カルビ

宮崎県宮崎市 個室焼肉 炎(えん)

宮崎と言えば

食べ物に限定すれば、真っ先に思い浮かぶのが宮崎牛。なんたって、高山牛から日本一を奪取してからの、二年連続日本一。他にはチキン南蛮、地頭鶏(じとっこ)、肉巻きおにぎりにうどん。マンゴーなどのフルーツは南国沖縄と被るものが多い。五年前からは巨人春季キャンプも宮崎と那覇で行われている。キャンプ誘致の決起大会で、スタジアムの電光掲示板のプログラムをしたのが懐かしい。

いずれにしろ、宮崎牛を食べなければ、何しに来たのか分からない。いや、仕事で来てるのだし、宮崎牛を食べることが目的でも仕事でもないので、本末転倒かもしれないが、とにかく宮崎に来たから牛を食いたいのだ。人間は感情の生き物だ。食欲は人間の本能であり、三大欲求の一つだ。宮崎牛を前にして、人が支離滅裂になるのは当然なのだ。

などと考えながら会議に臨んだのだが、終了後、懇親会場として連れてこられた店は、なんと宮崎牛を食わせる、食べ放題かつ飲み放題の焼肉屋だった。やはり、幹事は分かってるじゃないか。その店の名は「個室焼肉 炎(えん)」。

味あわせてもらおうか、宮崎牛の旨さとやらを。

個室焼肉 炎

ドアを開けて店に入ると、予約席に通される。個室だ。すでに宮崎牛がテーブルにセッティングされている。A4ランクの宮崎牛のカルビと霜降りバラだ。なんだと?これがお通しだと?なんと言う贅沢だ。やるな、連邦のやつら、ではない、宮崎。若干、興奮気味の私に、宮崎県民が肉を見ながら、うんざりした顔で私に言った。

「こんなに脂の入った肉、食べれますか?私は一切れでいいですよ。それより、沖縄の締めで食べる赤身のステーキの方がいいなぁ。」

なんだ、その軟弱な草食男子みたいなセリフは?五十歳に近づくにつれ、こんなセリフを吐くやつらが周りに増えた。霜降りを敬遠するのがオトナ?みたいな。何を言ってるのだ。肉の旨味は脂の甘み。糖質制限とか抜かすなら、脂質もしっかり摂りやがれ。私は脂がくどいなんて、全然思わない。いや、酒が進む、ワインが欲しくなる、米が食いたくなる、キムチが欲しい、もっと霜降り持ってこんかい、われぇ!なのだ。

お通しなんだから、すぐに食ってもいいのだろう。どんどん焼き始める。なんたって食べ放題なのだ。じきに人数が揃い乾杯が済み、次々と肉がやってくる。うん、美味い。脂の甘みがたまらない。ビールに合う、野菜に合う、キムチに合う。さあ、じゃんじゃん食べよう。

注文はタブレットから行う。個人的にはこの方が好きだ。間違いもないし、店員が来なくてイライラすることもない。霜降り厚切り牛タンを頼む。焼いて食う。美味い。

それよりも気になって仕方ないのが「カルビ専用ごはん」だ。まるで「シャア専用ザク」なのである。これは食べるしかない。まずはカルビを注文するのだ。そしてご飯だ。

タブレットから注文して、時間を置かずに出てきたこいつはなんだ?海苔、ネギ、なめこに温泉玉子だと?タレもかかっている。こいつをよく混ぜる。カルビを焼く。一緒に食べる。をを、確かにこいつはに専用だ!カルビの脂をご飯と玉子が受け止め、ネギで迎撃する。海苔となめこは援護射撃だ。美味い、美味いよ。

圧倒的じゃないか!

ここからカルビ→専用メシ→カルビ→専用メシの無限ループが始まる。なにがこってりかダメだ、なにが霜降り食えないだ、肉を食ってこそ正義!肉食万歳!そんなやわなことだから、この国は少子化なのだ!と、訳の分からない考えが頭をよぎる。

美味いんだよ!

糖質制限とか、ドMか?意味分かんない。肉とご飯は昔から相性バッチリ、マリアージュなんだよ。片っぽだけじゃダメなんだ。ハーフムーンなんだよ。

もう何が何だか分からないが、腹が膨れて我に返った。飲み放題、食べ放題、これで四千円。お得だ。

宮崎 個室焼肉 炎

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