ジンギスカン
羊の肉を焼いて食べる料理をジンギスカンと呼ぶ。タレに漬け込んだ羊肉を焼く店もある。焼いた羊肉をタレにつけて食べる店もある。いずれにしてもタレを使うが、有名なのはベルの成吉思汗のタレである。タレを使うがときは、専用のジンギスカン鍋を使うのが一般的だ。
ところが、羊肉をただ焼いて食べるだけの店もジンギスカンである。七輪で焼いて塩で食べる。塩コショウでもいい。専用鍋も使わない。網だ。焼肉スタイルだ。
専用鍋を使う店は羊の部位にはあまりこだわらない。せいぜいラムかマトン。ラムは仔羊、マトンは羊だ。なので「特上ラム」と言っても、なにが特上なのか分からないのだ。ビール園だと冷凍か生かで値段が変わる。これは分かりやすいが、部位は同じだ。そもそもジンギスカンで食べてる肉はどの部位なのか分からないのだ。
沖縄では山羊を食べるが、これもそうだ。山羊刺しはどこの部位なのか分からない。睾丸だけは部位がハッキリしている。牛肉や豚肉、鳥肉に至るまで部位がはっきりしてるのに、羊や山羊は気にしない。もっともスーパーで売っている羊肉はロースかラムチョップくらいなので、ロースなのだろう。松尾ジンギスカンでは特上リブロースを売っている。
マトンかラムか、どちらを食べる?
ラムはクセがない、マトンはクセがある。私はクセがあるのも大好きなので、マトンも好物だ。人間も同じだとは言わないが、少なくとも私は熟女好みではない。何歳からが熟女なのか常に議論になるところではあるが、キャバクラは女性が20代半ばまで、姉キャバはアラサーからアラフォーまで。アラフォー以降は熟キャバなのだろうか。アラフィフ以降ばかりの店も世の中には数多くあるが、その俗称を知らぬ、聞かぬ、考えぬ。「場末のスナック」とどう違うのだろうか。ああ、確かに年齢が上がるにつれて、店に行くのがきつくなる。女性の物言いも酒の飲み方もキツくなる。飲んでる私もキツくなる。帰っていいですか?
キャバの話はどうでもいい。
さらに言うと、食用羊の大半はマトン種なのだが、最近はサフォーク種と言う、さらに食用に改良された品種がある。それは士別の方で飼育され、なんと札幌でも食べることができるのだ。士別とは旭川よりさらに北、名寄の手前にある街である。
数ヶ月前、狸小路で蕎麦居酒屋に行った時のこと、士別のサフォーク種の羊が食べられる店をたまたま見つけた。満席で入れなかったが、申し訳ないからと店長がクーポン券をくれた。その店に食べに行こうと予約の電話をしたら、予約で満席だが、となりに姉妹店を出したので、そちらでも同じものが食べられると言う。早速電話で予約しようとすると、これからすぐに入れるとのこと。
よしっ!
念願のサフォークラムとやらを食べに行こうじゃないか。
士別BBQ はなれ
店は士別バーベキューの隣と言うことだったが、隣の建物が分かりにくい。階段を上り、長屋みたいな細い通路の突き当り手前右側に、およそジンギスカンの店とは思えない風貌だ。東京のおしゃれな隠れ家ダイニング風焼肉屋とでも言おうか。客は誰もいなかったが、二時間制だという。
さて、なにを食べようか。
メニューを見て驚く。なんだ、これは?ジンギスカンの店とは思えない品ぞろえだ。牛一頭ならぬ、羊一頭か。ジンギスカンでの肉のオーダーについては前半に書いたとおりだ。それがこの店では牛肉店のようだ。ラムのタン、ハツ、ホルモンは見たことも食べたこともない。さらにラム皮、リードアニョーにフィレステーキ。たたきにユッケ、ラム刺し。
これが士別か。
ならば見せてもらおう、たたきにユッケ、レバ刺しとやらを。え?レバ刺しは売切れ?仕方がない。次回、本店で食べればいいのだろう。ならば、たたきとユッケだ。
ラムのたたき。見た目よし。食べてみる。んー、山わさびと相性がいい。羊を食べてるように思えない。癖のない牛肉みたいだ。
ラムユッケ。ハシでかき混ぜて食べる。おお、甘くてうまい。ねっとりして臭みもなく、肉の旨味を感じる。これは本当に羊肉なんだろうかと勘繰りたくもなる。ジンギスカンが獣臭いとかいう人は、食べてみるがいい。
ラムタンだ。
ラムハツだ。
ラムロースだ。三連星かと勘繰りたくなる。
三連星ではない、ソーセージもあった。四天王、そうじゃないな。道産子も食べたことがないと興味津々だ。
焼いて食う。うまい。細かい味は覚えていない。おっさん四人でがっついたことしか記憶にない。
この店はタレつけ派だ。焼いた肉を特製のたれに付けて食べる。美味い!具体的な味は、覚えていない。おそらくジンギスカンの味だ(笑)
美味いのはジンギスカンだけではない
誰だよ、玉子スープ頼んだのは。案外うまいじゃないか。あれ?そもそも私はスープを食べただろうか?
赤ワイン煮うまい!そのまま食っても、バゲットにつけても、どちらでも美味い!どんな味かって?覚えてません。すいません。
生ラムチョップ。なまらでかい。内地のスーパーで売ってるのとはわけが違う。
「俺さ、毎年夏になると、祭りでこれを200本くらい焼くんだよね。みたくもない。」
一人が言った。いや、うまいじゃないか。食おうよ。焼くとものすごい脂だ。七輪から炎が燃え上がる。
でかいのでハサミで切りわけて食べる。脂が甘い、肉の味が濃い。美味い!なぜかこれだけしっかりと味を覚えている。
「お客様、そろそろラストオーダーです。」
他に客なんていないのに…いいや。そろそろ次の店に行こうか。腹もいっぱいだ。羊肉を焼くのはジンギスカンだ。だが、この店はあえて「バーベキュー」と名乗っている。なるほど、確かにそうだ。羊肉バーベキューだ。本店は囲炉裏焼きの店みたいで、服に匂いが染み込みそうだが、こちらは牛角みたいなので、臭いをさほど気にしなくてよい。ぜひまた来よう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)