ファミレスおぐら
チキン南蛮で地元では有名な店、ファミレスおぐら。雨降りそうな雲行きの中、ホテルからバスで向かう。バス停は店の真ん前にあった。開店前なのに何人もが並んでいる。数分して開店。店に入るとすでに何組もの客が座っていた。
「好きな席に座ってくださーい!」
スタッフが入店する客に案内する。窓際の席に陣取る。
メニュー
さて、なにをたべようか。
メニューを見る。迷うことはない。いや、カレーにも惹かれるな。
丼物に定食か。こちらには心惹かれない。
はい、チキン南蛮ください。
看板にはファミレスと書いてあるが、昔ながらのレストランと言った雰囲気だ。全国チェーン店のように機能的な店内ではない。少し昭和が香る雰囲気は悪くない。席もゆったりしてるので、ついつい長居してしまいそうだ。店内が全面禁煙なのも嬉しい。
トイレは和式便座に洋式の温水洗浄便座を載せたものだ。
チキン南蛮
10分が過ぎた。なかなか料理が出てこない。開店直後に一気に客が入ったからだろう。私より後に座ったお年寄りのちゃんぽんが先に出てきた。宮崎でもちゃんぽんを食べるのか。
ようやく私の鳥南蛮が到着だ。これがそうなのか。名前だけは知っていたが、食べたことがない。まずは鳥肉を切り分け、たっぷりのタルタルをつけ、口に入れる。
ほお。
あっさりしたムネ肉に鶏皮がコクを加え、ほんのりと甘酸っぱいタルタルが肉を包み込む。ご飯を口に入れると、肉とタルタルをしっかりと受け止め、炭水化物の甘みと相まって、口の中に旨味が広がる。
こんなに美味かったのか。
極薄のキャベツスライスがみずみずしく、ふんわりとした食感がいい箸休めになる。ドレッシングも美味い。店に入ってきた親子連れが、チキン南蛮ライス大盛りをオーダーしている。なるほど、これはご飯がススムもんね。
チキン南蛮にたっぷりのタルタルを惜しまずにつける。続いてキャベツを食べる。ご飯を食べる。
ああ、口の中ですべてが一体化する。
キャベツが甘酢の酸味を一層マイルドに化学変化させ、ご飯が母性のごとくすべてを受け止める。
付け合わせのパスタは昔懐かしの味だが、それだけだ。チキンとキャベツ、ライスのトリオが奏でるコンチェルトにスパゲッティのパートは用意されていない。入る余地も必然性も蓋然性も感じられない。
あえて言おう。蛇足だと。
私にはライスが多すぎる。残してごめんなさい。
レジで会計をする。壁には何枚もの野球選手のサインが飾られている。彼らなら一人で何皿食べるのだろうか。
次に来るときは、牛南蛮を食べてみよう。あ、そうか。濡れずにホテルまで帰れるだろうか。運試しだ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)