かしわたぬきそば

狸小路駅 しらん かしわたぬきラーメン

飲み過ぎた日の夜ふけと翌朝の朝食

昨晩は飲み過ぎた。八時間ほど飲んだ。一日の労働時間と同じだ。最後のキャバクラでは、誕生日のお祝いにとフルーツを出してくれたのはいいが、空っぽの胃に酒と果物。冷たくて爽やかな果実が、空腹の泥酔者には毒リンゴと化す。アルコールで荒れた胃を酸味が刺激する。

まずい。

ホテルに戻りたい。一人になりたい。トイレに行けばすべて解決するのは若者だけだ。五十路はすでに体力も限界だ。

そそくさと店を後にしてタクシーでホテルに戻る。部屋に戻ると速攻でリバース。すべてが体外に排出された。胃の中は空っぽだ。もう何も出ないのに吐き気は止まらない。

数分で落ち着いたので軽く水を飲んで眠りについたが、数時間後に再びリバース。何年振りだろう、胃液を吐くのは。少し血が混じってるようにも見える。マロリーワイス症候群だな。朦朧としながら再び眠りについた。

宿泊しているのはグレイスリー札幌である。この二ヶ月ほど、朝食を食べないようにしている。以前は必ず朝食付きで宿泊していたが、今は素泊まり専門だ。しかし、このホテルの朝食は別格である。食べない訳がない。

9時頃になるとなんとなく胃が落ち着いた感じがしたので、朝食にスープカレーと海鮮丼を食べた。やはり美味い。体調が良ければもっと味を堪能できただろう。

飲み過ぎた翌日のランチ

単に飲み過ぎて体調が悪いだけなら問題ないのだが、どうも風邪をひいたようで、喉が痛く咳も出る。体も熱っぽくて節々が軽く痛む。

強力な台風が関東に襲来し千葉県を蹂躙、その翌日から東京は35度だ。沖縄は31度。そして北海道は23度だ。涼しいというより寒い。秋物を着なければ風邪を引く気候だというのに、私は夏物でこの地を訪れていたのだ。深夜はかなり冷え込んだろう。前日の夜は気温が15度まで下がったと言う。その上、にわか雨にやられた。

風邪を引く理由がいくつもある。

大事をとって砂川への出張をキャンセルし、札幌で養生することにした。グレイスリーが満室のために、ススキノのアパホテルに移る。札幌駅前は、交通は便利だが食事が不便なのだ。幸い、気持ち悪くはないのだが、ガッツリ食べられる感じでもない。よくも朝から海鮮丼を食べたものだと感心する。

さて、消化のいいものといえばなんだろうか。うどん、お粥、肉なら鳥肉、魚なら白身、野菜なら豆腐や根菜類。ネットで調べてもピンとこない。自分の足で探そう。

アパホテルに荷物を預けて狸小路を歩く。ラーメンばかりだ。焼肉はいらない。刺身は論外。酒は見たくもない。

食べられるものがない?

ドンキホーテの向かいのパチンコ屋の脇を歩く。ナナイロビルである。ふと、入口を除くと気になる貼り紙を見つけてしまった。

「かしわたぬきラーメン」

なにそれ?気になる。すごく気になる。そのまま引き寄せられるように店に近づいた。

えび天ラーメン・大通うどん・ごまそば しらん

まずは券売機で食券を購入する。かなりメニューが豊富だ。たが、かしわたぬきラーメンが見当たらない。焦る。あ、一番下に見つけた。本当に人気メニューなのか一抹の不安を抱えながら、一番奥のカウンターに座った。

目の前には定食のメニュー。え?どれも美味そうじゃないか!目の前の一品にだけ気を取られ、稚拙な行動に走っていたのか?

あま、落ち着け。

どう見ても立ち食いそばに毛が生えたような厨房だ。大したものではないに決まっている。ほら、中台(蕎麦の盛り付けをする場所のこと)てどんぶりを盛り付けている。私のに違いない。

隣の客の天ぷらそば定食であったか…

今度こそ!

けっこう、ちゃんと手作りである。一品ずつ調理しているので、すぐに出てくるわけではない。生姜焼きのオーダーが入る。結構うまそうに感じる。

わたしのラーメンはいつなのだ。お??丼が用意された。天かすを入れている。間違いないこれは私のものだ。

かしわたぬきラーメン

オーダーから6分後、ようやく私の前に現れた。さっぱりとしてそうな透明な醤油スープの上には天かす、ネギ、三つ葉、鳥肉そして中央にはおろし生姜。

突然、昔の記憶が蘇った。ケンミンショーで紹介された岩内の天ぷらラーメンを妻と食べに言った時のことを。あれは厳しかった。本当に美味いのか?これを美味いと感じるのか?疑問しか残らなかった。ラーメンに天かす、同じ路線ではないか。

まあ、いい。食べれば分かる。

まずはスープ。熱々。熱すぎる。さっぱりした醤油ベースのスープに生姜が効いている。

続いては黄色い細めの縮れ麺。コシも伸びもある。そうか、天かすが背脂代わりか。これまた熱々で味がわからない。鶏肉は茹でただけだ。柔らかく、噛めば噛むほど旨味が滲み出てくる。

何も足さない、何も引かない、素材の魅力をシンプルに味わえるのがいい。ときおり三つ葉の香りが鼻を抜ける。鶏肉との相性が抜群なのだ。

離れた席の客が、店員からせいろを受け取っている。キラキラした麺がすごく美味そうに見える。生蕎麦を茹でているのだろうか。

最後まで熱々のまま食べ終えた。席を立って私が目にしたものは、この店の名物はまったく別物だと言うことだ。

・えび天ラーメン
・大通うどん
・ごまそば

説明から想像するに、大通うどんとは伊勢うどんと同じではないのだろうか。エビ天ラーメンはまさに岩内のものだ。ごまそばは…八雲が有名だが、食べたことはない。そば粉にゴマを混ぜて打ったものだと記憶している。こちらのスーパーでも売っている。

次に食べることがあれば、蕎麦か定食にしてみよう。

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