かき揚げ天そば、玉子付き

東京都 大手町駅 めとろ庵 かき揚げ天そば玉子付き

めとろ庵 大手町メトロピア店

社宅から大手町に向かうなら芝公園から都営三田線で向かうのが一番便利なのだが、この道中で食事をできる場所が一カ所しかない。

めとろ庵だ。いわゆる立ち食い蕎麦だ。

蕎麦にはうるさい私だが、立ち食いだけは別だ。子どもの頃から食べ親しんでいるソウルフードなのだ。そして食べるものは大体決まっている。

かき揚げ天そば、もしくは春菊天そば。

食券機

だが、たまには違うものを食べてもいいのではないか。いや、それで失敗することが多いではないか。大手町店限定鴨南蛮やにしんそばも検討の余地があるのでは?いや、立ち食いそばの鴨南蛮はコスト的に鴨肉の質が低いのではないだろうか、そもそもにしんそばは京都で食うものだ。それは食べていなければ分からないだろう?どんぶりセットも豊富にあるぞ。そんなラーメンライス的な、炭水化物オン炭水化物を朝からがっつり食ったら、太るだろうが。50歳なんだから、ちっとは健康を考えないとだめだろう。

自販機を前にして脳内が煩悩で埋め尽くされる。そんな私が押したのは、かき揚げ天そば、玉子付き。

ああ、結局、冒険できず立ち尽くす僕。

カウンターで食券を渡し、席を確保する。店内に誰もいない。貸し切りだ。

かき揚げ天そば玉子付き

私の食券が呼ばれた。カウンターに取りに行く。おお!ネギ大盛りが嬉しい。平べったい、冷めて油でベタベタになったかき揚げが、どんぶりに投げやりに突っ込まれた立ち食いそばではない。見た目が一線を画している。玉子の黄色がそばつゆに映える。

どんぶりに口をつけてツユをすする。温度絶妙。ぬるくなく熱くない。すぐに食べられる。胃にやさしい味だ。そうそう、七味をかけねば。もう一口。ああ、味わいが深まった。続いて蕎麦を食らう。少しコシが弱いが、昔の立ち食い蕎麦に比べれば上等だ。うん。かき揚げはアツアツだ。ツユに衣が溶け出すこともない。玉子の黄身は割らずに一飲みだ。

甘い。

一気に蕎麦を食べ進む。かき揚げの油の甘さと蕎麦つゆが混ざり合って一体化し、玉子の白身とともにそばに絡み、かき揚げのとネギのシャクシャクとした食感が華を添える。

うん、これだよ。立ち食い蕎麦はこうでないと。短時間に食べることも大事だ。高級蕎麦でも変わらない。

蕎麦を食べるのに時間をかけてはならないのだ。

丼の中の残留物をハシでかき集め、口に放り込む。まるで川の水面に浮かぶゴミを集め、トラックの荷台に放り込むが如しだ。食い物の例えには不適だが、表現としては一番正確なのだ。それがB級グルメ。立ち食いだからこそ許される食ブームへのアンチテーゼなのだ。自分でも何を言ってるのか訳が分からないのだ。

立ち食い蕎麦はカウンターに始まりカウンターに終わる。食器を返却するまでが食事である。

さて、燃料も補給した。仕事先に向かおう。

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