宮崎県日南市の郷土料理
タクシーでの宮崎観光。日南市で気になったのは、横断幕やのぼりに書かれた文字である。
「日南一本釣り カツオ炙り重」
ここも鰹の一本釣りで漁を行うのだな。日南の港は深いので、大型客船が停泊可能だとのことだ。年に数回は外国からのクルーズ船が寄港するそうだ。
魚料理 びびんや
目的地は「魚料理 びびんや」。予約しないと入れない人気店だとのこと。日南には魚介以外は何もないと都城市民が解説する。店に着いた。このあたりは柚津という街らしい。
店に入ると右側にいけすがある。あじ、しまあじ、かわはぎなどが泳いでいる。ここから供されるのだろう。
店内は奥行きが広く、かなり広い。我々はお座敷席に通された。
メニュー
壁には本日のおすすめとサイドメニューがこれ見よがしに掲示されている。これはなかなか期待できそうだ。
さて、何を食べようか。メニューを見る。どこにも「カツオ炙り重」が無い。載っていない。どういうことだ?外ののぼりには書いてあるのだ。都城市民が言った。
「昨日、この店でカツオ重を食べたんで、ありますよ。普通の味ですよ。」
メニューによれば、この店の一押しはカツオ飯だ。道の駅で見かけた「魚うどん」も気になる。とりあえず、刺盛りは外せんだろう。私はカツオ炙り重と行こうではないか。魚うどんも付いているとの話だ。
トイレは店の入口の方にある。温水洗浄便座だ。
刺身盛合せ
席に戻ると、まずは刺盛りの登場だ。あれ?イカ、マグロ、タコ、エビ、サバ、シマアジ…本日のおすすめは全然ないの?地物はどれ?カツオとシマアジくらい?
えええ?!
見た目はいいのだが、急激にテンションが下がる。あとで食べよう。
カツオ飯
美味そうだな。
海鮮丼
宮崎に来てサーモンといくらだなんて…沖縄のサーモン海ぶどう丼もどうかといつも思うのだが、なんだかなあ。地の物を出せよ。
ここでしか食べられない食を供せよ!
まぐろのアラ煮定食
見た目に豪快だ。なんだか美味そうだが、まぐろの産地ならどこにでもあるような。
そもそも日南はマグロ上がるの?
カツオ炙り重セット
やってきました!チキン南蛮に、魚うどん、小鉢にお重。真ん中にどどんと置かれたカツオの肉塊。普通の漬けとコチュジャン漬け。チキン南蛮は昨日も食べたから要らないよ。魚を食べに来たんだよ。鶏肉は頼んでないよ。セットだから仕方ないのだろうけど。
魚(ぎょ)うどん
さて、魚うどんから食べてみよう。まずはスープを一口。甘い。出汁がきいてる。続いて麺だ。ん?すすれない。うどんと言うが、魚の練り物をうどん状にしてあげたものか。細長い揚げちくわと言えばいいのか。これをうどんと称していいのか?イカソーメンも小麦粉は使わない、もずくソーメンも同様だ。しかし、これら二つはソーメンも言う表現に違和感を感じない。
そういえば魚うどんの作り方が壁に貼ってあった。
だがしかし、こいつはちっともうどんではない。郷土料理だ。うどんの捉え方も人それぞれだ。私の感性が宮崎とは相容れないのかも知らない。気を取り直して、いよいよラスボスだ。チキン南蛮は触れないでおこう。
カツオ炙り重
まずお重のご飯を茶碗によそう。お重にご飯がやたらと張り付いて取りにくい。これ、お重である必要があるのかと思うが、おひつを出すわけにもいかないだろうし、いやいや、ミニしゃもじくらいつけてくれてもいいのではないだろうか。
次にカツオをコンロで炙る。焼き方は好みだ。焼きすぎると硬くなると言う都城市民のアドバイスに従い、レアで焼く。
これを茶碗のご飯の上にのせて、出汁をかける。肉塊だから、茶漬けのようにはいかない。カツオを箸でとり、口に入れる。
すごい歯応えだ。ゴリゴリする。カツオを食べてる気が微塵もしない。なんでこんなに硬いの?
もう一回、漬けを焼く。今度はミディアムレアにしてみよう。うん、先ほどよりは柔らかいが、うぷ。血合い臭くて食べられない。
無理。
口から吐き出す。
次はコチュジャン漬けだ。炙って出汁をかけて食べる。
硬くはない。魚の臭みもしないが、何を食べているのか分からない。コチュジャンの味しかしない。
このカツオの肉塊はなんなんだ?一体、どの部位を食わされてるのだ?これ、美味いと思う人がいるのか?食べてるうちに出汁が足りなくなった。カツオ飯を食べていた女子が出汁を分けてくれた。
はあ、疲れる。
せっかくだからチキン南蛮も食べてみた。あー、普通に美味い。安定だね。ホッとするね。付け合わせのプチトマトが猛烈に甘い。都城市民が言う。
「そうなんですよ。これ、案外、チキン南蛮の方が何気に美味いんですよ。」
最後のカツオの一片を炙らずに食べてみる。うん、これは漬けだね。まあまあ美味いよ。まさにカツオ飯だね。イチオシだけあるね。メニューにないものを頼むからこうなるんだよね。
結局は刺身食えず。腹が一ぱいだ。
女子に尋ねた。かつおめしはおすすめだけあって、美味かったらしい。二日酔いのおっさんがオーダーした焼き鯖も激うまだったらしい。海鮮丼は普通だとのことだ。
次回はかつおめしを食べることにしよう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)