笹塚 中華そば 福寿
戸籍謄本が必要となったので、笹塚まで取りに来た。せっかくなのでランチを食べようとしたが、十号通りにはとんかつの江戸屋とラーメン屋くらいしかなかったので、十号坂通りに向かう。確かうなぎと天ぷらが安い店があったはずだが、なくなっていた。
坂の下まで降りる。ああ、福寿。
昭和で時が止まったかのようなたたずまいは以前と変わらない。よし、ここにしよう。店に入る。
メニュー
カウンターに座ると、壁に掛けられたメニューを見た。ラーメンとワンタンがあるが、構成は変わらない。
「決まったら注文してね。」
親父さんが私に声をかけた。うーん。ラーメンはシンプルすぎる。ワンタンメンもいいのだが、具が欲しい。チャーシュー麺か五目ラーメンか、どちらにしようか。上が付くとどう違うのだろうか。
しばし長考。
一八金。ではない、五目ラーメンだ。
店内にエアコンなどはない。ドアも窓もすべて開けてフルオープン。親父さんも短パンを履いている。なかなか風通しが良くて心地よい。水はセルフサービスである。
五目ラーメン
さて、五目ラーメンの登場だ。なんだか想像していたものとかけ離れているのだが、まあいい。レンゲもないので、どんぶりを持ち、口をつけてスープを飲む。
ああ。
しょうゆ味のあっさりした、塩分控えめのスープ。うまい。高山ラーメンに似てるが、よりあっさりしている。
次は麺だ。見た目に昔ながらの縮れ麺である。ハシで掴むとボソボソしてるように感じるが、口に入れるとそんなことはない。スープをまとって滑らかな口当たりに変身する。
パンチもインパクトもない、奇をてらってもいない、素朴な味のあっさりした、ご飯にもおやつにもなりえる一杯のラーメン。かまぼこが意外に合う。しいたけは甘くに煮付けてあり、卵は黄身がやや半熟。チャーシューがうまい。薄い方は柔らかく噛むとジューシー。分厚い方は歯ごたえがあり噛めば噛むほど肉の味がする。硬いわけではない。二種類の味が楽しめる。
テーブル席に座るおばあさまたちが大将に言う。私たちは子供の頃から、先代の頃からこの店に通ってるのよ。きっと七十年前から店があったのだろう。
ここでラーメンに胡椒をかける。味わいが広がる。麺をすべて食べたら、スープを飲んで完食だ。丼の底から日本一の文字が現れた。割り箸立てとお揃いのロゴだ。
美味かった。
いつになるか分からないが、次に来たときは上五目そばを食べよう。いや、ワンタンもいいな。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)