ラウンジ ビーツ
セミナーは13時と16時からの二回開催だ。受付が12時半からのため、ランチは一回目のセミナーが終わってからとなった。
腹が減った。
宿泊したホテルの朝食がパン食しか選べず、しっかりと食べることができなかった。
エスカレーターで一階に降りる。時間がないので、ランチはホテルで済ませたい。新阪急ホテルのレストランは天ぷら、ステーキ、中華にうなぎである。
どれも微妙だ。
実はこのホテルに来たときから気になるメニューがあった。
トロ壺カレー。
館内のいたるところにチラシやポスターが貼られていた。総務課長も気になっていたとカミングアウト。
ならばカレーを食べるしかないと合意。店は地下一階のバーだ。さらに階段を降りる。ここにもトロ壺カレー。
どんだけ自信作なのだろうか。
ここだ。店に着くと二名であることを告げる。通されたのは、すごく暗い席だ。なんでこんなところに。明るい方に空いている席がたくさんあるではないか。
メニュー
仕方ない。とりあえずメニューを見よう。
ホワイトカレーも気になるな。
焼きドライカレーも美味そうだ。
ビーフ、ポーク、チキンとのコンボもしっかりと押さえてある。
ジャーサラダ…食べにくそうにも見えるのだが。
しかし、メニューを見ても二人の心は一部も変わることがなかった。トロ壺カレー、二つ。辛さが選べるとのことなので、私は激辛。課長は中辛をチョイス。
トッピング
なかなか出てこない。時間だけが過ぎていく。まずい。他の人が次のセミナーまでにご飯を食べられないではないか。トッピングが運ばれてきた。パイナップル、福神漬け、オニオンチップ、らっきょう。それにピンク色の物体が。
え?
ガリ?
帯広で食べたカレーのインディアンでもガリを試したが、いまいちだった。いつの間にガリがカレーのトッピングとして市民権を得ていただろうか。
私は時代に取り残されようとしているのか。
トロ壺カレー
焦り始めたところに壺が登場。ふたが閉まっている。写真を撮る私に、店員が言った。
「壺に店の名前がありますので、写るようにしてくださいね。」
店員がふたを開ける。ご飯とルーとチーズが三層構造になっている。ツボが熱々なので触ってはいけないと説明を受ける。ビビンバのように混ぜて食べるように指示される。ルーが重いので口直しに生姜を食べるよう注意を受ける。
ふーん。
壺の中をのぞいてみる。暗くてあまり見えない。写真を撮るのが厳しい。壺が黒いし、照明は暗いし、カレーも茶色だ。いい香りが立ち上ってくる。カメラのレンズがすぐに曇ることで熱々なのが分かるが、肉眼ではまったく見えない。
とりあえずスプーンで壺の中を混ぜる。見えないので、スプーンを適当に動かすしかない。まるで闇カレー。ご飯が焼ける音がする。まさしくビビンバだ。
焼けた熱々のご飯をスプーンですくう。一口食べる。
熱い。
少し冷ましてから、改めて口に入れる。ふむ。コクのあるこってりしたルーに、チーズがさらなるコクと香りを加える。付け合わせにはパイナップルが合う。らっきょうとの相性はイマイチだ。チーズと味がぶつかるような感じを受ける。定番の福神漬けは薄味で美味い。オニオンチップは特に味もない。
肉はほろほろ。かなり煮込まれている。
熱いのでフーフー冷ましながら食べる。必然的に無言となる。急いで食べなければならないのに、これではどうにもなるない。
見た目よりもボリュームがある。白いパイナップルとラッキョウは見えるのだが、区別がつかない。福神漬はまったく見えないので、カレーと一緒に食べようがない。オニオンチップは見える必要がないから支障もない。
時間が経つにつれ、壺は熱気を失い、食べやすい温度になっていく。最後まで熱々のカラーが食べられるのはいいが、食べ進むほど、ツボの中が一層見えなくなる。
食べ終えてから、館内に置いてあったパンフレットを見て、自分が何を食べたのか、ようやく理解できた。
明るいところで食べたかったよ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)