那覇市久茂地 免許皆伝酒場
以前から店の前を通るたびに気になっていた。この店の向かいにある「しか枡屋」も同じく気になっていた。免許皆伝酒場は、メニューがことごとく有名店とのコラボという、オリジナルティー皆無な店だ。かたや「しか枡屋」は沖縄の方言、「しかます」のダジャレネーミングだ。ビビる、びっくりするという意味である。
店頭には内地の名店のコラボと書いてある。別の言い方をすればライセンス?メニューと素材の提供を受けている、他力本願なビジネススタイルと感じていた。表の看板を見るに、この酒場がコラボしているのは、銀座馬かばい、中津からあげ とり嘉、包丁切りそば みとう庵、蛸あざぶ、宇都宮餃子 味一番。
いずれも聞いたことのない店である。
馬刺しならば、長野か福島、熊本が本場ではなかろうか。中津からあげは有名だ。中でもとり嘉(とりよし)は西オーストラリアから取り寄せた塩と秘伝の醤油タレによる味付けが特徴なのだとか。
みとう庵は外務省や参議院、関東財務局にも店を出すチェーン店。製麺会社が経営している。蛸あざぶは芸能人も食べにくる東京の店だ。粉もんなら大阪の店とコラボすればいいのにと思わぬでもない。そして味一番。宇都宮餃子と言えば、私の中ではみんみんか正嗣である。ああ、しばらく食べていないなあ。
微妙なラインナップに不安を覚えつつ、怖いもの見たさで店に入ったのが本音である。
メニュー
店内はテーブル席のみ。一人で入るのは難しいか。窓には水が流れていて涼しげだが、予約席のために、我々は一番奥のテーブルに陣取った。飲み放題をセレクト。さて、何を食べようか。
コラボ商品以外にも豊富なメニューである。
馬刺し三点盛りをオーダーする。野菜はパクチーサラダ。炒め物は豚キムチ。鳥からはムネ肉とモモ肉両方。
お通しはモズクそうめん。今が旬のモズクをめんつゆに薬味を入れていただく。酢の物では量が食べられないが、これだと一気に大量のモズクを食べることができるのだ。店側も洗いモズクを出すだけなので、手間がかからずに一石二鳥である。
パクチーサラダ
これだけたっぷりと入っていれば私は満足だ。値段も少々高めである。がっつりとパクチーを頬張り、噛みしめる。ああ、鼻を抜ける独特の香り。マニアにはたまらない。ドレッシングとトマトもパクターの香りに華を添える。モリモリ食べる。ほぼ一人で食べていた。
馬刺し盛り合わせ
おろしにんにくと生姜を醤油に溶いて、肉を食べる。ふたえご、ロース、赤身だろうか。肉は臭みなく、柔らかい。まあまあいける。
鳥からあげムネ肉
割と柔らかい、繊維質のアッサリとした独特の食感に、衣の味と油が相まって、こってりさを加えている。ムネ肉はパサパサになりがちだが、まあまあジューシーに仕上がっている。秘伝のタレの威力だろうか。
豚キムチ
見た目に焼きそばかと思った。食べてみると塩っぱい。一口で諦めた。
からあげモモ肉
噛めばジューシーな肉からは鳥の旨味が滲み出てくる。やっぱ鳥を味わうならモモ肉だな。アッサリとしたムネ肉とは対照的な味だ。
カツ煮
免許皆伝に飽きてきた。甘熟(かんじゅく)島豚の厚切りカツ煮。私はお腹いっぱいで、もう食べられない。皆さんでどうぞ。甘熟島豚はシークァーサーの果皮を粉末にして餌に混ぜて食べさせた、ランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種を掛け合わせた三元豚である。
宇都宮餃子
うーん、こんなものかなあ。
ゴーヤーチャンプルー
沖縄の定番、さすがに県内の店でこいつのハズレを引くことはない。どこで食べても安定した味わいなのである。しかもこの店は珍しく生の豚肉を使っている。ポークもいいのだが、生の豚肉を使うと素直な味わいとなる。ポークを使うと塩気の効いたパンチのある味わいになる。
ハムカツ
ラストメニューだ。うーん、私はいいです。見た目でパス。美味いまずいではない、腹がいっぱいで、こんな分厚いものを食べる気にならないのだ。腹が減っていれば間違いなく箸をつけただろう。分厚いハムカツは孤独のグルメで取り上げられてから、ちょくちょくメニューで見かけるが、食べたことがない、と思う。
食った食った。まあまあかな。会計を済ます。沖縄にしては少し高めの店である。ちょっと厳しいかもしれないと思うのであった。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)