人を襲うことも容易だ。怖すぎる。周囲にはパラノイアやサイコパスがいるやもしれぬというのに、コンクリートで囲まれた個室でなければ安心して眠れない。

メニュー

おひとりさまは恒例のカウンター席だ。厨房を目の当たりにする席なのだ。さて、何を食べようか。

一日分の野菜カレーは三種類のルーだそうな。整理してみた。

  • 本店オリジナルルー(中辛)
  • ザクザクスパイシールー(辛口)
  • マイルドチーズルー(甘口)

なんだ、甘口、中辛、辛口の三種類か。ややこしいわ!これに野菜、キーマ、チキン、ポーク、ビーフのいずれかを組み合わせるということだな。

裏メニューだったらしいBBQカレーはポーク、チキン、ビーフの三種類と。うーん、野菜は食べたい。ルーは辛口。肉は…よし、辛口豚肉、ああ、ザクザクスパイシールーポーク…ややこしいわ!

ザクザクスパイシールーポーク

時間は11時40分。お昼前のお盆休みの土曜日だ。外を歩く人もまばらである。店内に客は私ともう一人だけ。厨房ではスタッフが一人分ずつ、小型の中華鍋でカレーを調理している。帽子はキャンプ風、エプロンは迷彩柄である。キャンプと言うより、野戦という趣に思えて仕方がない。調理を終えると、カレーをフライパンのような鉄板に移していた。

カウンターに私のカレーが運ばれてきた。EXPRESSとは異なり、カレーの鉄板とごはんの皿が分かれている。これは困った。想定外だ。右手を負傷しているから、ワンプレートの食事を選択したつもりだった。カレールーをライス皿に移すだけでも、かなりの難易度である。スプーンはスコップを模したものだ。

鉄板のカレーは山盛りであふれそうだ。鮮やかな黄色や紫色などの一般的にカレーでは見かけないカラーが茶色によく映える。隙間からは淡色の葉野菜もうかがい知ることができる。

熱々の鉄板には注意が必要だ。まずは左手でスプーンを持ち、鉄板の上にそびえ立つ茶色い山に挑む。

すくえない。

積み上げられた野菜からうまく取ろうとするとカレーがこぼれる。隣で食べている女性客は一滴たりともルーをこぼしちゃいない。

なぜか。

慣れない左手だカレーに挑んだせいもある。そもそもが配膳からして右利き用だ。左手では食べにくいのだ。こんな二重苦の中でカラーを食べる。なんの修行なのか。

世の中は右利きでできている。民主主義は多数決である。少数の声を大事にしろなどと言ったところで、ほとんどの右利き人間にとって左利きは他人事であり、無関係である。声を聞きはしても、ふーん、大変だねえで終わってしまうのだ。マイノリティーの悲しさをまた一つ垣間見た瞬間だ。

さらっとした、ルーを使わないスパイシーな食べ心地。山のようなカレーを、まさにスコップで掘り進むごとく食べる。やはりここはキャンプではない。炭鉱だ。フライドオニオンがてんこ盛り。まさに表層の土のごとく、炭鉱ならば発破でぶっ飛ばすところである。

まめ、キャベツ、赤キャベツ、じゃがいも、かぼちゃ、プチトマト、玉ねぎ、ズッキーニ、パプリカ。おくら、こーん、ナス。実に野菜を食べるカレーだ。辛口とは言え、大して辛みを感じないにもかかわらず、うなじから、額から、汗が噴き出してくる。真夏なので、店内のクーラーは全開で冷え冷えとしているのに、なぜもこんなに汗だくなのだろうか。

ポークは豚バラ肉を柔らかく、角煮のように煮込んである。斬新だ。

水筒の水がなくなった。大丈夫、ここは店内だ。

ごちそうさま

左手を駆使しつつ、なんとかカレーを食べ終えた。美味かった。アウトドア感覚については語ることができないが、鉄板野菜豚肉煮込みスパイシーカレーという、新しい扉を開いたような気がする。野菜が満載と言えば、札幌のスープカレー侍カレーも同じ路線に思えた。いずれにしろカレー+野菜。金沢カレーだって、キャベツ載せなのだから、もっともっと外食で手軽に野菜を食べられるようになれば、うれしいと思うのだ。

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