青樹園 カレー純豆腐

東京都港区 三田駅 焼肉 青樹園 カレー純豆腐

三田駅ランチ

土曜日だ。今日はブランチにしようと2日前から決めていた。もちろん食べる料理もだ。行き先はとんかつ芝。以前から店は気になっていたのだが、なかなか足が向く機会がなかった。今回はチャンスだ。野菜も食べたい。キャベツのおかわりがしたい。新しい店の開拓ついでに、大好きなトンカツを、たくさんのキャベツと一緒に食べてみようと心に決めていた。

10時55分、社宅を出る。所要時間は8分ほどである。第一京浜の信号を渡り、三田駅方面に進む。有名なカレー店に向かっていけば到着するはずだ。そんな私の前に現れた心惹かれる看板。

純豆腐フェア。

ああ、なんてことだ。本命の彼女以外の、私好みの素敵な女性から告白された若かりし頃を思い出す。(注 そんな経験はしたことがない)だが、同時に食べられるのは一つだけだ。若ければ両方いけたかもしれないが、五十路の中年男にそんな体力はない。

後ろ髪ひかれながら看板を後にした。その直後、私がとんかつ芝で目にしたのは衝撃的は貼り紙であった。

臨時休業。

マジか。私の中でガッカリする自分と息を吹き返した自分がいた。これで純豆腐が食べられる。本命に振られたから、別の彼女でも問題なくなったのだ。

焼肉 青樹園

世の中とは分からないものだ。ほんの五分前までブランチに韓国料理を食べる自分などまったく想像できずにいた。今の私は純豆腐に胸をときめかす、若干不健康な中年男性だ。ここで新たな問題が発生した。

看板によればランチタイムは11時半からだ。現在時刻は11時11分である。店が開くまで20分近くある。

うーん。

試しに店の前まで歩いてみた。営業中の文字はないが、どうも開店しているようだ。ドアを押してみる。

開いた。

そっと中に入る。厨房の店員はこちらに気付いていないようだ。潜入したいわけではないので、声をかけると、テーブル席に案内してくれた。

よかった。

ランチタイム

さて、なにを食べようか。メニューを確認する。もちろんターゲットは純豆腐である。7種類のいずれにするかが問題なのである。オリジナルは想像不能。納豆はパスである。キムチと納豆の相性がバッチリであり、豆腐は大豆からできている。日本には味噌汁に納豆を入れる納豆汁も存在する。ならば純豆腐に納豆を投入しても、理屈の上では何ら支障はないはずだ。だが、感情的に相容れないのでスルーなのだ。

個人的にはカレーか、チーズか、それが問題だ。いっそチーズカレーなら迷うことも無いのだが、一択である。

苦悩の1分が過ぎ、下した苦渋の決断はカレー純豆腐。唐辛子とスパイスは相性がいい。牛コツベースのスープに唐辛子の刺激と野菜の旨味が染みた純豆腐、それだけでも美味いのだが、カレーが加わることでリッチなスパイスが豊潤な香りとともに味わいを広げるのだ。韓国料理の可能性をエクスパンドしてしまうのだ。

ああ、もう脳内イメトレも完璧である。店員をテーブルに呼びつけ、カレー純豆腐を注文した。

さて、食事前のイニシエーション(儀式)も終わったことだ。食前のサラダに手を付けるとするか。セルフ食べ放題。キャベツにレタス、にんじんだ。ドレッシングもあるのだが、高血圧減塩中の私には不要な代物だ。

キャベツの甘味がいい、えぐみがない。

カレー純豆腐

熱々に加熱された石鍋の中で煮えたぎる純豆腐が運ばれてきた。かなりの熱量に眼鏡が曇る。

キムチは控えめの辛みの中に白菜の旨味がじんわりと滲み出てくる。浅く使ったキムチはシャキシャキの食感だ。もう一つは揚げのような豆腐だ。味付けもいわゆるお揚げのような甘味のある味わいだ。

固い豆腐?和食の煮物にも似た味だ。チョリムというやつだろうか。舌触りは滑らか。これはご飯おかずにいい。日本人の口にも合うだろう。

スープを飲む。辛い。唐辛子が効いている。塩はキツくない。カレーはほんのり香る程度。あくまでも純豆腐なのだ。熱々なので火傷しそうだ。

美味い。豆腐は舌触り滑らか。具は玉ねぎ、長ネギ、ぶなしめじ、玉子丸ごと一個にアサリだ。

ごちそうさま

当初のとんかつ定食からカレー純豆腐と、かなりのぶれが生じたが、無事にランチを食べ終えることができた。本当に人生とはなにが起きるか分からない。一寸先は闇とは言ったものだ。だからこそ人生は面白い。せっかくならハプニングを楽しんでいきたいと思うのであった。

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