みのむし しめ鯖

宮城県 仙台駅 みのむし つぶ貝と三陸地魚の刺身

知人に連れられて

今日のランチは海鮮丼だった。午後三時からの会議は三時間ほどで終わり、その後は懇親会。終わるや否や、大船渡の知人が、地元の知り合いが仙台駅前に店を出してるので、ぜひ一緒に行きましょうと誘ってくれた。それはぜひとも食べてみたい。懇親会は例によってホテル飯であった。宴会用の食事は、よほど食事に自信があって、それなりの会費を出さなければ美味いものにはありつけない。そもそも宴席ではまともに食事をする参加者も半分くらいで、あとはひたすらビール瓶を持って、いろんな席をあいさつ回りしていたり、逆に多くの人がやってきては酒を注いで挨拶をされる立場の者もいる。

私はどちらでもない。

そもそも食事中にトイレ以外で席を立つのが好きではない。気が付けば円卓で一人食事と言うのも珍しくない。だが、気にしない。一人の方がのんびりとマイペースで食事ができる。昔と違い、現在はスマホと言う便利なデバイスがあるので、のんびりと気になる記事やコミックを読みながら時間を過ごすことができる。だが、食事だけは自分の力ではどうにもならない。軽く済ませて二軒目に望みをかけるしか手段が残されていない。国分町のキャバクラにいく選択肢もあるのだが、むしろ早くホテルに戻って眠りたい気分だ。

懇親会が終わるやいなや、知人らとホテルを後にして、少数精鋭での行動に移った。目的地は「みのむし」。仙台駅からそう遠くない場所に位置しているという。確かに数分ほど歩いて到着した。

みのむし

知人のあとについて店の入口に向かう。落ち着いたシックな門構え。私好みの店のようだ。これは期待できそうだ。

店頭には料理の写真を説明書きが掲示されている。ウニが一押しのようだ。冬が旬の食材が入り始めたのであろう。鱈きく、カニ、うに、カキフライ。昨日の店もそうだが、仙台ではなぜに生牡蠣ではなくカキフライ押しなのだろうか。

扉を開けて店に入る。落ち着いた客席カウンター。一人で飲みに来てもゆっくりできそうだ。

お座敷席に通された。掘りごたつなので足がラクだ。ゆったりとしているのでくつろげる。

メニュー

席だけを予約しているとのことだ。メニューをチェックする。やはりトップは生うに。しめ鯖、イカ刺しと続く。

かつおにアワビ、ラストがカレイである。なかなかの達筆だ。

この店を紹介してくれた知人が、店主におまかせを依頼する。さて、なにが食べられるのだろうか。

お通し

お通しは野菜の煮物である。全体的に薄味、素材を生かした味付けだ。ビールはもういらないので、日本酒で乾杯する。

ツブ貝煮つけ

柔らかい、食感がいい、味付けも上品。

刺身盛合せ

しめ鯖をワサビだけでいただく。サバ独特の香りと脂の甘味が口の中に広がる。浅く締めてあるのに、ほのかに酸味が残る。絞ったレモンのせいかとも思ったが、やはり違う。これはこれで旨いものだ。

「醤油をつけなくていいですか?」

不安そうな顔で知人が尋ねる。いや、いいのですよ。そもそもしめ鯖って塩がしてあるじゃないですか。それで十分。醤油をかけたらサバの風味がぶっ飛んじゃいますよ。」

「言われてみれば確かに…」

知人が納得できないような顔でうなづいていた。そうですとも、私も醤油なしで刺身を楽しめるようになるまで、一週間ほど時間を要した。今では醤油をべちゃっと付けるのは、私の中では禁忌となっているのだ。この小さな積み重ねが、いつか血圧を通常値にまで下げ、薬の量を減らすことにつながると信じてやまないのだ。おまけにたびたび食通と勘違いされるので、それはそれで構わないのだ。

イカは生姜のみでいただく。ねっとりとした甘い身が舌にまとわりつく。

ウニが絶品。醤油は不要だ。ワサビだけでいい。オレンジとライトグリーンの見た目にも美しい組み合わせは、刺激と甘みの饗宴でもある。口の中でウニが滑らかな舌触りとともにゆっくりと溶けていく。鮮度落ちなど微塵も感じさせない。臭気など一切感知できない。ウニの風味と強い甘味をワサビが増幅してゆく。うん、これは確かに生雲丹を自慢するだけのことはある。納得だ。

カキフライ

ここで秋田県内で造り酒屋を営む知人が遅れてやってきた。そうなれば日本酒を飲むしかないだろう。彼は立場上、乾杯は常に日本酒だ。やむなくビールで乾杯するときは、写真や画像をSNSにアップしないようにと真顔で言ってくる。同業者から後ろ指をさされるそうだ。いや、そいつらだって、絶対にビールで乾杯して、料理が終われば芋焼酎水割りなんぞを飲んでいるに違いないのだ。とは言え、彼への気遣いも大切だ。ハイボールに切り替えるのを断念し、さらに日本酒を飲む。お冷をいただこう。このあたりから記憶があいまいである。

カキフライ。美味しくいただきました。写真が記録されているのみです。

焼き魚

〆に出てきたのは焼き魚。味の記憶が一切ない。うっすらと覚えているのは、カレイを焼いたものだということだ。日本酒にとても合ったこともなんとなく覚えているような…

旨い酒、美味なる料理、そして楽しい時間。11月末の仙台で貴重な時間を過ごすことができた。明日からは師走である。いよいよ今年も終わるを迎えるのだ。

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