函館 麺厨房 あじさい
なぜだろう。昨日から無性に塩ラーメンが食べたい。
「あじさい」だ。
函館塩ラーメンなのだ。
岩見沢から空港への道中、本当は宇宙軒の塩バターチャシュー麺、バター別盛りが食べたいのだが時間的に無理だ。ならば空港で選択できるベストチョイスを考えるしかない。しつこいようだが、今日のランチは「あじさい」だ。
空港に着いたのは13時15分。荷物を預けて店に行くまで5分、保安場をギリギリに通過するとして食事ができる時間は25分しかない。足早に空港カウンターに向かい手荷物を預けた。運良く飛行機が五分遅れだとのこと。乗継には問題ないらしい。25分の持ち時間でラーメンを食べるのは厳しいが、30分だと120%だ。波動砲のエネルギー充填率と同じだ。安心なのだ。
とは言え、ゆっくり食事ができる時間でもない。ラーメン道場に急ぐ。こんな時に限って一幻に一人しか並んでいない。だが、今回は迷う時間も躊躇している余裕もない。心残りだが、脇目も振らずに目的地のあじさいを目指す。幸い、それほど混んでいなかったのですぐに座ることができた。
メニュー
メニューを見て、塩チャーシューを頼む。ザンギと餃子も勧められるが断った。
一息ついて水を飲むと、トッピングワンタンのポップが眼に入る。写真でもうまそうだが、他の客がオーダーしたワンタンが目の前を運ばれていく。本当にうまそうだ。しかし、今からトッピングを追加しても麺が伸びてしまうのではないだろうか。
仕方がない。
心に余裕がないとこのようなミスも往往にして起きてしまうものだ。心静かにラーメンが運ばれてくるのを待つのだ。
テーブルの真ん中にはうちわが置かれている。暑い時はこれで涼しめ、ということか。絵が渋い。
「塩チャーシュー麺でーす。」
デシャップの女性の声が響く。フロアの女性がドンブリを取りに向かう。こっちにきた。ついに私のラーメンだと身構えたのだが、あっけなくスルー。
なんだ、まだか。
と思ったらラーメンが出てきた。どうもフェイントをかけられたようだ。
塩チャーシュー麺
早速スープをいただく。あっさりとしているがコクがある。味噌ラーメンのそれとは違う、コンソメスープのようなコクだ。塩加減もバッチリ。薬味のネギがシャキシャキとアクセントを添える。 麺は少し太めのストレート麺。固めに茹でてある。舌触りも喉越し滑らかだ。
チャーシューは柔らかい。塩ラーメンに合わせているのか味付けは薄めだが、肉と脂の味がしっかりする。めんまは歯ごたえがあるのに筋張っていない。塩煮卵は黄身がトロトロだ。スープをたっぷり吸った麩を口に入れるとまたたく間に溶けていった。ああ、幸せだ。
ふと時計を見る。13時41分。まだチャーシューが3枚も残っている。麺が少し伸び始めている。だから固めに茹でているのかなどと感心している場合じゃない。慌ててチャーシューを頬張ると支払いを済ませ、店を後にした。
一幻には再び行列ができていた。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)