アラカブ姿づくり

長崎県 佐世保中央駅 ふぐ料理 天虎 鮮魚を味わう

ふぐ料理 天虎

明日からの会議に参加するために長崎県佐世保市を訪れた。この地に足を踏み入れるのは実に8年ぶりだ。

あのときは長崎空港近くのホテルに宿泊していた。佐世保を日帰りで訪れたつもりが、盛り上がって午前三時まで飲んでしまい、急ぎホテルを取って朝一番で大村に戻った。その際にクレジットカードを落としてしまい、ホテルにお世話になった。

今回の宿はクインテッサ。外国人が多く泊まるホテルとのことだ。確かに周辺には沖縄市にあるような英語の看板が多数見受けられる。

さて、夕食だ。何を食べようか。

あてもなくふらふらとさまよっていた私の前に現れたのはふぐ料理の文字。さすがに一人でフグを食べるのはどうかと思ったが、魚くらいは食べられよう。

店に入ると客は誰もいなかった。ひとりなのに個室をあてがわれた。隣の部屋がスタッフルームとして使用されているようだ。少し肌寒い。後で暖房を入れてもらおう。少々風邪気味なのだ。鼻も多少詰まっている。

とりあえず生。ビールはよく冷えている。泡の下は凍っていた。グラスをきちんと冷やしているからだ。これは嬉しい。寒くてもビールはよく冷えた方が美味いのだ。

生ビール

昔の中国を思い出す。

ビールを冷蔵庫に入れないから夏はぬるくて飲めたものではないが、冬はキンキンに冷えてうまかった。

メニュー

定食に懐石、そして単品だ。

定食はやめた。普通ならお得だろうが、おしんこと味噌汁の食べられないし茶碗蒸しも余計だ。いずれも塩分が含まれている。刺身と天ぷらを単品で注文し、後からご飯を食べることにしよう。

ひとり個室、いいなあ。誰にも邪魔されずにゆったりと食事ができる。これがホテルの部屋ならばもっとくつろいでしまう。和室だがテーブルと椅子なのですごく和んでしまう。

肌寒いことを伝えたら、エアコンではなく小さなガスストーブのスイッチを入れていた。暖まるのかと半信半疑であったが、案外、効くものである。足元から寒さが引いていく。

客室

刺身

刺身はアラカブにいか、ヒラメ縁側にアジである。なかなか豪勢だ。盛り合わせではなく、個別の皿に分けられている。アラカブは姿づくりだ。

刺身

アジはねぎポン酢でいただく。辛味もあるのでもみじおろしがピリッと効いているのだろう。なにか別の魚を食べているかのようだ。鮮度もよく、青魚特有の臭みは微塵もない。素晴らしい。

隣の部屋のテレビからは中国の春節と新型コロナウイルスによる肺炎のニュースが聞こえてくる。

ヒラメの縁側、ずいぶん大きいと思っていたら、縁側とその周りの身である。鮮やかな黄緑のワサビを載せていただく。食感もよく甘味がある。これで1200円。はあ。素晴らしい。

純白のイカはネットリとした食感、適度な歯応えとじわじわと広がる甘味。ワサビの香りまじりあい、はかなく消えていく。

ビールが終わった。壱岐焼酎の炭酸割りをセレクトする。ここは長崎、九州だ。たまには地元の焼酎を飲んでみようではないか。千円は高いと思ったら、なんと一合取りである。炭酸も氷もついてくる。

リーズナブルなのだ。

すっきりとした味わい、焼酎独特の臭みがない。フルーティーな香りがする。これはクセになりそうだ。

アラカブ、白身の淡白な魚だ。味がしない。いや、噛んでいるうちに甘味が滲み出てくる。何枚かをまとめて食べた方が味わえる。随分と上品な味がする魚だ。

ネットで調べるとカサゴのことだった。なるほど、そら美味いわな。風邪をひいてないときに食べたかった。こんな繊細の味な魚に醤油をつけてしまったら、素材の味が分からなくなると改めて思った。小皿に注いだ醤油につけるよりもスプレーの方が塩分も少ないし味わいも邪魔しないのではないだろうか。

フグのから揚げ

ダメ元でフグの唐揚げを頼んでみたところ、できると言う。おお!ラッキーだ。

そして運ばれてきたのはなかなかのボリュームだ。東京で食べたらいくらになるのだろうか。フグを堪能するのに唐揚げが適してると思うようになったのはわりと最近だ。レモンをたっぷりと絞る。鳥からと比べるとその旨さは歴然としている。カリフワな上にホクホクした淡白な身でありながら、しっかりとした旨味と甘味を味わうことができる。

超高級鶏肉と言うものが存在するとしたら、フグなのではないかも思うくらいだ。

魚の身とは思えない。
だが、鶏肉とは明らかに異なる。
食べ始めると止まらない。
壱岐焼酎とも相性がバッチリだ。
やばい、こいつはヤバイ。

しかもひとり個室で誰にも邪魔されることなくじっくりとしゃぶりつける。味も食べ応えも十分だ。

トイレは洋式だが、温水洗浄便座ではなかった。小型ガスストーブで部屋はすっかり暖かくなった。このサイズですごいな。

天ぷら

揚げたてを席まで運んでくれるサービスがうれしい。初手から海老三本。期待せずに食べたらビックリだ。

熱々、身がぴっちり。

衣ばかりのエビ天は何度も食べてきたが逆だ。殻も柔らかくて食べられる。ご飯は柔らか目だが美味い。硬かったらもっと好みだ。

かまわん、うまいうまい。
天ぷらとも相性がいい。

かぼちゃにサツマイモ。しっかりと甘味が引き出されている。熱々だ。ホクホクである。

イカは飾り包丁が入っているのか柔らかい。入っていた。甘い。
椎茸は食感も香りもいい。油の甘味が旨味を引き立てる。衣は軽くてサクサク。こんな天ぷらを揚げられるようになりたいものだ。
三つ葉は彩りも香りも良い。ああ、エビ天がふにゃふにゃになっている、急いで食べなくては。
インゲンもホクホクで火の通りが絶妙。甘い。豆の甘味だ。サクサク衣だ。

レンコンはスライス3枚重ね。無理なく火が通る。北海道で食べたのと真逆のアプローチである。きんぴらのような心地よい食感とレンコンの味わい。少量の天つゆをつけると激変する。

うーん、たまらん。

海産物はそもそもが海のものなので塩分をその身に秘めているが、野菜はそうではない。

キスもホクホクで甘い。ああ、若い頃に父とよく葉山に釣りに行ったなあ。

香のものを持ってきましょうかと声をかけられたが固辞した。本音は食べたい。だが、塩分が気になってしまう。デザートをサービスと言われたが、グレープフルーツゼリーだという。私には禁忌の食品だ。薬の効果が高まってしまうのだ。

残念。

ナスの天ぷら。野菜は普通に美味い。

特筆すべきことはないが海産物はなかなかだ。しかも、天ぷらがこれだけ出てきて千円なのだ。東京だと三千円でもどうかと思う。

とどめはフキノトウ。うーん、ちょっと育ちすぎかな。

酔った。食った。美味かった。
個室でひとりのんびり、最高だ。
ゼロからっしゅMAXが連チャンしたような気分だ。

ホテルに戻ってゆっくり休もう。

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