ナンバで締め
恒例の忘年会であった。もんじゃ焼きを食べ、ミナミのクラブで飲んで、騒いで、じゃんけんポン。各自が何杯かのウイスキーショットを一気飲み。楽しかった。無茶苦茶なことを言ったり、たまにアホな飲み方をするこのメンツだが、それでも、無理強いすることなく、各自がさりげなくフォローをいれたりするので、酒の飲み方は意外に綺麗だ。
出会った頃は、私も含めてメチャメチャ汚い飲み方をしていた。
クラブを出たのは23時半。私以外はまだまだ飲みに行くという。私も付き合いたいのだが、まだまだ出張は先が長い。しかも翌朝は早い。本気で飲んでしまうと翌日は起動しなくなり、1日が潰れてしまう。後ろ髪引かれながらも、皆と別れてホテルに向かう。
10分ほどでグランド花月を過ぎる。合格祈願の絵馬がネオンになったのか。さらに2分。たどり着いたホテルの前で足が止まる。なぜだろう。あれほどもんじゃを食べたのに、腹が減った。何か食べたい。ガッツリ食べたい。私の中で眠っていた、食欲と言う名の鬼が目覚めてしまった。
さて、何を食べようか。
来た道を戻ってみる。意外と店がない。飲み屋は多いが、締めの店がない。ラーメン店も数件あるのだが、なんだか微妙な感じがして、入る気がしない。早い時間にはたくさんあった魅力的な店は、いまやほぼほぼ準備中に。近くにコンビニも見当たらない。どうしたらいいのか。
歩くしかない。
うどん屋も見つけたが微妙。一軒目が粉もんだから、締めにお好み焼きもたこ焼きも無し。ステーキもいらないが、そもそも大阪に締めのステーキ屋はない。
カレー堂
ウロウロするうちにカレーの看板が目に入った。
カレー。
食べたい。
フラフラっと引き寄せられるように、店の入口に向かった。
メニュー
外の看板にはバッファローカレーと書かれているが、店内はカレー堂になっている。客がいない。この店が賑わう時間にはまだ早いのだろうか。メニューは大きく二種類。オリジナルカレーにバッファローカレーだ。
バッファローカレーのミンチカツだ。メンチカツではない、ミンチカツだ。関西ではヘレカツだ、ヒレカツではない。
若い店員がテキパキとカレーを作る。
バッファローカレーミンチカツ
さて、私の前に置かれたこいつをいただくとしよう。まずは一口。コクのあるカレールーは、フルーティーな甘みの奥に、刺激的なスパイシーさが待ち構えていた。味の二重構造だ。美味い。懐かしい味なのに、新鮮な辛さだ。
ルーにたっぷりと入っている、スプーンで潰れるほど柔らかく煮えた牛肉が香ばしい。赤い福神漬けとのカップリングも文句なしだ。
メンチカツ、ではなくミンチカツは固めの衣に包まれていた。一口食べると、肉の旨味と玉ねぎの刺激がガツンとくる。まるで肉屋のミンチカツだ。こいつをルーが絡んだライスと一緒に口の中に放り込む。
うーん、幸せだ。
こうしてカレーを食べ終えた私の中に、もう鬼はいなかった。いや、別の鬼が目を覚ました。睡眠欲だ。眠い。コンビニで酒を買うこともなく、真っ直ぐにホテルに戻ると、シャワーも浴びずに寝てしまった。
カレー堂 難波店
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)