和牛ロースとハラミの盛り合わせ

沖縄県那覇市小禄 焼肉工房 團 カルビとロースと冷麺と

ランチ焼肉

これから仙台行きの便に乗るため、那覇空港に向かう。大体は妻が空港まで送迎してくれる。飛行機の離陸時間は2時半なので、一緒にゆっくりとランチを食べる時間がある。つまり何を食べたのか聞いてみた。家では食べるのが難しいもの、私では作れない料理、いくつかあるのだが、シンプルな料理なのに意外と家庭ではうまくいかないのが焼肉だ。

七輪や無煙ロースターで焼けばうまいのだが、そこは家庭用にはなかなかいいものがない。カセットコンロ用であれば無煙ロースターの鍋もあるのだが、まだけいたまもゆうたまも小さいので、自宅の卓上でコンロを使った料理は難しい。

その上、油がはねるので掃除もめんどくさいから、卓上で焼肉はしたくない。やるとしたら鍋物だけだ。すき焼きは油がはねるのが最初の一瞬だけなのでまだ良いのだが、ジンギスカンはさすがに厳しい。

焼肉を食べるのはいいとして、これも店が二種類ある。食べ放題とそうじゃない店だ。食べ放題はもちろん却下だ。元が取れる取れないの問題ではない。いろんなものをたくさん食べられるのがビュッフェ形式のいいところだが、肉質が悪い。間違いなく輸入ものの冷凍肉だ。量を求める若人ならばそれもいいだろう。五十路のいい大人がバイキングで元を取るまで肉を食べるなど、筋肉の塊の芸能人じゃあるまいし、意味が分からない。

ただし、家族連れでの焼肉は、食べ放題かどうかは関係なく、バイキングスタイルの方が楽なのは間違いない。席に着いてすぐに食べ始めることができるのが良いのだ。特に小さな子供がいる場合、両親は味については諦めるしかない。これが子育てだ。

自宅から空港の間に店を探す。飲食店がある場所はそれほど多くない。ほぼ小禄、一択である。一口に小禄と言っても、なかなか広範囲にわたるので気をつけなければいけない。空港に行く途中の合理的な範囲にある焼き肉屋。ステーキ店ではない。韓国料理スタイルの焼肉だ。しかも上等な肉が置いてある、ゆったりとまったりと、味も雰囲気も食事も楽しめる、そんな店を探した。

一件、該当する店が見つかった。よし、ここに行ってみよう。私が荷物を載せると、妻が車を走らせた。

焼肉工房 團

小禄病院の交差点から豊見城方向に向かう。何年前だろうか、この辺りに住んでいたこともあったので懐かしい。トンネルに向かって坂を登る途中に店はあった。

ドアを開けて店に入る。店内はファミレス風だ。ランチタイムだというのに客はいない。

店内には店を訪れたであろう芸能人のサインが掲示されていた。

うーん、誰だかさっぱり分からない…「ペコロスの母に会いに行くと」いう舞台の出演者が多いようだ。

メニュー

さて、何を食べようか。まずはランチメニューから。

ここに来てカレーうどんで済ます手はないな。あり得ない。

盛り合わせ、三コースから選ぶスタイルだ。

セットメニュー。夜に食べるにはいいかもしれない。

キムチ・ナムル・野菜。キムチとサラダは必須である。

ご飯・スープメニュー。冷麺に「生麺になりました。」との記載がある。

妻と慎重な協議の上、盛合せAにキムチ、サンチュ、ライスを食べてからの締めの冷麺をオーダーした。

焼肉を味わう

ロースターを眺めつつ、肉が到着する瞬間(とき)を待つ。ああ、焼肉。和牛の霜降り肉が加熱されることによって内部に秘めた甘い脂が表面ににじみ出しまとわり付く。一部は滴り落ちロースターの炎によって焦され、香りが華開く。

イメージトレーニングはここまでにしておこう。

ついにその時がやってきた。さっそく肉を焼く。いや待て、焼肉のポイントは十分に解凍された状態、常温に戻してから焼くことだ。チルドの肉でも温度が低いと肉が固い。表面と内部の温度差がなくなってから焼いた方が、火の通り方の差が減少する。表面がカリッと焼けても、肉の内部の温度が低ければ十分に加熱されず、冷たいままなのだ。それでは肉の旨味も脂の甘みも十分に味わえないのだ。

妻と会話をしてその時を再び待つ。ふむ、肉の状態が最適化された。Ready Perfectlly!! 焼くぞ!

ローズはしっかりとした肉の旨味を味わえる。口の中で溶けて無くなっていくカルビは脂の甘さを堪能できる。サンチュにタレをつけな肉をのせ、キムチを肉の上に乗せ、味噌を少々つけた上にさらにご飯をのせる。これを包んで口に入れる。

肉の旨味、キムチの辛みとコクに味噌の甘味、そしてご飯とサンチュ。一汁三菜が一つに纏まったかのような料理へと変貌する。国の中で広がる味のシンフォニーはまさに小宇宙(コスモ)。

たまらん。

ただ、肉の切り方がまあまあ雑である。厚みや大きさが揃っていないのが残念だ。

トイレは洋式、温水洗浄便座ではない。

冷麺を堪能する

肉を食べ終えた我々は、続いて冷麺の処理に取り掛かかった。

このスープはジェル状?いや、シャーベットだ。濃厚だ、むしろ濃ゆい、濃すぎる。ああ、昔、韓国人が著者の誰かの本で読んだことがある。冷麺のスープは家の外の甕に貯蔵しておくと。冬の寒い日、味の濃い、凍ったスープの表層を使うのだと。これか。

凍ったたっぷりと酢をまわしかける。五周程度。これくらいでちょうどいいはずである。少しでは濃厚な味に酢が負ける。味を見てみる。うむ、酸味が加わってマイルドになった。

透明感溢れる太めの縮れ麺は盛岡冷麺を彷彿とさせる。ツルツルシコシコ、舌触り滑らかで喉越しも良い。シャーベット状のスープがよく絡む。これは美味い。さらにリンゴの甘酸っぱさが味わいを広げるではないか。

締めはデザートのシャーベット。甘さ控えめで五十路にも食べられる。娘たちがもう少し大きくなったら連れて来たいなあ。

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