一番街 ニコニコキッチン さんさん
岡山はずーっと雨が降っている。川は増水し、あちこちで氾濫危険水位を超えているらしく、災害情報が携帯に何度も鳴り響いていた。土地勘がないので、どの辺りが氾濫してるのか、そもそもどこに川があるのかも分からないのだが、地図を見ると、岡山城のそばを流れる川が氾濫水位を超えたようだ。岡山駅ではほとんどの列車が運転を見合わせたまま。多くの人で混乱したままだ。
そんな中、食事をしようと駅前の一番街に向かった。入口には又来軒。あれ?この店、昨晩食べたが、あれは支店なのか?
一番街にはいくつかの飲食店があった。博多ラーメン、ベトナム料理などなど。一通り歩いて、店を見定めてみたが、やはりネットで目をつけておいた洋食店で食べることに決めた。メニューも豊富なようだ。
閉店まであまり時間もないが、店に入ってマスターに声をかけると、大丈夫と言う。フロアの女の子がちょうど帰るところだった。と言うことは、この後はマスターが一人で店を切り盛りすることになるのか。調理とフロアを一人でこなすには、店内は少し広いように感じたが、こんな時間だし、こんな天気だし、なんとかなるのだろう。
メニュー
ビールを頼んでから、メニューをみる。さて、何を食べようか。まずは野菜が食べたい。出張にくると野菜不足で便秘になる。おいしいシャキシャキのみずみずしい野菜をたくさん食べたいYO。イエイ!よし、フレッシュサラダを食べよう。
フレッシュサラダ
野菜がシャキシャキで美味い。ドレッシングはフレンチスタイルでシンプルだ。酸味控えめで素材の良さをうまく引き出す。コーンフレークはアクセント、甘みがドレッシングと対象的だ。ばくばくたべてしまう。2人前にすればよかったか。朝から食事をするときに上顎の付け根が少し痛む。なんだろう。何年かに一度、たまになるのだが。
スパイシーチキン
次はマスターお勧めのスパイシーチキンだ。ハーフサイズもあるとのことでお願いしてみたが、見た目が可愛いというか、貧相というか、これくらいでいいか。味は柔らかく、普通に美味しい。スパイシーさは感じられないが、胡椒が少し効いているか。でも鳥の旨味を味わうことができる一品だ。ご飯にも合うだろう。
携帯から大音量が流れる。同じ音があちこちで鳴っている。災害情報だ。朝から五回目。こんなに頻繁に鳴っていては感覚が麻痺してしまう。
チーズオムレツ
見た目が美しい。たまごふわふわ、チーズトロトロ、チーズの塩気とフルーティーで甘酸っぱいソースがたまごに合う。美味い。初めてのたべたことのない味わいだ。チーズがたっぷりで存在感がある。自分でこんなふうに作れたらいいのになあ。オムレツは奥が深い。
「朝から騒がしいですね。」
マスターが笑いながら話しかけてきた。朝から賑やかですね。雨だのオウムだの。
黄ニラハンバーグ
「一生懸命作ってました。美味しく焼きましたよ。」
と言いながらマスターが運んできたのは黄ニラハンバーグ。このような形で岡山の特産品を食べることになろうとは。全体にベーコンで巻かれた、独特の形をしている。ナイフで切り分け、ソースにつけて食べる。歯ごたえがしっかり。ひき肉とは思えない。まるでミートローフだ。軽いソースがよく合う。キノコの食感が華を添える。ソースに野菜も合う。ベーコンの存在感もひき肉の嫌な味も感じられない。
え?
これ、ベーコンじゃない。肉だ。
ドミグラスソースがライトだ。どっしりしていないから、ハンバーグの味を邪魔しない。美味い。初めての味だ。黄ニラはどこに行ってしまったのかと思わないでもないが、いや、そんなレベルではない。肉巻きハンバーグ。
ごちそうさま
炭水化物なしでお腹がいっぱいになってしまった。
トイレに行く。居酒屋で飲んでいる地元民だろうか。
「俺ら自宅に帰れるかな。ヤバイみたいなんですよね。」
「ほふく前進で帰れば大丈夫!」
完全に酔ってますなあ。
店に戻る。テレビにテロップが流れる。明日は朝から電車が全線運休だ。やはり沖縄便を予約して正解のようだ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)