名古屋駅の立ち食いきしめん
名古屋駅にはいくつかのきしめん店がある。中でも一番人気は「住よし」だ。私も新幹線ホームの店舗は良く食べに行く。時間がないときは重宝するのだ。立ち食いでこの味、この値段。コスパ最高である。これを食べるためにわざわざ名古屋駅で新幹線を降りる客もいるくらいだ。
住よしは名古屋駅構内に複数あり、ネットで調べると3・4番線ホームの店が一番だとのことだ。先月にも高山からの帰りに、このホームで食べたかったのだが、じんましんのせいで叶わなかった。
しかし、今日は違う。体調も万全だ。
いや、まあまあ万全だ。うーん、疲れてるかなぁ。まあ、いいや。6時半に朝食を済ませたから、すでに腹が減っているのだ。今は昼前だ。
ついに来た。リベンジのときがやってきたのだ!
名古屋駅3・4番線ホーム店
だけど、おかしい。店が見つからない。反対側のホームにも白い住よしの店舗があったはずなのに、それも見当たらない。
なぜだ?
しばし迷って、理由がわかった。住よしはこのホームのずっと先にあるのだ。この前は一番後ろの車両に乗っていた。今日は先頭車両に乗っていた。だから、分からなくなったのだ。
キャリーバッグをゴロゴロと引きながら、ホームの端から端まで歩く。ここだよ。さて、自販機の前に立ち、かき揚げか煮込みか迷う。麺は蕎麦かきしめんが選べるが、当然きしめんだ。なぜこのホームの店が特に美味いのか。それは、このホームは他に比べて発着する列車が少ないため、客が少ない。そのために天ぷらは常に揚げたてなのだとネットに書いてあった。味噌煮込みきしめんは鉄板で美味いのだが、涼しげな冷やしかき揚げきしめんも捨てがたい。
うん。ここはかき揚げで。
揚げ物が食べられない
ところが、かき揚げ入りメニューにことごとく赤いバツ、つまり販売中止になっている。
どういうことだ?
答えは自販機に掲示された札にあった。
「ただいまの時間、フライヤー清掃のために、天ぷら製品の販売を一時中止させていただいております。」
まさかよ!
仕方ない。味噌きしめんを食べるか。やや納得がいかないが、味噌も美味いからいいかと自分に言い聞かせ、食券ボタンを押した。
店内には客が誰もいなかった。日曜日の11時前。朝食には遅く、ランチには早すぎる。だからフライヤーを掃除しているのだろう。セルフの水をコップに注いで、きしめんが出てくるのを待つ。
客が一人、また一人とポツポツ入ってくる。
味噌きしめん
5分ほどできしめんが出てきた。ああ、これだよ。いつもの味噌きしめん。しばらくぶりだね、会いたかったよ。さっそくいただくとしよう。麺はツルシコ。つゆは…あれ?薄くない。いつもは新幹線ホームで食べるが、毎回、もうちょっと出汁がきいていればと思っていたのに、この店のは出汁が薄く感じない。
美味いよ、3・4番線ホーム!
煮込みは鳥野菜煮込みだ。鳥肉、しいたけ、白菜、大根、油揚げがよく煮込まれてクタクタになっている。きしめんはやっぱり味噌か。そんなことはない。冷たいツルツルの冷やしきしめんだって美味いんだよ。かき揚げきしめんも美味いんだよ。問題なのは、一食で食べれるのは一種類だってことなんだよ。私がギャル曽根並みの胃袋を持って入れば、この後に隣のホームに行き、かき揚げきしめんと冷やしきしめんを食べるに違いない。その程度の小銭、いや電子マネーの残高くらいはあるんだよ。
温玉を潰すと甘みが味噌と合う。あー、胃に沁みる。
至福の時間は瞬く間に終わる。まさに刹那。ガンダム00ではない。
再びキャリーバッグをゴロゴロと引きながら新幹線ホームに向かう。本当は沖縄に帰りたいのだが、明日も東京で会議のため、埼玉の実家に泊まることにしたのだ。そういえば、今日は土用のうなぎの日だ。JR高島屋で父に鰻の蒲焼を買った。糖尿なのでうな重だとマズイのだ。うなぎが食えない母には赤福だ。そういえばら子供の頃から名古屋を通った時は、お袋への土産は赤福だったことを思い出した。
池袋までの切符を買って、新幹線ホームに上がる。そこには通い慣れた住よしの店舗がある。ふと、やっぱりかき揚げきしめんを食べようかとも思ったが、おとなしく水だけ買って、のぞみ号に乗った。今夜は実家だから、ゆっくり眠れるなどと考えながら、心地よい揺れに眠りに落ちたのだった。
きしめん 住よし HP
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)