豚ロースの味噌焼き

芝公園 はらぺこダイニング 豚ロースの味噌焼き

はらぺこダイニング

浜松町から会社に向かって歩く。道中でランチを済まそう。さて、何を食べようか。雪のせいか、いつもは並んでいる牛カツの店にも人はいない。これはチャンスか?いつも並んでる店に行くのもありか。でも、寿司屋だからなあ、明日は北海道なのに。あ、蕎麦屋もありか。将監橋の近くにあったはずだ。向かうもそこにあったのは、蕎麦屋ではなく函館直送の魚料理店だ。だから明日は北海道だ。商店街を行く。どうしよう。あ、あそこだ。会社に荷物を置いてから食べに行こう。

オフィスに荷物を置き、簡単に指示を出してからランチに向かう。行き先は刀削麺の店の二階にある店だ。雪はますます激しくなってきた。店頭にメニューがある。マグロすき身のネバネバ野菜丼にも惹かれるが、13時からのメニューも捨てがたい。とりあえず階段を上り、無機質な白いドアを開けると、そこには広い調理場と明るいお座敷があった。

意外だ。

メニュー

さて、改めて、何を食べようか。トンカツ…いや、揚物はよそう。梅じそのミルフィーユカツも気になるが、ここは味噌ロースか。豚ロースの調理法はトンカツ、トンテキ、生姜焼きの三つが代表的と思うが、隠れたもう一つの調理法が味噌漬けだと思っている。漬物でも塩漬け、ぬか漬け、粕漬け、味噌漬けがある。ラーメンでも醤油、塩、豚骨、そして味噌だ。

日本の誇る発酵調味料と豚肉の出会いをエスコートするのは蜂蜜を置いてありえない、と個人的には思っている。さあ、食わせてもらおうか、豚ロースの味噌焼きとやらを。え?味噌焼き?味噌漬けではないのか。うーむ、まあいい、見せてもらおうか…以下、略。

13時からのサービスメニューはコーヒー付きだが、コーヒーを飲まないことを告げると、緑茶を出してくれた。寒いから温かい飲み物が嬉しい。なるほど、サービスメニューを餌に客が来る時間を分散化させつつ、コーヒーでまったりする分、客単価を上げるという、高度な経営戦略が透けて見える。できるぞ、こいつ。

豚ロースの味噌焼き

外は容赦なく雪が降っている。部屋の中は別世界だ。夕方の飛行機は飛ばないだろうな。今晩の宿泊予約を、なんとなく取らなかったのは正解だ。

さて、豚ロース味噌焼き。なんと挑戦的な盛り付けか。誰でも豚ロースであれば、どんな調理法であれ、キャベツスライスは鉄板だと思うはずだ。キャベツ以外に何があるというのか。しかし、この皿にはキャベツのキの字もない。ガンダムのマグネットコーティングと同じくらい革新的だ。温野菜に根菜の煮物、炒り卵に高菜と白髪ねぎ。見た目も美しい。

和食の基本は味噌汁だ。まずは一口。甘い。具だくさんで豚汁のようだが、肉の味はしない。野菜の甘みが効いているのだ。我が家の味噌汁もこんな感じだ。味噌汁は具だくさんに限る。最近は豆乳を加えるのが嫁のお気に入りだ。

次に豆腐だ。見た目にはツヤツヤの絹どうふだ。これは喉越しが気持ちいいだろうと、豆腐に箸を入れる。

ん?固い。なんだ、こいつ?

さらに力を込めて豆腐を二つに割る。一つを箸でとり、口に入れる。ずっしりと大豆の味が凝縮しているのが分かる。あ、これは沖縄の島豆腐だ。にがりをそれほど感じないが、おぼろ豆腐を集めて重しをして、しっかりと水を抜いたものではないだろうか。

さて、豚ロース味噌焼き。表面にもろ味噌が塗りたくられている。見た目には美味そうだが、果たして。一切れを口に入れる。肉を噛みしめると柔らかい。力なく嚙み切れる。脂の甘みと肉の旨味が口の中に広がる。ここにもろ味噌の甘さが被さってくる。おお!味噌が全ての甘みをまとめてしまうではないか。

美味い!

すかさずご飯を口に投入する。味がしっかりした料理とご飯の相性は言うまでもない。

I get it! 美味い美味い!

根菜類の煮物は薄味。温野菜はシャキシャキ。キャベツとは違う味わいがある。これもありだろうか。付け合わせの塩きつめの炒り卵も、甘めの味噌焼きといい感じなのだが、驚くべきは高菜と白髪ねぎだ。味噌焼きとこんなにも相性がいいとは。

大根の薄漬けが口の中をさっぱりさせてくれる。そしてら再び豚ロースを口に入れる。ああ、味噌焼き万歳!

食べ終えると、向かいのテーブルに座っている女子たちが恋バナをしていた。どうでもいいので、そそくさと席を立つ。これで1000円は個人的には満足だ。

だからこそ、これほどの味噌焼きならば、やはりキャベツスライスを付け合わせにしてほしいと、願わずにはいられなかった。

次回は梅紫蘇ミルフィーユカツにしてみよう。

はらぺこダイニング

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