天ざる

北海道札幌市 東家(あずまや)南19条店

更科蕎麦が食べたい

しばらく美味い蕎麦を食べていない。そこそこ美味い蕎麦は食べた。そうでないのも食べた。すべて東京でのことだ。ここは北海道。蕎麦の一大産地。

白い蕎麦が食べたい。

花喬にも志の家にも行った。どちらも激ウマの店だ。しかし、ススキノ近くにまだ知らぬ美味い店があるのではないか。ネットで調べると、市電の駅のそばに店があるようだ。食べログの写真を見ると、白い蕎麦だ。

白い蕎麦だ。

食べたい。ここにしよう。

東家 南19条店

目的地は東家(あずまや)南19条店だ。市電で山鼻19条駅まで行く。駅からはすぐの場所だ。

ドアを開けて店に入る。店内は地元の年寄りばかり。店も年配の夫婦で切り盛りしている。ひとり客になかなか気づいてもらえず、立ち尽くす僕。

調理場の店主が気づいてくれた。

「好きなところに座ってください。」

角の席に陣取る。どこか懐かしさを感じさせる内装だ。昔ながらのお蕎麦屋さんだろう。

メニュー

さて、なにをたべようか。メニューを見る。

裏側にはカロリーが表示されている。

天ざるを注文。

温かいそば茶がうまい。セルフで冷水を飲むこともできる。

続々と入って来る客もほとんど年配の方だ。ひとり、若い女性が混ざっていた。高校生のような服装なのだが、赤い柄物のワンピースに白のカーディガン、膝まである黒いハイソックスを履いた、茶髪のおさげの女性はどう見ても私より年上だ。

強者だ。

東大の女性装者くらい強者だ。相方はジーンズでラフな格好の、いたって普通の私よりも幾分か若い男性だ。夫婦ではないらしい。どちらかというと親子だろうか。

店内のBGMはクラシック。今、流れているのはラデッキー行進曲だ。

天ざる

おかあさんが天ざるを運んできた。冷水と蕎麦湯も一緒だ。

まずは蕎麦を一本食べる。つるつる、つるつる。滑らかで角が立ってうまい。なんせ、私は白い蕎麦が好きだ。これが食べたくてこの店に来たのだ。次につゆにつけて食べる。香りも、喉越しもいい。

ツユはキリッとしまっているが辛すぎない。天ぷらにもそばにも合う。器は蕎麦猪口ではなく小碗だ。天ざるだからだろうか。ん?あちらの客は蕎麦猪口で食べている。しかも天ざるだ。

なんで?

天ぷらの衣は伝統的な蕎麦屋の揚げ方だ。蕎麦と食べるにはこの方がうまい。蕎麦つゆも一人二役を上手くこなしている。海老が二本なのだ。

蕎麦がすぐにくっついてしまうが、容器に盛られているので冷水を少しかける。ほぐれる。大きめに切られた海苔と食べたり食べなかったりして、味のバリエーションを楽しむことができる。

ああ、天ざるはこうでなくては。塩で食べるとか、天つゆで食べるとかは邪道だ。同じツユにつけるのがまさに天ザルの王道なのだ。

締めは白くて少しとろみのある蕎麦湯を小碗入れて飲む。

飲みにくい…蕎麦猪口がいいなあ。

蕎麦湯は見た目ほど濃厚ではない。案外サラッとしている。蕎麦つゆとよく混ぜる。美味いのだが、天ざると一緒に出てきた蕎麦湯は冷めてしまって、ぬるいのが残念だ。

家の近くにあったら通うだろうな。

さて、会議に行くとするか。

やっぱり細麺の更科蕎麦が食べたい。

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